7年ぶりにシリーズ復活!郷愁・哀愁・青春名曲集
1970年代のフォーク&ニューミュージックや歌謡曲を中心にした近年のナツメロブームですが、衰えることを知らないといいますか、安定した人気が続いています。今や1つのジャンルとして認知され、各種ベスト盤やコンピ盤はCDショップでもちゃんとした居場所を得ていますよね。
店頭販売が厳しいという状況は依然続いていますし、発売はされてもショップから発注されないタイトルが増えてしまっている中、以前は大手ショップにもなかなか並ぶことのなかったアルバムが、懐かしの歌謡曲系コーナーができたおかげで日の目を見られた…なんていう喜ばしいケースも結構あるような気がします。
こういうブームを大きく牽引してきたのは、やはり今春の番組改編期も目立っているテレビの名曲特番といえるでしょう。むろん局側の事情とか、いろんな要因がからんでそうなっているフシもありますが、何だかんだ言ってもここま続いているのは、厚い支持を受けているからにほかなりません。
この場合、その中心層といえるのが、団塊世代よりその下、シラケ世代といわれてきたテレビっ子世代のようです。
むろんその下の新人類と呼ばれた我々世代にとっても、幼少期ではありますが、すべてリアルタイムで知っているおなじみのナンバーだったりします。
また、あの時代のヒット曲って、今とは浸透度が全然違いますし、リアルでない世代にも時を超えた名曲として支持を受けていますので、国民的認知度はかなりなものがあるといえますよね。
確かに楽曲がいいというのも必須条件ですけれど、そんなこんなで1970年代後半から80年代頭にかけての名曲ブームが成り立っているように思います。
と、あの時代の名曲を集めたコンピは数々存在しますが、その中でも、フォーク&ニューミュージックや歌謡曲を中心に青春ソングをセレクトし大好評を博してきたのが「夢色空間」シリーズ。
青春の甘酸っぱい気分を思い出させる楽曲や、旅情を感じさせる楽曲など、ノスタルジックな空気感満載の内容で、これまで2002年の旅情編と純情編、2005年の青春編という合計3タイトルが発売済みでした。
このシリーズ、ほのぼのタッチのジャケットの効果もあってか、いずれも結構なセールスを記録してきたそうですが、このたび7年ぶりに復活。
満を持した「 夢色空間~総集編 」として、来週リリースされることになりました。
既発のアルバムは王道のナンバーに混じって、え?というモノが混じってたりしてたトコも大きな魅力でしたが、今回は総集編ということですから、全20曲の中でもそういうニュアンスが感じられるのは、狩人の「コスモス街道」、野口五郎の「針葉樹」のみ。
といってもいずれもオリコンTOP5に入る大ヒットですから、大ヒットではあるものの代表曲ではないという感じでしょうか。
あとは誰もが知ってる定番の名曲がたっぷり収録されています。
オープニングの「翼をください」を筆頭に、みんなで声をそろえて歌えるナンバーが多いのですが、森田公一とトップギャラン「青春時代」、ビリー・バンバン「白いブランコ」、チューリップ「心の旅」、山本コウタローとウィークエンド「岬めぐり」などなど、なんとなく遠足や修学旅行の折、ガリ版で作った「歌の栞」を彷彿とさせる印象もありますね。
個人的にも昔から大好きな海援隊「贈る言葉」、西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」とう名作ドラマ主題歌や、イルカ「なごり雪」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」という同時期ヒットの列車系春の旅立ちソングなどは、もう何千回、いや何万回聴いたか分からないのに、いつ聴いてもノスタルジックな気分になってしまいます。
また、単なる懐かしさだけでなく、いろんな意味で今にふさわしいといえる歌もありまして、昨年ソフトバンクのCMで流れたあみん「待つわ」から、亡きスーちゃんを偲ぶようなキャンディーズ「アン・ドゥ・トロワ」、年を取るごとにこの歌の真意が分かってくる山口百恵「いい日 旅立ち」、復興を祈り、杜の都へと思いを馳せたいさとう宗幸「青葉城恋唄」…今だからじっくりと、今だからともに聴きたいチョイスも感じられます。
という名曲たちを集めた名コンピ。個人的にはこの春退職する先輩へ、お餞別代わりの贈り物にしようと思っています。なぜなら、彼はこれらがヒットした時代に青春という時期を送った人だから…。もっとも手前ミソ的な感じもないとはいえませんがね。
実は先日、その方の送別会の三次会カラオケで、偶然にもこのアルバムにも入っている曲をたくさん歌い合って、痛感したのです。
甘酸っぱくてほろ苦い青春時代というものはいつの世にも存在しますが、その時代にヒットしたナンバーは、その時代の主役として青春を謳歌した世代のものだってことに。
そして、いくらリアルタイムで知っていても、いくらその曲が好きでも、真の主役ではなかった我々がその歌に寄せる思いは、彼らの思い入れには到底かなわないってことに…。
もしも今お近くにそういう方がいるなら、ぜひこのアルバムをお贈りください。きっと特別な気持ちで喜んでいただけることと思いますから…。
(2012.3.22)