「1969」から1コマ進む!歌謡曲の由紀さおり入門編!
昨年秋から、世界中で熱い注目を集めている由紀さおり&Pink Martiniのコラボアルバム「1969」(こちらで紹介)。
配信とともに世界発売が実現し、iTunesの全米ジャズ・チャート1位をはじめ各国で大ヒットを記録。
さらにイギリスでのライブの大成功など、外堀を埋められてからの感じではありましたが、国内でもあらゆるメディアがこぞって取り上げ、オリコンでは40年10カ月ぶりという超長いインターバルでのトップ10入りを果たすとともに、女性としてトップ10入り最年長記録も樹立。
テレビやラジオ、新聞、雑誌など連日その名前が聞かれないほど、空前の由紀さおりブームが巻き起こりました。
CDショップの店頭では初回仕様の紙ジャケこそ見かけることがなかったものの、プラケース盤は国内盤、輸入盤とも依然として平積みの嵐。あの光景はホント壮観で感慨深いものがありましたよね。
暮れのPink Martiniとの全米ツアーも大盛況に終了(NYで観たという大江千里クンも絶賛ツイートしてました)。セールスにますます拍車がかかり、レコード大賞では企画賞を受賞した上、アルバムチャートではなんと最高4位まで上昇。
今週の最新チャートでもまだトップ10に入っており、ロングセラーはますます続く様子です。
今回の成功で歌謡曲歌手としての露出がぐんと増え、イチ由紀さんファンとしては当然の結果と胸を張りたい半面、夢ではないかと疑ってしまうほどウレシイ限りですが、どうしても「売れている」コトやモノに飛びつき、またたく間に消費し尽くして、その後は…という形になってしまいがちな世の中ですので、一過性のブームに終わらぬことだけを願っています。
と思うのはメーカーサイドも同じようで、この「1969」熱が冷めないうちに…とでもいうように、新たなベスト盤のリリースが決定しました!
由紀さんとしては初のG☆Bとなる「 ゴールデン☆ベスト 由紀さおり 」。
「1969」で初めて由紀さんのアルバムを買ったという方にとってはまさに1コマ進む、次のステップにピッタリの歌謡曲の由紀さおり入門編ベストです。
収録予定ナンバーとしては、「1969」でセルフカバーした歌謡曲歌手としてのデビュー曲にしてオリコンNo.1ヒット「夜明けのスキャット」をはじめ、2作目のオリコン1位となった大ヒット「手紙」、香港で英語版を出したアグネス・チャンから渡辺真知子、明菜やハラ坊、昨年のヨシリンまで多くのアーティストがカバーしたメロウな渋谷毅メロディー「生きがい」、レコード大賞最優秀歌唱賞受賞曲「恋文」、フォークも数多く歌いこなしてきた由紀さんと吉田拓郎との出会い「ルーム・ライト(室内灯)」、久しぶりのヒットとなった名曲「挽歌」、“お箸の国の人だもの。”という名コピーが鮮烈だった味の素・ほんだしCMソング「ゆらゆら」など、歌謡曲歌手・由紀さおりとしての代表作16曲がずらり。
紅白での歌唱も印象的だった島武実+宇崎竜童コンビの「う・ふ・ふ」、ソフトロックブームの時にも高い評価を得た歌謡ボッサ「この愛を永遠に」といった人気曲も入っていますし、競作が話題を呼んだ「TOKYOワルツ」や拓郎作品のカバー「両国橋」など、他の人のバージョンと聴き比べるとその上手さに驚愕できるナンバーもバッチリ。
第2弾シングル「天使のスキャット」と、そのB面であり、Pink Martiniとのコラボのきっかけを作った「タ・ヤ・タン」(本当の出会いはEPではなく「夜明けのスキャット」のLPだそうです)も収録と、今回の再々ブレイクストーリーで関心を持った人にも手に取りやすいフックが施されています。
また、阿久悠さんが久々に詞を書いた98年作品「スイートワルツの流れる川に」、吉田正先生の未発表曲にしてNHKユアソングとなった2006年作品「この世の果てまでそばにいて」 と、童謡中心の時代にリリースした歌謡曲もしっかり収録。
こうして曲目を並べてしまうと、EMIミュージック・ジャパンがかつて東芝EMIだった頃に毎年のように出ていた「ベストナウ」や「全曲集」と相違ない感じですが、G☆Bですからお買い得なプレイスが魅惑的。
音源は昔からとっくに持っている我々ファンは、思わず手がちゃうほど素晴らしいジャケットとか、どうしてもそういう部分に期待しがちですけど、お試し盤として気軽に由紀さんの歌謡曲に触れるにはもってこいの1枚ではないでしょうか。なんてったって絶好のタイミングですしね。
ともあれ、コレを聴いて気に入った方は、迷うことなく3枚組の「 由紀さおり COMPLETE SINGLE BOX 」や、レアコレクションの「 由紀さおり35周年記念スペシャルプレミアムコレクション 」、はたまた最新オリジナルアルバム「 いきる 」へと、1コマずつ進んでいただければと思います。
ぜひ全コマ進んでもらって大の由紀さおりファンとなってアガリ!というのが理想ですが、個人的に大好きな「ストレート」や「ルイ」などの名人芸といえる歌唱に1人でも多くの人が触れられたら最高だと思いますし、もちろん現役ですから「1969」とは別バージョンの素敵な最新シングル「 季節の足音 」もヒットして、今後の活動がより実りのあるものになってほしいと考えてます。
そして一層再評価が進み、1日でも早くファン積年の悲願であるホントのコンプリートBOXや過去のアルバム全復刻が実現することを願っています。
(2012.1.12)