コアファンも必携! オールカラーブックの“懐刻盤”ベスト!
歌は二の次、ルックスに惹かれてアイドルの熱心なファンになるのは世の習いですし、カラーテレビ時代以降すなわち70年代からのアイドルは、ほとんどがビジュアル込みで成立することを念頭にデビューしてきたのは事実だと思います。
その流れは今に至るまで続いているようですし、CDというメディアにおいても、パッケージ派のリアル世代にとってはアイドルの場合、音源だけ持ってるからすべて満足というわけにはいかない人が多いのではないかと思います。懐かし系でさえ映像集DVDの発売は期待が高まる一方でしょうし、CDだってひと通り復刻が終わった今となっては、いろんな要素がプラスされていればまた新鮮な購買意欲がわいてくるものです。
そういう意味において大好評を博しているのが、復刻を越えた“懐刻盤”というコンセプトのもと、ソニーミュージックのGOLDEN☆BESTの中で展開されているCD。
そう、CBS・ソニー時代に一世を風靡したヤングアイドルたちのオールカラー・ブックレットシリーズです。
選曲は王道なのでビギナー向けという印象をお持ちの方も多いでしょうが、実はコアなファンをも大満足させるシロモノ。それがオールカラーブックレットというわけで、とにかくスゴイ充実度なのです。
特筆すべきは、往年のアイドル誌の付録の歌本をイメージさせるデザイン＆レイアウト。歌詞部分のデザインがジャケ写と同じタイトルロゴを使ってたり、写真がシングルの別カットを中心にセレクトされていたり、さすがわかっていらっしゃるという感じ。
デザイナーさんの手腕は言わずもがな、細かく見れば見るほど思い入れがビンビン伝わってくる凝りようなのですね、これが。
パッと見は明星ヤンソンの巻頭カラーか、平凡ソングの口絵ジャケットか、という雰囲気ですが、個人的には歌本ではなく、近代映画本誌巻頭のスターポートレート。
だって、明星とか平凡は基本自社撮影で時にはレコード会社に提供する立場だったけど、近代映画ってメーカーの提供写真というイメージがあったりして…。でも、ワタシには自社撮影でなくそのメーカー提供写真ってとこが、たまらないのです。
やっぱりアイドルって美しく変身したり、いろいろイメチェンを重ねるものですから、デビューからの変遷を追える写真、それもレコードジャケットに準ずるカットが載っているのは、この上ないお楽しみ。うっとり見入ってしまうこと請け合いなのですが、このシリーズはそれだけじゃなく、オリジナルの発売日や型番はもとより、収録されていないB面のタイトルも記載されるなど、資料価値も高いものなのです。
という懐刻盤オールカラー・ブックレットシリーズですが、最初のリリースは2009年、ソニーのアイドルものの試金石と呼べる百恵ちゃん（こちらで紹介）でした。次いでソニーのおニャン子（こちらで紹介）、ソニーのアイドルのパイオニアであるシンシア（こちらで紹介）ときて、今回キャンディーズの登場となります。
それが、デビュー曲の「あなたに夢中」から解散後に出た「つばさ」まで、73年から78年までの18枚のシングルＡ面すべてを発売順に収録した「 GOLDEN☆BEST キャンディーズ コンプリート・シングルコレクション
」！そういえば、きょう４月４日は、奇しくもキャンディーズの解散記念日。別にこの日を狙って彼女たちの1676日を凝縮したベストをご紹介したワケではありませんが、ファンの皆さんは33年前のあの日を思い出して気持ち的にもアガっていただけたらと思います。
さて、キャンディーズの場合、CDが発明されて以来、数多のベスト盤が出ていますが、気軽に聴ける１枚もので全シングルが収録されたのはなんと2000年の「2000 BEST」１枚きりだった模様。
しかし、コレはリリース順ではなかったため、今回のベストが純然たるコンプリート・シングル・コレクションになります。
であるからして、内容から見てもプライスの面から見ても、キャンディーズのCDを持ってないビギナーの方がとりあえず押さえておきたい１枚といえるでしょう。
とはいえ、そこはれっきとした“懐刻盤”ですから、熱心なキャンディーズのファンこそ、このCDの素晴らしさが最も理解できるのではないか思いますし、ぜひご入手をオススメします。音源は持っているし、全部ダブっているから躊躇してしまうという皆さん、今回は手持ちのベストを手放してでも買い直す価値はありますぞ。
ＣＢＳ・ソニーのアイドルはまだまだ大勢いますから、順次この“懐刻盤”スタイルのオールカラー・ブックレット盤が続きますように。そして定番ベストとして末永く残り続けますように！
（2011.4.4）
2011年４月21日、キャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんが逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
