ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤513

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#513

本田美奈子/GOLDEN DAYS

(2011.10.26発売、TOCT-28012、¥8,400)  *2CD+2DVD

七回忌に…シングル集CD+ベッテンほか映像集DVD!

 今年は節電休暇の中、のんびり帰省した人も多かったというお盆。皆さんもいろんな思いで送り火を見送り、過ぎし日と人を偲ばれたことでしょう。そういえば今度の11月が本田美奈子さん(このページでは東芝EMI時代の紹介につき、「.」を付けていませんのでご了承ください)の七回忌といいますから、まさに月日は百代の過客。行き交う年の足早なスピードと、諸行無常さに驚くばかりです。

 2005年に亡くなられてからというもの、アイドル〜ロック時代からミュージカル〜クラシック時代まで追悼ベストやBOXの発売が続いていましたが、今年の七回忌を記念してCD2枚とDVD2枚によるEMI時代の新BOX「 GOLDEN DAYS(DVD付) 」がリリースされることになりました。

 彼女のたゆまぬ努力と大いなる功績を忘れることなく、こうして新編集の商品が出続けることは何よりの供養になると思いますが、なんと今回は熱心なファンでなくても必携したい内容になる模様。

 詳細はまだアナウンスされてはいませんが、CD2枚が、EMI時代の全18枚になるであろう36曲収録のシングルコレクション。
そしてDVD2枚には、なんとTBS「ザ・ベストテン」などのテレビ番組の出演映像集や、ライブの映像などで編集されるというのです!

 本田さんのシングルを振り返ると、風格さえ漂う堂々としたデビュー曲「殺意のバカンス」、一転ポップで凝った曲構成にときめく「好きと言いなさい」、松本隆さん作詞で新人賞レースの勝負曲「Temptation(誘惑)」、本格ブレイクとなった大ヒット曲「1986年のマリリン」、女チャップリンのメッセージソング「Oneway Generation」など、さすがは日音、やはり一連の筒美作品が光ります。
 各B面もあなどれませんので今回まとまることに期待してますが、筒美作品では、後に美奈子さんと親交を温めることになるクイーンの「ボーン・トゥ・ラヴ・ ユー」な「青い週末」がベストだと思っています。

 また、筒美先生以外のナンバーでも、ゲイリー・ムーアの傑作「the Cross -愛の十字架-」、主演映画「パッセンジャー」の主題歌にしてコブシを振り上げる「孤独なハリケーン」や、大村憲司さんのアレンジとプレイがスリリングな美奈子流Shall weダンス「悲しみSWING」など名曲多数。
 キヨシローちゃん提供でガールズロックバンド結成に突っ走った「あなたと、熱帯」なんかも、世間の評価とは裏腹、とても良いと思っているのですが…。

 ともあれ、2枚組ぐらいの気軽なボリュームで、シングル全曲が時系列できちんと聴けるというのはベスト盤にとって基本中の基本だと思うのですが、実はコレがなかなかままならないものなんですよね。件の聖子ちゃんしかり、ヒット曲の多い大御所ほどそういう傾向にあって、美奈子さんの場合も大がかりなBOX以外では無理だったりしたのです。

 そのBOXとは、生前の2004年、アイドル・ミラクルバイブルの特別編のような形で出た「 本田美奈子BOX 」ですが、コレは東芝EMIのアイドル〜ロック時代にリリースされたスタジオ録音音源はほぼそろう内容。当初は5千セットの限定盤でしたが、逝去の報を受け追加生産され追悼BOXとしてヒットし、現在も入手可能です。今回リリース分では物足りないという方には、こちらをオススメします。

 また2007年に出されたミニBOX「 ANGEL VOICE(DVD付) 」には、お蔵入りになっていた未発表8曲が収録されているので、2004年のBOXを持っている人もあなどれない感じではないでしょうか。

 本田さんの場合、ビジュアル時代の80年代のアイドルですから、映像の方もBOXやベスト企画の特典DVDにとどまらず、多数が商品化されてます。ビデオソフトとしてもEMIの廉価版“見体験!BEST NOW DVDシリーズ”として「 MINAKO/ザ・ヴァージンライヴ IN BUDOKAN [DVD] 」「 ドラマティック・フラッシュ [DVD] 」「 DISPA 1987 [DVD] 」がDVD化済みですが、今回のBOXは初DVD化となる映像という配慮が施されていますんで、既発商品をコレクションしている人でもためらうことなく欲しいと思えるのでは。

 というか、今回収録されるベッテンの映像は、CSやBSでも再放送されていないホントのお宝ですもんね。個人的には、志村香と出たスポットライトや、波紋を呼んだアーティスト発言とか、トンガってた頃の美奈子さんのトークも見たいものです。

 ところで、東芝EMIの本田美奈子というアーティストを振り返ると、伊藤咲子以来久々に成功した純正アイドルなのですよね(薬師丸ひろ子や原田知世といった角川系は移籍組なので除く)。
 カバーポップスや歌謡曲の黄金時代には隆盛を極めた東芝ですが、その後はエキスプレスのフォーク・ロック、ニューミュージック系では大成功を収めたものの、アイドルは今一つ抜けきれなかった感があります。

 専属契約で垣根を跳び越えるのが難しかった時代、そういう意味では東芝EMIこそ最もニューミュージック系とアイドルをコラボさせやすいレコード会社であったはずなんですけど、歌謡曲とニューミュージックの融合が進んだ80年代前半でも、なかなか目立ったアイドルヒットが出なくて、タイミングというか、時流に合わない雰囲気が漂っていたのですね。
 東芝タレント・スカウト・キャラバン優勝者を見れば明らかですが…。それが美奈子さんの登場でようやく息を吹き返し、後発もそれに続いたという感があります。

 余談ですが、美奈子さんの歌を初めて聴いた時、伊藤咲子さんの発声に似ていると思ったことでしたが、実はそれこそが後に渋谷森久プロデューサーの創作心を刺激させた部分かもしれませんね。

 と、美奈子さんのことを思い出すとどうしても感慨深くなってしまうのですが、それはファンというだけでなく、同じ昭和42年に生を受け、まったくもって同い年だからかも。彼女が努力と根性で生き抜いた軌跡は、いろんな点で大きな意味を持って、日々を生きる上で励みになったり、慰めになったりしているのです。
 きっと今回のBOXからも、いろんな力をもらえそうな、そんな気がしています。

(2011.8.18)

*CD2枚は、MINAKO with WILD CATSを含むEMI時代の全シングル18枚のAB面を完全収録したシングルコレクション。
 DVDは1枚が「ザ・ベストテン」「ロッテ歌のアルバム」「8時だョ!全員集合」などTBSのテレビ番組出演映像をコンパイルした出演映像コレクション。もう1枚が1987年の武道館ライブ「もっともっとDISPA」(TBS 1987年11月1日放送、既発売の「DISPA 1987」とは異なる曲目の“別バージョンDISPA”)になるということです。


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