通販BOX「岩崎宏美全集」が19年ぶりにリニューアル!
中には、まったく知らなかったり、うっかり見過ごしてしまっていて、皆さんから教えていただくタイトルもありまして、感謝感謝のひとときなのですが、今回、それに当たるのが同じスタ誕出身者でも今度はビッグネーム。熱心なヒロリンファンの方からいただいた、新しい岩崎宏美BOXへのリクエストです。
実はリリース自体を全然知らず、「えっ!新しいBOXが出てたの?」と驚いたものですが、実は通販チャネルからの発売だそうで、なるほど納得。
通販ものは大ファンからでさえ継子にされがちな傾向にありますが、コレも例に漏れずにスルーされている模様。ならばここで片肌脱いで、鼻息も荒くご紹介いたしやしょうと、相成りました次第です。
それが、今春デビュー35周年企画の通販限定商品として発売されていたという5枚組CD-BOX「35th Anniversary IWASAKI HIROMI BOX ~岩崎宏美の世界~」。
さて、内容のご紹介の前に、ちょこっと振り返っておきますと…ヒロリンの通販BOXといえば、ビクターから1992年に発売された5枚組80曲の「 岩崎宏美全集 」がおなじみ。
ベストヒット集2枚、邦楽カバー集、洋楽カバー集、愛唱歌集とシンガー・ヒロリンの魅力を網羅した全方位的構成で、コアなファンにも「すみれ色の涙から…」が初CD化となったBOXとして一目置かれてる存在で、紙ジャケ復刻されるまでは必携とされており、随時追加プレスされてきたロングセラーBOXでした。
当時のヒロリンは“益田宏美”として活動をセーブされていました時期でしたので、黄金期の“岩崎宏美”を総括するには絶好のタイミングで編まれたアンソロジーだったワケですが、あれから確実に19年という歳月が流れたんですよね。
その間、岩崎として復活を果たし、レコード会社もテイチクへと移籍し、シンガーとしても女性としても一回りも二回りも大きくなり、着実にキャリアを積み重ねてこられたヒロリンですから、もはやあのBOXはお役御免となった感もあったのです。
むろん幅広い人気を誇るヒロリンですから、一般流通盤でも、30周年突入の2004年にはどでかい10枚組のCD+DVD−BOX「 Hiromi Iwasaki 30th Anniversary Box 」(現在はCDサイズにリニューアルされ発売中)が出たり、2007年にはライブ盤BOX、そして満35周年の昨2010年には近年のカバーアルバムBOX「 Dear Friends BOX 」というように、折に触れBOXが出されてきました。
ただ、BOXですからどれもコンプリートしたいコアファン向けという感じの充実度で、ベスト盤以上コンプリートBOX未満のコンパクトな感じを求めるファン層には、ちょっと敷居が高いように思われたのも事実でした。
で、そういう層にこそ通販BOXがオススメなのですが、現在進行形のヒロリンのこと。先の「岩崎宏美全集」ではやっぱり賄えない感じだったのです。そこにこのBOXの登場、というワケですから、まさに渡りに船だったといえるでしょう。
今回の通販BOXは、その「岩崎宏美全集」の構成をベースにしつつ、19年の間の変遷をプラスしたリニューアル版といえる内容。しかも収録曲は9曲増え89曲にグレードアップしています。
これまでベスト盤ぐらいしか持っていないという人や、最近コンサートに行って再び魅了されてしまったというファン復帰組の方などに、ぜひともオススメしたい感じです。
簡単に内容を見てみますと、ディスク1は、75年のデビュー曲「二重唱」から96年の両A面作「笑顔をみせて」まで、ビクター時代のヒットシングルを厳選した「オリジナル名作集」。ヒット曲の多いヒロリンですから1枚で収めると難しく、かなり後期がはしょられてはいますが、現在のコンサートでもメドレーで披露されているヒロミ・イン・ディスコな70年代の黄金期はきちんと堪能できる選曲です。
ディスク2は洋楽カバーの「永遠のPOPS名曲集」。今回も「恋人たち」「ディスニー・ガール」という洋楽カバーアルバムからチョイスしたベストアルバム「白い恋人たち」をベースにしていますが、「想い出の渚」「ドゥ・ザット・トゥー・ミー・ワン・モア・タイム」を外し、その代わりに「Dear Friends」シリーズから大江千里クンのピアノで歌う「愛の讃歌」や、「砂に消えた涙」「L-O-V-E」を追加。近年の名唱も楽しめるものにバージョンアップしています。
そしてディスク3は、昔から中高年のファンも多いヒロリンならでは。現在では後期高齢者の皆様にも好評の童謡・唱歌カバー「ALBUM」シリーズからのセレクション「童謡・唱歌集」。単品でも発売中のこれまでの「愛唱歌集」とは曲順を変え、「この道」が追加されているようです。
とここまでは改訂という感じですが、残りの2枚は新編ディスク。
ディスク4は、今回新しくプラスされたテイチク移籍後の「シングル集&"PRAHA"より」。ただし、シングル集といいながら、「止まった時計」以外、「あとかたもなく」「夢」「あなたの心に」「手紙」「ただ・愛のためにだけ」「シアワセノカケラ」「始まりの詩、あなたへ」すべてアルバムバージョンとのことなのでご注意を。
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、プラハのドボルザーク・ホールで収録された「PRAHA」によって、チェコの親善大使にも任命されたヒロリンですが、ここではその成果をダイジェストで収録。「聖母たちのララバイ」「ロマンス」「好きにならずにいられない」「シンデレラ・ハネムーン」「万華鏡」「すみれ色の涙」というヒット曲のクラシカルバージョンも美しいですが、やはりレミゼの「夢やぶれて」が抜きん出ているように思います。
最後のディスク5は、今やヒロリンのライフワークとなった「Dear Friends」シリーズ5枚からセレクトされた「"Dear Friends"スペシャル・セレクション」。ヒロリンクラスでさえオリジナルアルバムのセールスが苦戦する中、このシリーズは大好評を博し、オリコンではそれぞれ最高59位、49位、56位、47位、66位と、すべてトップ100にチャートインしている健闘ぶり。
昨年のレコード大賞では集大成の「Dear Friends BOX」が企画賞に輝いておりますが、この5枚から小林明子の「恋におちて」やマチャアキの「さらば恋人」、ヨシリンとのデュエットによるベッツィ&クリス「白い色は恋人の色」、美空ひばりに挑戦した「愛燦燦」、現在のテーマにしている雪村いづみの「虹〜Singer〜」まで、まんべんなくチョイス。ボートラとして、百恵ちゃんのトリビュートアルバムが初出だった「乙女座 宮」も入っています。
現在、展開中の新しいツアーはこのシリーズをベースにした「Dear Friends Special with strings 虹~Singer~」ですので、ツアー会場でも売ったらかなり数字が出そうな予感もします。
と、前回と同じく全方位的な網羅内容と、ほどよいボリュームのダイジェスト加減が絶妙なニューBOX。
36年前のデビュー以来、当代一流の歌手を数える時には、必ずと言っていいほどその筆頭に挙げられるヒロリンですが、コレはそんな彼女の35年がギュッと凝縮された好企画といえそう。全集同様、長い間販売され続ける定番商品となることでしょう。
(2011.7.19)
*2011.10.12には、市販品として2006〜2010年のライブ音源から選りすぐった2枚組ベストアルバム「 岩崎宏美LIVE BEST SELECTION 2006-2010 」も発売されるとのことです。