ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤519

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#519

大貫妙子/GOLDEN☆BEST~The BEST 80's Director's Edition~

(2011.12.7発売、MHCL-1996〜7、¥3,000)

*「TAEKO ONUKI WORKS 1983-2010 CM/TV Music Collection」(RZBM-46947)も同時発売!

心にひびくター坊の調べ、ディアハートな80年代ベスト!

 美しい孤独。それはきっと大貫妙子の歌声を指す言葉ではないでしょうか。

 例えば厳しくて優しい、互いに相反するものを併せ持つ大自然のような存在。あるいは美術館や図書館にたちこめていて、襟を正させるようなしんとした空気。

 ポップがはじまった街で口笛を吹く時も、おフランスでアンニュイにカード遊びをしてる時も、アフリカの草原に寝そべってパズルを解く時も、テクノポリスのメトロポリタンでロボットを操縦する時も…。
 ター坊はいつも同じ真摯さを持ち続けていて、どんなときもその背筋をピンと伸ばしていて、美しい孤独の中にいるような気がします。

 いつも感じるのは、おろしたてのシャツに袖を通した朝のような、すがしいのによそよそしい、絶妙な距離感。それは他者との距離感という形で作品づくりにもきっちり表れ、仲良しとやるときも決して馴れ合いにならず、自分のスタンスを崩すことはないようです。
 そして相手が人であれ物であれ、行為であれ思いであれ、必要のないものは、容赦なく捨て去る厳格さを見せるのです。

 ああ、これもまた自然がさまざまなものを淘汰する姿にとても似ていて、ただ神の禊を受ける子のような面持ちで、耳を傾けているだけのときもあります。

 またある時は、行く手を照らしてくれる闇夜の月あかりのように思ったりすることもありますが、それは甘やかでありながら、自立心を促す母の厳しさにも似ているような気がします。

 そんなター坊の佇まいが大好きなので、オリジナルアルバムは全て持っておりますが、どの時代の作品でも感じることはいつも共通で、一貫してるんですよね。
 もちろん時代に合わせて、いろんな装飾が付くことはありますが、芯はまったく変わることがありません。

 シュガーベイブを含む初期のソフトロック的な佳作から、華麗なヨーロッパ三部作、かわいいメルヘン翻案ものまで、多彩なオリジナルアルバムを発表しているター坊ですが、まだちゃんと聴いたことがない人には、まずはベストをオススメしているワタシ。
 このところはずっと、2004年のレーベルを超えた2枚組オールタイムベスト「 大貫妙子 ライブラリー 」を推していましたが、今回、新たに推薦したい入門編がリリースされることになりました。

 それが、GOLDEN☆BESTシリーズに登場する2枚組の「 GOLDEN☆BEST 大貫妙子〜The BEST 80’s Director’s Edition〜 」。

 オリジナルアルバムでいえば78年の「MIGNONNE」から90年の「NEW MOON」まで、すなわちRCA時代からミディまで、かの宮田茂樹さんのディアハートな時代の中でも、80年代の作品を中心に収録したコレクション。
 しかもター坊本人と当時のスタッフによるこだわりの選曲となる上、20年以上デジタルリマスタリングされてこなかったミディ音源なども最新リマスタリングが施されるということですから超期待です。

 ター坊のG☆BとしてはRCAイヤーズと銘打った1枚物の「 ゴールデン☆ベスト 大貫妙子〜RCA YEARS 」が出ていましたが、彼女の場合シングルヒットで括る人でもないですので、やっぱりこのぐらいのボリュームがいいのですよ。
 いつも夢中で聴いているワケではありませんし、NHK-FMの特番からマンスリー放送になった「大貫妙子 懐かしい未来」も楽しみにしているワリに、聞き逃したりしてますけど、ター坊のうたを恋うる気持ちは、年を経る、歳を重ねるごとに強まっていくような気がします。それはきっと自然に対する感謝や畏敬の念をなくしたり、人としての矜恃を失っても平気な人が増えてしまったからかもしれません。

 真理に基づいた信念を持っているからこそ、毅然とした姿勢が貫ける。まなざしも心も曇らせることなく、善きものを見分けられる。厳しいけれど優しい、静謐なター坊のうた。どうぞお聴きください。今の世にこそ、絶対必要なうたなのですから。

 なお、テレビ番組のテーマ曲やCMのために制作された貴重な音源をチョイスした「 TAEKO ONUKI WORKS(仮) 」も同時発売。資生堂、PARCO、AGFなど、80年代から年代順に、初CD化音源を含めてコンパイルした貴重盤になるとのことです。

 さらにはこの発売日に、ピュアアコースティックのラスト以来約2年ぶりとなる待望の単独ライブ「大貫妙子 コンサート2011」も東京・渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで開催決定とのことです。

 11月9日には、キョージュとの「UTAU」コンサートの模様を収めたDVD「 A PROJECT OF TAEKO ONUKI & RYUICHI SAKAMOTO UTAU TOUR 2010(仮) [DVD] 」もリリースされることですし、久々に活発な活動となるター坊の冬、とっても楽しみですね。

 あ、ディアハートといえば、もう1人、EPOを忘れちゃいけません。ター坊と同じコンセプトの「 GOLDEN☆BEST EPO〜The BEST 80’s Director’s Edition〜 」が同時発売です。

(2011.10.3)


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