お得なプライスで再発！ゴローのシングルA面全集！
その３人の中でも圧倒的な歌唱力を誇るといえば、やっぱりゴロー。他の２人より先にデビュー40周年に突入し、今夏には渾身のカバーアルバム「GORO Prize Years, Prize Songs 〜五郎と生きた昭和の歌たち〜」（こちらで紹介）を発表。オリコン50位をマークし、久々のチャートインを飾るヒットを記録したのは記憶に新しいところです。
また、デビュー同期にしてカックラキン名コンビでもおなじみの研ナオコと、40周年記念のジョイントコンサートを全国展開。得意のダジャレギャグで往年のファンを大喜びさせているといいますから、ホントうれしい限りですよね。
そんなゴローですが、復刻という視点から見ると、ボックスがコンスタントに発売されたヒデキやひろみに比べ、きちんとした全集は長いこと出ていませんでした。2000年にボックスが出たり、単発ベストはコンスタントにリリースされていたものの、シングル曲を一堂に聴けるCDは、1997年4月に4枚組の「FACE-GORO A SIDE STORY-」が限定発売されたきりだったのです。
これは71年のデビュー曲「博多みれん」からリリース当時の最新曲だった96年「さよならは，誰のため」まで、全57曲を収録したA面コレクションとあって、五郎の軌跡をたどるにはうってつけのセット。アイドル＆歌謡曲ファンからはBOXよりも人気が高く、売り切れとなってからはプレミアがつくほどだったといいます。
しかし、なんたって今年はアニバーサリーイヤー。活動も活発、新譜も好調ということもあってか、そのシングル全集「 FACE/GORO A SIDE STORY
」が価格もぐーんと下がって再発されることになりました！13年前は9500円もしていたのに、今回は6500円。3千円もお得になる上、きっといい音になっているでしょうから、前回買い逃したゴローファンのみならず、昭和歌謡コレクターにとってもマストアイテムといえそうです。
デビュー当時のゴローといえば七三のヨコワケハンサム、デビュー曲「博多みれん」は演歌タッチ。当時のフレッシュな男性ヤングスターといえば、にしきのあきらや野村真樹。いずれもポップスではなく演歌・歌謡曲寄りのラインでしたし、ゴローはなまじっか歌が上手いだけにそういう路線を歩まされたのかもしれないですけど、パッとしなかったのですね。
でも、これが功を奏して、第２弾からは青春歌謡ポップスへとシフト。筒美先生による名曲「青いリンゴ」がスマッシュヒットし、髪も長くして人気が爆発していったのです。
確か岐阜のご実家ではお母さんが美容師さんで、小さい頃からパーマとかの実験台にされていたというゴロー。そのせいか髪質には定評があって、しなやかな長髪がバッチリ似合っていましたっけ。
当時の写真を見ても、固いヒデキやクセっ毛のひろみに比べ、美しいおぐしのゴローでしたが、コレもゴローの人気の一因ではなかったでしょうか。
翌72年、６枚目のシングル「めぐり逢う青春」で紅白歌合戦に初出場したゴロー。70年代の男性アイドル第一人者となって、デビューしたばかりの麻丘めぐみや森昌子らとよくペアになって雑誌の表紙やグラビアを飾っていました。
続くヒデキやひろみが進むべき轍を作ったのは確かにゴロー。その功績は大なるモノがありますよね。
コンスタントに大ヒットを飛ばしていくのは、新御三家として盛り上がり、アイドルブームの相乗効果を生み出した73年から。その代表が明星募集歌にして大名曲の筒美ナンバー「オレンジの雨」や、ロンドンレコーディングが話題になった「君が美しすぎて」です。
テレビでもゴローが出ると、客席からは悲鳴と言っていいほどの黄色い声援が上がりましたが、アレはひろみやヒデキのファンよりも熱っぽかった感じでした。一見地味でもゴローを支える女性ファンたちの情熱は、新御三家ではナンバー１だったように思います。
もちろん、彼女たちを失神させるほど絶唱したゴローの歌があってこそでしょうけど、当時よくFCでグァムなどに出かけてたツアーの様子を聞くたび、ゴローファンのスゴさに感動したものです。
そして新御三家トップを張った絶頂期。フォーク歌謡ブームは、まさにボーカリスト・ゴローの独壇場でした。筒美先生の「甘い生活」、お兄さん作の「私鉄沿線」という２曲のナンバー１ヒットはホントに鉄壁ですね。
ゴローの歌って、詩がいいのか、歌心がいいのか、叙情的で情景が浮かび上がってくるのが魅力だと思いますが、この２曲はあの頃の喫茶店のコーヒーの匂いに包まれるような感覚をおぼえます。
忘れてはならないのが、大好きな和製AORの名曲「きらめき」。日本テレビ音楽祭グランプリに輝き、新御三家としては最初に栄冠を手にしたんですよね。クラスのゴロー派（中学年だったので少数派だった）が２学期早々態度がデカくなっていたことも懐かしい思い出です。
あと、個人的な思い出でいえば「悲しみの日曜日」「青い日曜日」といった日曜日路線。歌よりも「曜」が略字だったこと。実はこの略字の方を先に覚えたもんで、後に小学校の先生にビックリされた覚えがあります。
ここからのゴローの曲はホントによくって、主演映画の主題歌「季節風」にしても、フォーク風の「風の駅」にしても、一見地味なのに実はバリエーション豊かで、ものすごく練られているような気がします。
78年から79年は最高峰ではないでしょうか。歌謡曲タッチですけど、曲構成がいい「愛よ甦れ」（ヒデキの「ブルースカイブルー」とのコラボは素晴らしかった！）、有線ヒットを狙った演歌チックな「泣き上手」、そして再評価がグンハツに高いフュージョン歌謡「グッド・ラック」。
合唱曲風の「送春曲」をはさみ、ギター少年ゴローのソウル＆ディスコ「真夏の夜の夢」、まったくのフュージョン「女になって出直せよ」、そしてニューミュージック系の「青春の一冊」。どれも安心して聴けるのにもかかわらず、スリリングです。
80年代にはたのきんの台頭によって、レコードセールスがパワーダウンしてしまいますが、その分ファンの結束は強まったような気がします。
ゴローの音楽性をサポートした東海林修さんの感動作「コーラス・ライン」は、ハートウオーミングなリサイタルの雰囲気が楽しめるライブテイクですが、レコード売り上げは最高24位なのに、ザ・ベストテン入り。リクエストがスゴかったんです。それにしてもシンプルで優しくて、思わず口ずさんでしまう名曲ですよね。
その後も、カッコいいサンダーレイン「愁雷」、ゴローらしいスケールの大きな「序曲・愛」など、印象的なナンバーを放ったゴロー。
83年には、ドラマ主題歌として久々のヒットを記録したビージーズな筒美作品「19:00の街」で健在ぶりを証明しましたし、益田喜頓さんとのデュエットナンバーにして都倉作品「さらば友よー最後の握手ー」などもステキですよね。
というゴローのA面コレクション。今回、敬愛するサンタナのカバーでGORO名義によるスマッシュヒットとなった「愛がメラメラ-SMOOTH- 」や、ケミストリーの松尾Pプロデュースで話題を集めた久々の筒美作品「Sweet Rain」などが追加収録されれば言うことないんですけどね。
ともあれ、ゴローの足跡をつぶさに追える全集ですし、コレは必買いでしょう。中途半端なベストは手放して、ぜひこちらをお手元に。
（2010.11.10）
