極上ポップスコンビ、12年ぶりの新作登場!
これをお読みの皆さんなら、きっとご存じのことでしょう。ポップス黄金期の80年代に活躍したアーティストの「新録」による新作を発表するレーベルとして、昨春スタートしたテイチクのコンチネンタル・スター。
2カ月に1枚、年間6タイトルのアルバムをリリースするという精力的な活動予定のニュースは注目されたものの、震災の影響で影が薄くなってしまい、なんとなく沈滞していたような感じがあります。
しかし、第1弾の大澤誉志幸を皮切りに、小比類巻かほる、原田真二、鈴木聖美、平松愛理、そして今月リリース、第6弾の尾崎亜美というように、予定通り順調に続いていたのです。
さすがは大日本帝国時代からの老舗、意地と底力を見せつけた素晴らしい遂行力といえるんじゃないでしょうか。
というのも、大ヒットを放って以降もマイペースで活躍し、根強い人気を持つアーティストは数多いですが、かなりのビッグネームですらラクに新作をリリースできるとは言えない時代。
70〜80年代のナツメロ名曲ブームを背景に、あの人は今状態だったアーティストが活動を活発化させたり、長いこと休業してたアーティストが再開したり、そういうケースは相変わらず多いのですが、CDリリースとなると別。小規模なライブは開けても、ニューアルバムとなるとハードルはとっても険しく難しいようですからね。
それゆえ出したとしてもメジャーレーベルではなく自主制作、ということになってしまうのでしょうが、せっかくアーティストが経費持ち出しで頑張っても、低コストで作った内容では黄金時代を知るファンをいろんな意味で納得させられない…という残念なケースも多いようです。
しかもメディアにものっかれずPRもできず、知ってたら絶対買ってくれそうなファンにさえ届かないという悪循環もある模様。
これは経費をペイできるほどのセールスが伴わないというのが最大の理由だと思いますので(むろんそうじゃないケースも多々あるでしょうけど)、ファン側も新作を望むなら、パッケージにしろ配信にしろやはり「購入」という行為しかないと思います。
今の社会の仕組み上、当然の話だし、ほとんどの人にきちんと認識されていることなので、今さら言うことではありませんが…。
新作のみならず旧譜の再発や復刻にしても、基本はこの当たり前のことに尽きますので、ファンとしてはやはり購入という行為で応援しているという意思を示せればなあと思います。
そういえば昔、矢野顕子さんが「『あなたの音楽が好きです』と言うのなら『それに対してお金も出します』という態度が欲しい」というようなことをよくおっしゃってましたが、ホント、アーティスト側にもプロとしてのプライドをもって、こういう発言をどんどんしてほしいと思ったりして。
最近はあのユーミンですら、必要以上にファンにへりくだるような発言が目立ちますが、それって感謝の表現というよりも、正しいと思ったことをパッと言ってしまうと、短絡的に言葉尻だけをとらえ騒ぎ立てたりする人たちが残念ながらいるせいでしょうか。
と話が残念な方向にそれてしまいましたが、そんな厳しい現実の中、気炎を吐いているのがテイチクのコンチネンタル・スターレーベルなのです。ホント、かつてのアーティストの現役活動も応援させていただいている身としては、なんともウレシイ限りなのです。
しかも、第7弾アーティストとして、なんとポップス界のキング&クイーンもといマエストロ&ディーバが登場することになったのですから、余計にテンションはアガるというものです!
ということで、復刻盤ではありませんが大プッシュ! 心浮き立つポップンロールコンビ、須藤薫&杉真理の12年ぶりの新作「 恋愛同盟 」です!
かつて同じCBS・ソニーに所属し、昔から仲良しだったこのコンビは、ワンダフルムーン・マイナス松任谷由実としてもおなじみ。
ユーミンでいえば薫ちゃんのコーラスが満載の「SURF&SNOW」の世界で、忘れないでときめくホリディを!とばかり、古き良きオールデイズをルーツにした極上ポップスの職人です。
80年代のポップス史上に燦然と輝く上質なアルバムを届け続けてくれたのは、周知のことと思います。
個人的なことでいえば、薫ちゃんは河合夕子や遠藤京子とのギャルコン時代から好きでしたけど、本格的にハマったのは「AMAZING TOYS」から。
高校時代、友人が大のポップスフリークで達郎や大滝御大などとともに杉&薫も大スイセンしていて、それぞれのアルバムをどっさり借りて、いろんなポップス談義をしたものでした。
ワタシにとっては、太田裕美さんがNY修行に出かけて休業してた間、ココロの隙間を埋めてくれたアーティストの1人が薫ちゃんという感じだったのです。
ただ、ポップス好きからはプロアマ問わず大変評価の高かった薫ちゃんですが、一般的には大きなヒットに恵まれず、結局休業したり…。90年代初めからは引退したような形になっていました。
しかし、ソニーのカタログセクション(現在のSMDR)のバックアップのもと、盟友である杉サマに誘われるようにして復活し、98年からはコンビとしてライブを中心に活動。ミレニアムにかけ、ミニアルバムをはじめ、それぞれの代表曲を集めたポップンロール企画ベストや、新曲をガンガン発表したのでした。
それでも思うような結果は得られず、ホント無念だったのですが…。
と新作リリースこそストップしましたが、現在も2人の活動は続いていて、先週、神戸のチキンジョージでやったライブ「杉真理 with Moment String Quartet in KOBE」にも薫ちゃんがゲスト出演。
大滝御大の「あなただけ I LOVE YOU」や、スキーシーズンには欠かせない「フロントガラス越しに」、このナツメロ喫茶店でも常々オススメしている「THE BLACKHOLE」、名バラード「心の中のプラネタリウム」など薫ちゃんのソロも名曲ばっかり演って大好評だったそうです。
そこに今回のニュースですから、ソロ作品を発表していた杉サマはともかく、薫ちゃんのファンにとってはまさに待望のニューアルバムという感じです。2人の名義による新作としては「最後のデート」以来12年ぶりだし、CDでいっても2007年に薫ちゃんの紙ジャケアルバム復刻に関連してソニー時代のベスト「 POP’ROUND THE WORLD 」が出たきりだったので、なおさら。
詳細はまだ発表になっていませんが、ニューアルバムはレーベルの趣旨通り、青春を彩った「 涙のステップ」や「悲しき恋のマンディ」をはじめ従来の代表作の新録セルフカバーと、杉サマをはじめ伊藤銀次、松尾清憲、平井夏美らおなじみの各氏による書き下ろしの新曲を合わせた全10曲で構成されるとか。
クレジットこそ須藤薫&杉真理ですが、杉サマのプロデュースによる薫ちゃんのソロアルバムと言って過言ではないそうです。
さらにバッキングには村田和人さんを筆頭にゆかりのミュージシャンや豪華ゲストが集合するほか、なんと他のアーティストへの提供曲も入るそうで、2人のファンだけでなく、すべてのポップスファンから悲鳴が上がりそうなゴキゲンな内容になるはずです。
むろんコアなファンはセルフカバーがいったいどんな曲になるか、ということも聴きどころでしょう。
しかも今回はエンハンスドCD仕様らしいので、ポップンロールなお楽しみも期待できそう。
いずれにしても杉サマ自身自信作とおっしゃっているようですし、、寒さに凍ってたココロもとけて踊り出すほど幸せで、胸がキュンとするほど甘く切ないアルバムであることは間違いなし。
早速予約して、春の訪れとともに杉サマと薫ちゃんの極上ポップスが芽吹く日を、今から楽しみにしております。
2人の音楽を未体験の人でも、古き良き正統なポップスがお好きならば、絶対気に入ると思いますので、ぜひお求めください。
なお、3月15日には須藤薫&杉真理を含むコンチネンタル・スターのアーティストが東京・渋谷のSHIBUYA-AXに勢ぞろいし、「コンチネンタル・スター Presents BEST SONGS~東日本大震災チャリティーコンサート~」を開催するのだとか。
2人の出番はアコースティックらしいのですが、きっと大人の極上ポップスに心身ともに満たされるような、幸福で贅沢な時間になりそうですね。
(2012.2.9)
*「恋愛同盟」の収録曲が発表されました!
1. 恋愛同盟 (作詞:杉 真理 作曲:杉 真理 / 松尾清憲)
2. Franky お願い (作詞:杉 真理 作曲:杉 真理 / 松尾清憲)
3. No Plan (作詞:遠藤響子 作曲:平井夏美)
4. COLOR THE WORLD (作詞・作曲:杉 真理)
5. My Favorite Song (作詞:田口 俊 作曲:伊藤銀次)
6. 涙のステップ (作詞:有川正沙子 作曲:杉 真理)
7. 悲しき恋のマンデイ (作詞:田口 俊 作曲:杉 真理)
8. 心の中のプラネタリウム (作詞:田口 俊 作曲:杉 真理)
9. This Feeling (作詞・作曲:杉 真理)
10. ウイスキーが、お好きでしょ (作詞:田口 俊 作曲:杉 真理)
Produced by 杉 真理
All Arrangement & Keyboards:嶋田陽一
参加ミュージシャン:清水 淳 谷口 守 渡辺 格 田上正和 松尾清憲 遠藤響子 平井夏美 Moment String Quartet