キュートなガーリーポップのBlu-specコンピ、第3弾!
出せば全部が売れるというワケでもないでしょうに、相変わらずコンスタントな復刻盤やコンピ盤のリリースが続くカタログ市場。マニアはパッケージを欲しがるものだし、ある程度の需要が見込めるにしても、もはや人気があるからではなく低予算のワリに手堅いというのが現実のよーな気がします。
むろん飢餓状態だった昔のことを思えば感謝きわまりない夢のようですが、先のことを考えると市場が拡大するとは思えないし、諸手を挙げて喜んでしまうには不安も大きいのですけれど。
そんな昨今ではありますが、ウレシイ状況であることに違いはありません。しかし「迷ったら買う」を信条とするワタシの場合、次から次へと入手してしまうCDは積ん読ならぬ積ん聴(?)状態が進む一方。なかなか聴く時間を持てなかったりしています。
そこはドッコイ、ながら勉強世代。であるからして、いろんな作業のBGMにでも流しながら聴こう!とステレオだけでなくPCで再生したりもするのですが、最近は、なんだか右から左へスルーしてしまうようになったりして。昔は、深夜放送のおしゃべりや邦楽の歌詩なんか、暗記ものを一夜漬けしながらでも全然平気で、両方ちゃんと頭に入ってきてたのになあ…。
意識の分散と集中が自由自在にできるイマドキのデジタル・ネイティブのヤングがウラヤマシイ限りですが、そんな時、帰り着いてしまうのはやっぱり王道のうたなのですね。
好みでなかろうが、聴く気がなかろうが、その時代の中心に流れ続け、否が応でも身に染みついちゃってるうたたちには、有無を言わせぬ力があり、ながら効果もグンバツ。ずっと聴いてきて思い入れたっぷりの隠れ名曲みたいに心をとらわれることも少なく、いつも無意識下で口ずさめ、作業もはかどったりしているのです。
そんな時は皆さんにもあるのかどうか分かりませんが、きちっと聴くだけでなく、ながら作業にもオススメなのが、やっぱりアイドルを中心にしたガーリーポップスのコンピ盤。
このところ、Blu-specでキラキラ度がアップしているLovelyシリーズを愛聴しておりますが、来週にはもう1枚が仲間入り。それが、ポップス(こちらで紹介)、ビーナス(こちらで紹介)に続く第3弾、今回も収録時間ギリギリいっぱい、2枚組で全38曲収録の「 ラブリー・プリンセス 」です。
このシリーズは70〜80年代のラブリーな女性ボーカルによるヒット曲コンピとしておなじみですが、3作目ともなるとちょっとシブイ選曲も見え隠れしたりして。
ナツメロ名曲系歌番組で歌う代表曲ではない、二番手、三番手の忘れられがちなナンバーが入っているアーティストもいたり、組み合わせの妙を思わせるメンツが揃っていたり、単に曲を聴くだけでなく、タイアップやアーティストとの相関図にまで思いを馳せたり、アレコレイロイロ楽しめそうな感じです。
例えば、昨年大きな話題を呼んだ資生堂IN&OUT“よみがえれ、私。”カルテット。CM契約続行中で相変わらずお美しい石川秀美のブレイク寸前ナンバー「涙のペーパームーン」をはじめ、荻野目洋子のASKAソング「DEAR~コバルトの彼方へ~」、河合その子のおニャン子卒業後第1弾「再会のラビリンス」と、杉作の伊藤つかさ以外は揃い踏み。
資生堂のCMといえば、カネボウとの化粧品戦争も忘れられませんが、ココでは中山美穂「ツイてるね ノッてるね」、EPO「う、ふ、ふ、ふ、」で、カネボウの松田聖子「Rock’n Rouge」、工藤静香「MUGO・ん…色っぽい」、ザ・ヴィーナス「キッスは目にして!」とタイマンです。
タイマンは山田麗子の専売特許でしたが、三原順子は銀蝿一家のバックアップによる「だって・フォーリンラブ・突然」を収録。この歌で再びヒット戦線に躍り出て、紅白にも出ちゃいましたが、まさか山田麗子が参議院の先生になろうとは、いったい誰が想像したでしょうか…。
ライバルという括りでいえば、キャンディーズVSピンク・レディーは、現役最後のシングルにして初のナンバー1ヒット「微笑がえし」と、最後のトップ10ヒット「波乗りパイレーツ」と好対照。
80年組・浪花娘のナオナオとヨシヨシは、「スマイル・フォー・ミー」「ハロー・グッバイ」と仲良く81年の出世作。聖子VS明菜は「天国のキッス」「セカンド・ラブ」で火花を散らします。
また、聖子デビューの80年は劇的なアイドル世代交代が語り草ですが、聖子へとマイクを渡したのが百恵ちゃん。この2人は別格でそれぞれ2曲ずつ入っていますが、曲中空白時間がある「プレイバック Part 2」と伏せ字の「美・サイレント」なんて前代未聞でした。やっぱ百恵ちゃんの突出具合はスゴイと感心した次第です。
ほかに、78年の女性ニューミュージックブームからは、大橋純子「たそがれマイ・ラブ」、渡辺真知子「かもめが翔んだ日」、中原理恵「ディスコ・レディー」を。また、超王道ではありますが、REBECCA「フレンズ」、渡辺美里「My Revolution」、プリプリ「DIAMONDS」といった80年代後半に大ヒットした永遠の名曲もしっかり入ってます。
欲を言えば、斉藤由貴「卒業」、南野陽子「秋からも、そばにいて」と初代&二代目のスケバン刑事がくるなら三代目の浅香唯も入れて欲しかった、というのが人情。
それでいうなら新田恵利「恋のロープをほどかないで」があるなら、やっぱり国生も…と願いは尽きませんが、そんなこんなでいろんな楽しみ方ができそう。
これをお読みの皆さんは音源をお持ちのものばかりでしょうし、マニアの中には王道系コンピを興味を示さない方が多いことも承知しておりますが、ボーカルに磨きがかかって聴こえる(注・あくまで個人の感想です)高品質CDですし、手持ちの音源とはカラット数が違うかもしれませんので、ぜひご一聴を。
なお、その他の個人的注目コンピとしては、浅田美代子「わたしの宵待草」は入ってないけど、南沙織「バラのかげり」やイルカ「バラのお嬢さん」などファン泣かせのシブめの選曲がグーな草花昭和歌謡集「 花ざかり 」が来月に出るとのことです。
(2011.1.19)