ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤540

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#540

ビューティ・ペア 真赤な青春

(2012.5.21発売、DSTD-3512、¥4,725)  *DVD

元祖女子レスラーアイドル、主演映画がDVD化!

 ピンク・レディー全盛期の77年から78年、彼女たちのライバル的アーティストといえば、解散で絶頂を極めたキャンディーズということが定説になっています。

 確かにVS的な共演はたくさんありましたし、ライバル的な見方もされていましたが、それはあくまで一般メディアのこと。まだ縦社会が当たり前だった頃の日本の、しかもより厳しいとされてた芸能界ですから、3年も先輩の歌手をライバルとして扱うなんて、ホントはとんでもなかったことでした。
 事実、後年ピンクの2人も大先輩のキャンディーズがライバルだなんてめっそうもないという話をしていましたっけ。

 ではいったい誰がピンク・レディーのライバルとされていたのか。
 と、もったいをつけるまでもないのですが、ご存じ全日本女子プロレス、ジャッキー佐藤&マキ上田のビューティ・ペアなのでした。

 たまたま同時期に2人組みとして人気が出ただけであって、歌手と女子プロレスという畑違いの2組。今となってはファン以外にはそういう事実があったことすら忘れられているようだし、ナツメロ系番組でもそんなとらえ方をされることは皆無に等しいのですが、当時は確かに何かにつけて対比されておりました。

 さてビューティ・ペアといえば、スタ誕では百恵ちゃんのライバルだったというマッハ文朱によってアイドル人気を得た女子プロレスを、さらに大きく花開かせた功労者。
 彼女たちの人気は、76年の暮れから77年にかけ爆発的だったピンク・レディーと同じ軌跡を描くように、一気に盛り上がっていったのでした。

 ファン層は女子中高生を中心で、今思えば、若さのエネルギーのはけ口にされていたのではないかといえるほど。本当に凄まじくて、彼女たちの熱狂度はそれまでの人気No.1のBCRに並ばんばかりの勢いがありました。そういえば、かのキョンキョンもBPの大ファンで「バン・ババン」が好きだったと言っていましたよね。

 76年11月発売のデビュー曲「かけめぐる青春」はチャートの順位こそ上がらなかったものの、超ロングセラーとなる大ヒットを記録し、試合では、歌かプロレスかどっちがメインが一見分からなくなるほどでしたし、その試合もフジテレビの金曜よる7時というゴールデンタイムに放送されていました。
 さらに月刊「明星」や「平凡」ではグラビアのみならず付録のポスターにも起用されるというアイドルぶり。PLとBPが表裏というのもあったように思いますし、この沸騰した人気を受け、東映ではなんと主演映画も封切りされたのです。

 と前置きが長くなりましたが、今回、初商品化のDVDとしてリリースされるのがその映画。
 監督はあの内藤誠、77年7月、“明日の愛と斗いに向って真赤な太陽のように輝け!”という惹句で公開された「 ビューティ・ペア 真赤な青春 」なのです。

 「真赤な青春」といえば、もちろんキャッチーな第2弾シングル。ファンの♪J・A・C・K・I・E、ジャッキー! B・E・A・U・T・Y、サンシャイン! M・A・K・I・レッツゴーマキ! ゴーゴーレッツゴー、ビューティ・ペア!のかけ声でおなじみの名曲ですが、映画ではこの歌が主題歌で、「かけめぐる青春」が挿入歌となり、ジャッキー&マキの自伝的物語が繰り広げられています。

 しかも女子プロ入りのきっかけを作った赤城マリ子、宿敵のブラック・ペア、最もアイドルらしかったナンシー久美ら当時のレスラーが出演。
 もちろんリングでの熱戦やトレーニング、多数のファンを前に歌う光景もふんだんにあるものの、なんと岡田裕介らが脇を固め、ジャッキーとマキが成功するまでの物語がドキュメンタリーではなく再現ドラマタッチで構成されているのです。

 以前CSで放送されたり、2009年には日本女子プロレス松永高司会長追悼企画として上映されたりしたようですが、正直映画として今見てしまうとちょっとキツイかも。歌同様、演技の素養などかけらもなかった彼女たちですからね。
 でも、その分体当たりでこなそうとするひたむきさはしっかり伝わると思いますし、今は亡きジャッキーの勇姿が見られる貴重なフィルムですし、当時のファンからすればきっと感涙ものだと思います。
 そういえばCDで唯一出ていたベスト盤「 ビューティ・ペア メモリアル・コレクション 」も入手困難のようですし、これを機にG☆Bとかで新ベストが出るといいですね。

 今回のビューティ・ペアがきっかけになるとは思っていませんけど、70年代の百恵ちゃんや80年代の薬師丸ひろ子らの影に隠れてしまい、日の目を見なかった一連のアイドル映画にとって、今後の再評価や商品化に少しでもつながってくれたらと期待しています。
 CD復刻も行き着いた今、マニアの皆さんも次は映画復刻に情熱をという流れはいかがでしょうか。

 東映では、先ごろ出たまんがまつりのF5(こちらで紹介)、そして今回のビューティ・ペアときたんで、あとはまんがまつりの「ピンク・レディーと春休み」(79年)、ずうとるびの「前進!前進!大前進!」(75年)、沖田浩之「ヒロ・ザ・ヒーロー」(81年)なんかにも期待したいところ。

 東宝なら「春琴抄」と同時上映だった、カンコ、草川祐馬、浅野ゆう子の「恋の空中ぶらんこ」(76年)とか…。大林監督がらみで評価の高い片平なぎさの「 瞳の中の訪問者 」(77年)はDVDされてますけどね。

 実は個人的にホントに見たいのは、ひところ商品化が進むかと思われた松竹映画で、いまだビデオ化されていない浅田美代子の主演第二作「あした輝く」(74年)と、桜田淳子のアイドル時代では後期の主演作「愛情の設計」(77年)。ともに里中満智子原作の名作をもう一度見てみたいです。
 残念ながら「シネマde昭和」シリーズは打ち止めになっているようですので、現在展開中の「あの頃映画 松竹DVDコレクション」として出ないかなあ…。「愛情の設計」と同時上映だったゴロー&大竹しのぶの名作「 季節風 」(77年)は今回もDVD化されていますし…と一縷の望みをつないでます。

(2012.1.12)


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