コロちゃんもドヤ顔(!?)のオンデマンドCD4タイトル!
「あ〜る盤」から「カスタマイズCD」そして「オンデマンドCD」へと、進化を遂げていったコロムビアの旧譜CD-R復刻。
イマイチご存じない方のためにちょっと説明しときますと、2008年12月にスタートした最新のオンデマンドCDは、廃盤や在庫切れとなったCDはもちろん過去にCD化されなかったアイテムなど、リストアップされたタイトルを1枚単位で受注生産するサービス。CDショップ店頭はもちろんネットショップでも注文可能(amazonなど自店在庫として確保しているお店もあります!)です。
当初、榊原郁恵のオリジナルアルバム全復刻(こちらで紹介)で大きな注目を集めてからも、コンスタントにラインアップを追加しているようで、先ごろも追悼のしばたはつみさんや、参院選出馬で話題を呼んだ庄野真代さんらの初CD化タイトルがアップされ、コロムビア所属だったアーティストのファンを大喜びさせているのは言うまでもありません。
コアで手厳しいアイドルマニアの皆さんからは正直イマイチという声が聞かれたりもしていますが、さすがは老舗のコロムビア。ここに来てどんなブーイングも黙らせるようなアイドル初復刻4タイトルが登場しました!
それが大橋恵里子の「 恋に大接近 」、高見知佳の「 ファーストデイト 」、水谷絵津子の「 初恋 」、若林加奈の「 KANAPP’E 」!
この4人、アイドル・ミラクルバイブルシリーズでは、高見知佳は2枚組ベストが、若林加奈は河上幸恵とのセットでシングルコンプが実現しましたが、スタ誕出身の2人、えること大橋恵里子と水谷絵津子はシリーズのコンピなどで一部がCD化されているだけ。いくらオーダーメイドスタイルとはいえオリジナルアルバム復刻は難しいのではと思われていたものもあり、ワタシの脳内にはコロちゃんのドヤ顔と、悲鳴を上げて小躍りするマニアの姿が人形劇のように浮かんでおります…。
今回の4タイトルは、いずれも各人のファーストアルバムですが、ココはやっぱり筒美フリークの購買も期待できる高見知佳ちゃんでしょうか。
郁恵ちゃんの成功のもと、同じ路線でスタートを切った知佳ちゃん。王子様の衣装でデビュー曲「シンデレラ」を初めて聴いたのは「カックラキン大放送!!」だったような気がしますが、歌のウマさといかにも人の良さそうな笑顔や物腰にすぐさま応援するようになったものです。自分と同じ四国出身(知佳ちゃんは愛媛県新居浜市)という親近感も大きかったように思います。
さすがは田辺エージェンシーが目を付けただけあって、歌だけでなくドラマやバラエティーのほか、司会やグラビアでも大活躍。何でもこなすマルチタレントとして大成功を収めた知佳ちゃんですが、その器用さのせいで余計に歌手としての存在感が薄くなっていったのも確かです。
知名度の割にはなかなかヒットに恵まれず、正統派アイドル路線からディスコティーク、フォーク・ニューミュージック系、歌謡曲、オールデイズ風ポップス、テクノ・ニューウェイブなどなど、一見脈絡がないかと思えるほどのジャンル。資生堂CMソングとなったEPO作品「くちびるヌード」でやっとヒットをつかんだのですが、そのレンジの広さと器用な才能は、このファーストアルバムでも分かるかもしれません。
79年3月リリースのこのアルバムはA面全部が橋本淳+筒美京平作品。といってもデビューシングル「シンデレラ/雲のじゅうたん」と第2弾のディスコ歌謡「シルエット/ラヴ・ハンター」に、アルバム書き下ろしの「サミー」(後にサードシングル「お嬢さんお手やわらかに」のカップリングとしてリカット)と「ウインター・ウォーキング」をプラスした6曲。しかも全曲CD化済みとなっていますが、特別知佳ちゃんのファンではない筒美フリークにします。
橋本さんの当時でも古い設定が、今となってはなかなかノスタルジックな感じですし、知佳ちゃんの素直で伸びやかな歌唱力も心地よさ満点です。
なお、B面はアレンジャーの船山基紀さんが作曲家としても参加したほか、庄野真代+小泉まさみ夫妻も参加。ユーミンをマネしてた庄野真代さんらしく、パクリのようなタイトルがイカす「恋のスーパー・プレイヤー」がオススメです。
さて、スタ誕お茶の間審査員を勝手に自認してたワタシではありますが、歌手としてのエルには惹かれなかったのでLPは未聴だったのでスルーさせていただきます。
「経験シーズン」や「恋に大接近」のサビさんなんかは今もって口ずさむことはありますけれど…。鶴光のオールナイトニッポンを本格的に聴き始めた頃、アシスタントはエルだったので、今もってそのイメージが濃厚だったりします。そのかげで「だれですか」はフルコーラスを覚えていたりして。
同じくスタ誕出身、花の82年組の水谷絵津子もしかり。とはいえ、あのスレていない初々しさを愛するファンは多いようだし、ちょっと三木先生の青春演歌みたいなデビュー曲「キラリ・涙」もなかなかの佳曲。これまたたまに口をついて出ることがあるんですよね。
第2弾(麻丘めぐみ「芽ばえ」のカバー)が出る前にLPが出ていたというのも、いかに期待されていた新人であったかを物語っています。
そして、この中では最もマニアックなアイドルであろう若林加奈。しかし、内容的には最も高品質ではないかと思います。4枚のシングル両面はCD化済みですので、今回、アルバムのみに収録されていた4曲が初復刻となりますね。
彼女もスタ誕に挑戦してたような気がしますが、伝統ある「コロムビア歌謡コンクール」の流れをくむ「アイドルは君だ 日本コロムビア新人歌手オーディション」で優勝。島倉千代子や都はるみラインに位置する正統派シンガーとして、あるいは世が世ならミス・コロムビアかコロムビア・ローズか、日本コロムビアをしょって立つ存在になってもおかしくない出自ではありましたが…。
性格も良さげで折り紙付きの歌唱力とキュートな声質だし、デビュー曲は尾崎亜美ちゃんだし、大器の感じは十二分にあったとは思うんですが、やはり写真写りがひどかった…。カマボコ目というかハニワ目というか、思春期でぽちゃっとしていたせいもあるんだろうけど、ピンならともかく新人集合なんかの企画では、とっても分が悪い感じでした。
オーディションは明星がバックアップしてたように記憶してますが、雑誌の露出はデビュー前からすごかったのに、それがワザワイしたような。同姓でよく混同されてた若林志穂が、子役上がりならではのカワユさをまき散らしていたせいもありますけどね。
芸能界の水でどんどんきれいになって、グリコのCMなんか可愛さいっぱいだったのに、その頃には露出はほとんどなくなっていました。
と、余談が進みましたが、今回の4タイトル、ファーストアルバムならではの初々しさが存分に楽しめるのではないかと思います。
今後のラインアップの試金石にもなるでしょうから、他の埋もれた名盤をお望みの方もぜひどうぞ。
(2010.9.17)