聖子黄金期、80年代のヒット曲を網羅した2枚組ベスト!
松田聖子が最も輝いていたのは、やっぱり黄金期の80年代。そのキラキラした名曲群は、デビューから32年目に突入した今も色あせることはありません。
確かにセルフプロデュースに移行した90年代以降の楽曲は、コアなファン以外からは支持されにくくなっていますし、アーティストとしてはもはや別の人になってしまった感があるのは事実です。
そうは言いつつもこのワタクシ、聖子の新譜はアナログ盤からCDへとソフトが変わっても、またソニー、ユニバーサル(マーキュリー)、ソニー、ユニバーサルとレコード会社がテレコで変わっても、30年超にわたり毎回欠かさず購入し、ツアーにも出かけておりますから(今年も武道館2日目には篠山紀信夫妻がいらしてたそうです)、現在の聖子を支える筋金入りのコアファンと呼ばれても致し方ない身だったりして。
でもですね、買ったはいいが1枚丸々ちゃんと通して聴いたニューアルバムを数えると、実はここ10年でたったの1枚(あくまで個人的見解ですが2004年の「Sunshine」)。毎回チョイ聴きしたきりラックに眠らせてしまうものですから、たとえば5年前のアルバムを今年の新作だと言われても、疑うことなく聴いてしまうのではないか…などと冷や汗をかくこともしばしばです。
聖子の出すものは全部名曲で全部好き!という思いを持てたらどんなに幸せでしょうか。
さて、10万円BOXを最高峰に、ベスト盤の女王、いや皇太后と呼べるほど、数多のセレクションアルバムや復刻盤がリリースされてきた聖子ですが、ここ数年のベスト盤といえばビッグスケールのBOXものか、マニアックなセレクトアルバムが中心でした。
再移籍でソニーから離れた後はより発売が活発になっていきましたが、去年出た高品質ブルースペックCDによるシングルBOX(こちらで紹介)やサントラBOX(こちらで紹介)にしても、B面集の続編(こちらで紹介)にしても、はたまた一昨年のバイブル総集編BOX(初回盤BOXはブルースペックCDでした)にしても、大枚はたいてでも確実に買ってくれるであろうコアファン向けで、手軽なベスト盤とはほど遠い感じでした。
事実、先日コンサートに行った友人などは、CD即売場でシングル曲を網羅したベスト盤を購入したかったようですが、あれこれ見比べてみたものの、どれも決め手に欠け、何も買わずに帰ってきたとか。
そんなことがあったもんで、あらためてチェックしてみましたら、なるほど帯に短しタスキに長し、なんですよね。なんと、現行商品で80年代のシングル曲を網羅したCDは2009年のバイブル総集編通常盤4枚組「 Diamond Bible 」(定価6,300円)のみ…。
熱心なファンからすれば、聖子の場合、80年代だけでもヒット曲が多すぎて1枚ものでは到底収まりませんし、B面曲やアルバム曲でも普通のアーティストのメガヒットに相当する有名曲が多いですから、ここはひとつボリュームのあるBOXを薦めたいところではありますが、フツーの人がサクッと買えるとなると、やはり2枚組で3〜4千円台というのが関の山ではないでしょうか。
そういう意味における2枚組ベストとしては、驚異のロングセラーを続けている91年の「 BIBLE 」がありますが、あれは聖子自選集だったがゆえ、実は「渚のバルコニー」「小麦色のマーメイド」「野ばらのエチュード」「秘密の花園」「天国のキッス」「ガラスの林檎」「時間の国のアリス」「旅立ちはフリージア」といったNo.1シングルがいっぱい抜けていたのです。そのへんを補完するためには続編を購入しなければなりませんでしたから、これさえあれば一通り網羅、というワケにはいかなかったのですね。
また、2004年の25周年突入時にはシングル曲を集めたベスト「Best of Best 27」がリリースされていましたが、あれは特殊パッケージの初回限定盤(通常盤は1枚もの)だったし、もし限定でなかったとしても90年代、2000年代のシングルも対象の上、熱心なファンからの投票によるリクエストベストだったため「裸足の季節」「風は秋色」「風立ちぬ」「小麦色のマーメイド」「野ばらのエチュード」「ピンクのモーツァルト」など、とりたてて聖子ファンじゃない人でさえソラで歌える80年代の代表曲がゴッソリ欠落していたので、やはり網羅とはいえず…。
むろん80年代当時には「Seiko・Plaza」や「Seiko Monument」が出ていますし、その時代の現行商品としては最初に結婚休業した85年から四半世紀以上見事に生き続けるご長寿全集4枚組「 Seiko Box/大全集 」も存在しますが、これらは80年代の途中で出たものですから、早い話、気軽な感じで聖子の80年代シングル全曲入りCDを買おうと思っても存在すらしてなかったのですね。
天下のスーパーアイドルにして、80年代のシングルはほぼ全てが1位をマークした大ヒット曲というのにもかかわらず、全部入ったCDを手にするには、最低でも4枚組を買わなければならないなんて…。
聖子の場合はあれほどベスト盤のタイトルがあるんだから、当然のようにゴロゴロ出てるはずと錯覚してた身には、ちょっとビックリするような事でした。
というか、我々みたいに同じアルバムを何度も買い直したり、同じ音源はダブりまくるのが当たり前とばかり甘んじてきた者にとっては、思いもよらぬ衝撃の事実だったりして…。そう思いません?
と、前置き長くなりましたが、このたび、ようやくそんな状態が解消されることになりました。
そう、80年代のシングル曲を網羅し、80年代黄金期の聖子がまんべんなく堪能できる定番ベストがついにリリースされるのです。
全曲リマスタリングのブルースペックCD2枚組でありながら、お買い得プライスの3,500円也! その名も「 SEIKO STORY ~80's HITS COLLECTION~ 」!
80年のデビュー曲「裸足の季節」から89年の「Precious Heart」まで、80年代に発売された全シングルA面(12インチの英語盤「ダンシング・シューズ」を除く)を収録。すなわち「風は秋色/Eighteen」から「旅立ちはフリージア」まで、前人未踏だったオリコン1位獲得記録(12インチの英語盤「ダンシング・シューズ」を除く)を樹立したナンバーが全曲網羅されていることになります。
繰り返しになりますが、2枚組ベストでここまで一堂にそろうのは意外にも初めてのことなのです。
また、両A面扱いになって1位に返り咲いた「SWEET MEMORIES」を筆頭に、有線で上位にランクしレコードジャケットの文字も大きくなった「制服」や「蒼いフォトグラフ」といった超有名B面曲もプラス。
さらに、レンタルレコード黎明期というタイミングでアイドルのアルバムの質も向上した時期、アルバムアーティストと呼ばれた聖子ならでは、ファーストアルバムのタイトル曲「SQUALL」から、当時からコンサートのオーラスだったセカンドの「Only My Love」、82年の「Candy」からの「未来の花嫁」「真冬の恋人たち」、83年の「ユートピア」からのペア「マイアミ午前5時」「セイシェルの夕陽」という現在のコンサートでも歌われる定番曲群や、結婚後の「瑠璃色の地球」「抱いて…」と正規盤ではシングルカットされていないのに誰もが知ってる名曲まで、全38曲がギッシリとパッケージされてます。
聖子ファンでなくとも80年代に青春を送った人には懐かしい記憶が詰まったものとして、またリアルタイムで知らない世代には完璧な入門編として、このベストは、多くの人たちが手に取りやすい定番ベストという位置づけでずっと生き続けるような気がしますね。
もしコレをお読みで聖子の80年代を押さえていない方がいらっしゃいましたら、迷わずご予約ください。
むろん内容が重複するブルースペックCDのベストBOX「Premium Diamond Bible」を持っているコアファンにとってはスルーせざるを得ない内容でしょうし、実際、商品の方からもターゲットにはされてないと思いますが、当時の貴重な写真をたっぷり掲載したオールカラーブックレットにつられて買う人も多そう。
あのBOXのブックレットに掲載されてた、レコードジャケットの別カットはとても楽しめましたからね。
ともかく今回、聖子史上初というか、ムリ、ムダ、ムラがなく基本中の基本をキッチリ押さえた2枚組ベストが誕生できたのは、ソニーミュージックの中でもカタログ部門であるSMDRからのリリースだからだといえるでしょう。
また、かつては若松宗雄さんのもと、黄金期の聖子をディレクターとして担当なさっていた佐藤洋文さん(ファンには「 VIDEO BIBLE-Best Hits Video History- [DVD] 」でのインタビュアーとしてのお姿がおなじみですネ)が、今では偉い手となってそこに在籍しておられるのも何よりの強みではないでしょうか。
さすが餅は餅屋。聖子BOXとしてはいまだファン人気No.1の「SEIKO SUITE」もこの部門(正確には前身の部署)から生まれたものでしたから、リイシューの手腕が分かるというものですし、今後も松田聖子のカタログ商品に期待は高まります。
正直、近年の商品には、ちょっと腰砕けになってしまうようなモノも多く見受けられましたのでね。
ホント、この分なら07年に企画されたものの諸般の事情から発売中止となってしまった80年代の紙ジャケBOX「松田聖子プレミアム・ボックス」の復活もあり得るかも。
と、恒例のオチで締めくくりつつ、80年代の聖子を今一度堪能することにしましょうか。
(2011.7.27)
*2011年10月12日発売の予定でしたが、12月7日発売に延期となりました。ご注意ください。
なお、11月23日には、竹内まりや作詞、作曲、プロデュースによるニューシングル「特別な恋人」(
初回限定盤(DVD付)
:UMCK-9457/
通常盤
:UMCK-5355)と、ライブDVD「Seiko Matsuda Concert Tour 2011 Cherish」(
初回限定盤
:UMBK-9240/
通常盤
:UMBK-1164)のリリースも決定しています。