オトナの遠足や修学旅行に必携、CD版・旅の栞!
ああ、この煩わしい日常を離れ、のんびりゆっくり、知らないところを旅してみたいな。などと思うのは、やはり秋が深まり、何をするにもいい季節になってきたせいでしょうか。
あちこち出かけるワリにはいつもハードスケジュールとか、トンボ返りが多く、忙しないと言われることの多いワタシですが(ホントはのんびり屋)、来月にはちょっと大きな旅行が控えていて、準備も楽しみな日々を送っております。
さて、国内はもちろん海外に行くときも、旅の道連れはやっぱりうた。たとえ知らない土地へのひとり旅であっても、耳になじんだ歌詞やメロディーがあれば、勇気百倍。また気心知れた仲間たちと旅するときは、一緒に歌えば絆や思い出も余計に深まります。
そんな時にオススメなのが、間もなく発売となるこの旅うたコンピ、その名もズバリ「 旅のうた 」。
「旅」をテーマにしたヒット曲や、旅情感あふれる名曲たちを、70年代を中心に集めた2枚組全38曲。旅のお供にぴったりだし、部屋で聴いているだけでも旅気分にどっぷり浸れること請け合いです。
百恵ちゃんのディスカバージャパン「いい日 旅立ち」をオープニングに、太田裕美「木綿のハンカチーフ」など、別れの旅立ちというものも入っておりますが、いずれも列車に乗って旅するうたばかり。
昔の国内旅行の交通機関といえば、チェリッシュ「はつかり号は北国へ」や狩人「あずさ2号」に代表されるように、列車が最も身近な存在でしたから、当然といえば当然です。
よしだたくろうがバックバンドの猫を連れて「旅の宿」へ向かうときも「各駅停車」でしたし、チューリップ「心の旅」も、イルカ「なごり雪」も、海援隊「思えば遠くへ来たもんだ」も、堺正章「さらば恋人」も、因幡晃「別涙」も、みーんな列車。それも夜汽車がメインなんですよね。
麻生よう子「逃避行」のように町を捨てて逃げる時も必須。逆に、アリス「遠くで汽笛を聞きながら」のように、旅を終えて腰を落ち着ける時も、その象徴は汽車なんですよね。
遠方へと向かう交通手段は、なんたって夜行列車だった時代。うーむ、よく耳にするおなじみの名曲であっても、そういう背景にまで思いを馳せるとまた違った趣がありますね。
鉄ちゃんや鉄子さんにとっては、マストアイテムともいえそうです。
また、行き先という視点からは、トワ・エ・モワの「虹と雪のバラード」、お登紀さんの「知床旅情」という北海道ツアーから始まって、杜の都の仙八先生による「青葉城恋歌」、森高の日光いい旅・夢気分な「渡良瀬橋」へ。
西日本に入るとロン毛だった布施御大の「旅愁~斑鳩にて」、外人さんを従えた渚ゆう子「京都慕情」と奈良、京都の古都巡りを。そして小柳ルミ子「泣きぬれてひとり旅」では、京都から金沢へ。終点のTHE BOOMの沖縄風ソング「島唄(オリジナル・バージョン)」まで、全国行脚が楽しめます。
さらに海外旅行もまた楽し。猿岩石のヒッチハイク「白い雲のように」よりは、やっぱり松田聖子の優雅な「旅立ちはフリージア」。オリエントエクスプレスで行くヨーロッパの旅に憧れます。
オシャレといえば、ハイ・ファイ・セット「中央フリーウェイ」のドライブ旅行もオススメです。
また人生や青春を旅に例えることも多い人の世です。松山千春「人生(たび)の空から」、中村雅俊「俺たちの旅」、河島英五「旅的途上」、永井龍雲「道標ない旅」などで、哲学するひとり旅や自分探しをしてみるのも一興ですね。
79年版で収録されたジェリー藤尾の名曲「’79遠くへ行きたい」や、心優しき抒情詩人・村下孝蔵の歌声がしみ入る「この国に生まれてよかった」も、旅の情緒を盛り上げてくれそう。
余談になりますけど、個人的に欠かせない旅うたも収録されております。それは74年、小学校に入って初めての夏休み。神戸から奈良へ、初旅行の思い出と重なる山本コウタローとウィークエンド「岬めぐり」です。
子どもの頃は三半規管が弱く、ブランコでも酔ってしまうほど乗り物に弱かったワタシ。トラベルミンジュニアを片時も手放せなかったりつらい思い出も少なくないのですが、とにかく鮮烈に覚えているんですよね。今もあのリコーダーのイントロを聴くたび、心はあの夏休みにトリップしています。
そんな思い出に浸りつつ、旅したい衝動に駆られるであろうこのコンピ。名所スタンプを押しまくった70年代の修学旅行を思わせる“懐刻盤”っぽいイラストのジャケットも秀逸で、ブックレットはオトナの旅の栞といえそうですネ。
なお、旅うた集というワケではありませんが、青春18きっぷでガタゴトのんびり列車旅行に合いそうな歌謡曲コンピ「 コレカラ、青春18ソング 」も同日発売。
これは文字通りリクルートの50代からのセカンドライフ情報誌「コレカラ」と渡辺音楽出版、そしてキングの共同企画によるもの。やや年代が上になりますが、鉄ちゃんや鉄子の皆さんが喜びそうなジャケットも郷愁を誘うと思いますので、オトナの遠足や修学旅行のお供に、こちらも併せてどうぞ。
(2010.10.25)