シリーズ集大成!名曲中の名曲を集めたベストコンピ!
80年代ヒットを中心に、今やCDだけでなくテレビなどの歌番組でもひとつのジャンルとなったナツメロJ-POP。
火を付けたのは「R35」シリーズの邦楽編、90年代ヒットを集めた2007年の「R35 Sweet J-ballads」といわれていますが、あれはテレビスポットとともに一大プロモーションが始まるやいなや、CDシングルを死ぬほど買ったパッケージ世代のハートをとらえて大ヒット。
オリコンでは数々の強力新譜と互角にわたりあい堂々3位をマーク、ついにはミリオンセラーを達成するなど、コンピ盤としては異例のセールスを記録したのでした。
今では事情により廃盤となってしまいましたが、あのブームを一時のブームに終わらせず、幅を広げて定着させ、ひとつのジャンルとして確立させたのが「クライマックス」シリーズといえるでしょう。
第1作は「R35」と同じ2007年、ドラマ主題歌集としてリリースされた「 クライマックス~ドラマティック・ソングス~ 」(オリコン最高4位)で、やはり35歳以上限定という感じでしたが、巷の盛り上がりに合わせて、年代とターゲット層を拡大させ、メーカーの枠を超えた収録内容や曲数といったボリュームもグレードアップ。
08年の「 クライマックス ロマンティック・ソングス 」(6位)を経て、80年代編の「 クライマックス 80’s YELLOW 」(12位)、「 クライマックス 80’s BLUE 」(10位)、「 クライマックス 80’s GREEN 」(28位)、「 クライマックス 90’s ファンタスティック・ソングス 」(27位)、70年代編の「 クライマックス 70’s サファイア 」(45位)、「 クライマックス 70’s ルビー 」(61位)、男女別の「 CLIMAX Sweet~女性ヴォーカル・セレクション 」(54位)、「 CLIMAX Cool~男性ヴォーカル・セレクション 」(55位)、さらには年代を超えて曲調でセレクトした「 クライマックス~J-バラード・スタンダード 」(94位)、「 クライマックス~J-ロック・ヒストリー 」(106位)と、洋楽編「 クライマックス ドラマティック・ソングス -オーヴァーシーズ- 」やDVD編「 クライマックス DVD 」を含め、2010年までお盆とクリスマス時期のリリースが続いてきたのです。
いくら復刻に人気のあるアーティストだってトップ100へのランクインすら困難なのに、こうしてらくらくチャートインしていることもスゴイですし、思い返せばテレビCMにショップの平積み、試聴機ジャック、レンタルショップでの大人気などなど、一時代を築いた感がありますが、やっぱり多くの人々のに愛されたヒット曲のパワーをまざまざと見せつけられたシリーズといえますよね。
このシリーズが牽引した名曲ブームにおいて、みんなで聴くと心がひとつになれるシチュエーションが増えましたけど、かつてマニアの例に漏れず王道系のヒット曲をスルーしてしていたワタシでさえ、すっかり改心しましたから…。ホント、同じ時代をともに生きてきたみんなと、いいうたを聴いたり歌ったりすることのシアワセたるや、何ものにも代え難いものだと痛感したりして。
よく考えるとマニアックなアーティストや楽曲だって、王道がないと存在すらしないワケですしね。今では、陰陽ひっくるめてという感じで、その時代時代のうたすべてを振り返ることこそ、意味や価値があることではないかな、なんて思っています。
さて、クライマックスがR35と決定的に違ったのは、メーカーの枠を超えた選曲の幅広さでしたが、許諾申請の際には「まだやるのか」「いったいどこまで続くのか」なんていう声も聞かれたといいます。
70〜90年代の王道系も一通り網羅してしまったので、もう打ち止めか…と思っていた矢先、シリーズ集大成となる2タイトルが登場します! それが、まさにクライマックスのベスト・オブ・ベスト、80年代編の「 クライマックス・ベスト80’sゴールド 」、90年代編の「 クライマックス・ベスト90’sプラチナ 」。
もちろんそれぞれ2枚組、初回限定スリーブというおなじみの仕様です。
まず「クライマックス・ベスト 80'sゴールド」は、過去に出た80年代編、色別3タイトルの中から、選りすぐりのナンバーとこれまで未収録だった曲をチョイス。
ゴダイゴ「銀河鉄道999」、ばんばひろふみ 「SACHIKO」、久保田早紀 「異邦人」、オフコース 「さよなら」、財津和夫 「Wake Up」と、79年リリースだけど80年にかけてヒットしたナンバーから、ディケイド最後の89年にCDシングル初のミリオンヒットとなったPRINCESS PRINCESS 「DIAMONDS (ダイアモンド)」まで、テンコ盛りですが、かつてはコンピに難色を示し、他社ものに入るなんて考えられなかったユーミンの81年作品「守ってあげたい」の収録に注目。
しかも中島みゆきの同年作品「悪女」も入っているので、ニューミュージックの女王対決が実現するという、歳月を経たからこその夢の競演といえそうです。
基本的にはフォーク・ニューミュージック中心ではありますが、「さよならの向う側」&「赤いスイートピー」で百恵ちゃんと聖子のアイドル世代交代劇が楽しめたり、「聖母たちのララバイ」&「タッチ」という岩崎姉妹の同時収録もありますし、キラキラ輝いた80年代の思い出がよみがること請け合いです。
一方「クライマックス・ベスト 90's プラチナ」にもシリーズ初収録となるナンバーが6曲入っておりますが、さすがは90年代、カラオケブームのシングルCDバカ売れ時代。なんと収録された32曲全てがミリオン超えというメガヒット三昧の選曲となっています。
目立つのは、やはりユーミン、ドリカム、米米、チャゲアス、GLAYら、ミリオンにとどまらずダブルミリオンを連発した時代の寵児たち。それに、男性ボーカルがもてはやされた時代らしく、小野正利、山根康広、class、大事MANブラザーズバンドという懐かしく同質な匂いのする仲間たち、槇原敬之、KANといった千里フォロワーの顔も見えます。
さらにはTRF「CRAZY GONNA CRAZY」、globe「DEPARTURES」、篠原涼子「恋しさと せつなさと 心強さと」といったコムロファミリーに、シャ乱Q「ズルい女」、モーニング娘。「LOVEマシーン」のつんく♂ファミリー、さらには奥田民生「愛のために」とPUFFY「これが私の生きる道」の民生ファミリー(?)と、プロデュースに乗り出したアーティストゆかりのナンバーが収録されているのも90年代的ですね。
各タイトルとも収録時間いっぱいまでクライマックスが続きますが、レコードやCDシングルを買ってないものまでソラで歌えるというのがこの時代のヒット曲のスゴイところ。やはり名実ともに日本の歌謡史の中で燦然と輝く最後の大ヒットといえそうです。
それにしても、こんな素敵なうたたちをリアルタイムで聴き、多くの人たちと共有してこられたことは、実はとっても恵まれていて、贅沢なことだったのですね。
もちろん懐かしんで聴くのもいいですが、人と人とのつながりや絆の大切さが再認識されている今だからこそ、リビングやクルマに常備するCDとしてもオススメしたいです。
家族でも恋人でも友だちでも、大好きな人たちと共有できる大好きなうたを一緒に聴いたり、一緒に口ずさんだりすることこそが、理屈抜きでお互いの関係をより深め、幸せを感じられる最も簡単な方法だと思いますのでね。
(2011.7.5)