ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤503

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#503

ピンク・レディー/Singles Premium

(2011.8.25発売、VIZL-415、¥29,800)  *23CD+2DVD BOX

35周年記念! 日テレDVDも付いたシングル復刻BOX!

 昨年9月の解散宣言30周年記念日に「解散やめ!」宣言し、永続的な活動再開をスタートさせたピンク・レディー。
 全国縦断のコンサートツアー「2011 INNOVATION」も各地でソールドアウトが続出する人気で、会場も例のごとく大盛り上がりとなり、1億総PL時代だったあの頃を思い起こさせる様相だとか。

 先月リリースの夜ヒット&CX出演映像をまとめたDVD-BOX「ピンク・レディー in 夜のヒットスタジオ〜フジテレビ秘蔵映像集〜」(こちらで紹介)もパブリシティーの甲斐あって、オリコンDVDチャート12位にランクインするなど、やっぱりなぁと言える根強い人気を見せつけています。

 キャンディーズの3人がそろうことはもう叶わなくなってしまった今、ピンクの2人が新譜を届けてくれたり、元気に歌って踊ってくれたりすること自体が奇跡のような出来事ではないかと思いますし、こちら側が元気に享受できるというのも決して当たり前のことではなく、奇跡のようなことなんですよね。もう感謝以外には浮かばない感じで、昨日も手を合わせながら夜ヒットのDVDを見ていたことでした。
 そうそう、何人かの方からメールを頂戴した話題の芳村真理さんの箇所ですが、個人的には全然気にならないどころか、むしろとても工夫と配慮がなされててサスガだなあと思いました。

 さて、ミー(現在、ミイが正式な名称であることは存じておりますが、このサイトではあえて当時の呼称のままミーと記載しています。ご了承ください)とケイのピンク・レディーにとって、今年はデビュー35周年にあたるアニバーサリーイヤー。

 デビュー記念日の8月25日には、お膝元のビクターからも記念企画が登場することになりました。今回は、シングル復刻+αのお楽しみが満載BOXとなる「 Singles Premium 【23CD+2DVD】【限定BOXセット】 」!

 CD23枚とDVD2枚の25枚組という、世紀のスーパーデュオにふさわしいボリュームですが、ピンクの場合、CD-BOXも、アルバム紙ジャケ復刻も、シングルAB面コンプリートベストも完了しておりますので、今回は当然のようにシングル盤のCD復刻。

 シングルのセールスが絶大で、記録という記録を塗り替えたPLにこそふさわしい企画のような気がしますが、1枚1枚復刻の対象となるのは、最初のピンク・レディー期にビクターから出た、デビュー曲「ペッパー警部」から解散シングル「OH!」までの全22枚。

 これがマキシシングルサイズでCD化されるわけですけど、なんとAB面だけではなく、ボーナストラックとしてオリジナル・カラオケとリミックス・バージョンが追加されるのだとか。
 前に1枚物のカラオケが出ていましたけど、あれはベスト盤だったもので、カラオケマニアの方にとっては宝物になりそうですよね。

 ジャケットの仕様は当然アナログシングル盤のオリジナルデザイン、もちろん全曲最新リマスタリングとなるそうです。
 ここまで一堂にそろうのはCD-RのMEG-CDは置いといて、チューインガム入り食玩「ヒットナンバーコレクション」以来ではないでしょうか。むろんあっちは8センチCDでB面以下は入ってませんし、これこそコレクションするにふさわしいモノです。

 特典ともいえるスペシャルCDには、解散後に発表されたシングル楽曲を網羅。現在となっては入手困難になってるナンバーも多いし、PLプロジェクトの生みの親・阿久悠さんのBOX(こちらで紹介)にしか収録されていなかった「サウスポー」のお蔵入りバージョンも収録とのことなので、この盤だけ欲しいという人も多そう…。
 ピンクファンの皆さんはこの1曲のために阿久さんBOXを買った人が多いとは思いますが、せっかくの機会なのでよしとしたいところです。

 そして、今回の目玉となるのが、日テレ・アーカイブスと名付けられたスペシャルDVD。
 日本テレビで生まれ、日本テレビで育ったPLですから、これこそ昔からのファンが最も待ち望んだDVDでしょう。

 まず1枚目は、「スター誕生!」「NTV紅白歌のベストテン」など日本テレビの膨大な番組映像より、シングル曲歌唱シーンを登場順に収録したというシングル曲TV番組映像集。

 「サウスポー」の振り付けが出来たところで順次公開していった「紅白歌のベストテン」や、ピンクのパーソナリティーで第1回が始まっ「た24時間テレビ愛は地球を救う」とか、「波乗りパイレーツ」で真子ちゃんと合同新曲発表会を行った冠番組「ピンク百発百中」とか、印象的な日テレの歌のシーンは多数ありますが、淳子やヒロリン、真子ちゃんやよしえのBOXのDVDみたいな、単につなげてるだけのようで、愛がこもった永久保存な1枚になるといいなと思っています。

 そして2枚目。大変貴重なライブ映像を収録されるということですが、個人的にもう1度見たいテレビ中継が「ピンクレディーの紅白歌合戦をブッとばせ!」。
 ご存じ、レコード大賞を受賞した78年12月31日。大賞候補歌手の辞退という前代未聞の出来事として、大きな波紋を呼んだあの番組です。

 紅白を辞退してまでやりたかったのが、施設の子どもたちを招待したコンサート。当時小5のファンとしては「殺人的スケジュールで忙しいからこの時間しか空いてなかった」というまことしやかな理由に納得し、ますます応援を誓いましたし、コンサートがテレビで生中継されることに大喜びしたものですけど、「わざわざ大晦日にしなくても」という母のひとことと、番組に変なタイトルが付けられていたことにショックを受けたのも事実です。

 当時わが家には当然家庭用VTRなどはなく、紅白とチャンネルを交互に換えて家族からヒンシュクを買い、あげくには大目玉をくらった大晦日。
 結局半分以上紅白にチャンネルを合わせていたので、見た記憶があるのは帝国劇場からNHKホールではなく新宿コマへ向かうピンクの様子と、子どもたちと一緒にステージで歌い踊るピンクの姿ぐらいですので、いい年になった今、あの番組をきちんと見るチャンスがあれば、自分の中にある疑問と対峙してみたいななどと思っています。
 あれが本人の意志とは関係なく、大人たちの事情でそうなったのだとしても、お騒がせデュオと扱われてしまうPLバッシングの序章になったことに間違いはないでしょうから。

 思い返せば、この件をきっかけに一般メディアではPLのすべてを色眼鏡で見る論調が多くなったような気がしますし、快挙であり日本人の名誉と言えるはずの全米進出も否定的に受け取られ、一部からは日本を捨て、アメリカに魂を売った国賊のように扱われた印象もあります。

 と、話があらぬ方向へ行ってしまいましたが、今ならこういう側面もしごく客観的に再検証できるかもしれません。

 夜ヒットの時も書きましたが、ピンクのアーカイブにあぶり出されるのは、単なるアイドルの懐かし映像ではなく、1970年代の日本歌謡史、いや音楽史のみならず日本の社会風俗史の筆頭に記録される、スーパーデュオの軌跡と奇跡。

 時代でさえ子どものようにあやしながら、同じ振り付けで踊らせたこのモンスターアイドルは、都市化も、情報化も、教育問題さえも飲み込み、昇華させた、まさに不世出の“現代の天使”たちです。
 そして今、彼女たちと一緒になって歌い踊ったあの日々を振り返ることは、これからの私たちと日本という国にとって、やっぱり大きな意味があるのではないかと思っています。

 ともあれ、今回のBOX。音源はほぼ全部というか何枚にもわたり重複して持っていますし、シングル復刻というのに最初躊躇したのは事実ですけど、やっぱDVDは入手すべきでしょう。
 35周年というお祝いですし、各楽曲ごとのエピソードを取材した最新インタビューを含むライナーノーツというのも楽しみですし、DVD付きならではのオフプライスをamazonなどで狙うことにしましょうか。

(2011.6.6)

*Disc 1~22の全22枚のシングル盤には、ボーナス・トラックとして、モールス信号入り&なしの「S・O・S」をはじめリミックスや英語版など現存するさまざまなバージョンとオリジナル・カラオケを収録。
 Disc 23のスペシャル・ボーナスCDには、ピンク・レディー名義の商品には初収録となる「サウスポー(未発表バージョン)」をはじめ、84年の「不思議LOVE/悲しみのシルエット」、90年の「2年目のジンクス/ポロロッカ」(シングル発売はなし)、96年の「PINK EYED SOUL/BEST PARTNER」、2003年の「テレビが来た日/モンスターウェーブ」という再結成時以降のナンバーとカラオケを網羅。
 スペシャルDVD(Disc 24、25)は、DVD 1が「スター誕生!」決戦大会「部屋を出て下さい」からスタートする番組映像集で、スタ誕デビューコーナーの「ペッパー警部」~ 紅白歌のベストテンの「OH!」 までのシングル曲をほぼ網羅(全57シーン133分)。
 DVD 2は、日本テレビ系で放送された78年のラスベガス公演「アメリカ! アメリカ! アメリカ!」と後楽園球場コンサート「'78ジャンピング・サマー・カーニバル」(計28曲78分)ですが、制作上の都合でライブアルバムの音源とコンサート映像と合わせたものとなり、諸事情により収録されなかった楽曲や一部に静止画像等の編集がなされているとのことです。詳しくは発売元であるビクターエンタテインメントのサイトでご確認ください。


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