千里史上初、シングル曲だけのベストがG☆Bに登場！
さて、新年最初の更新は、おなじみGOLDEN☆BESTシリーズのオススメ新作です。
G☆Bシリーズといえば、2002年、“今あるJ-POPの礎となった音楽を、心をこめてあなたに伝えたい…。”というキャッチフレーズととともにソニー、EMI、フォーライフの３社合同企画としてスタート。歳月を経るに連れ、ユニバーサル、クラウン、徳間、コロムビア、ビクターと次第にメーカーの輪も広がり、今ではメジャーなアーティストからマニアックなものまで、ジャンルも超えて膨大なスケールの定番ベストへと成長しました。
知名度の高いシングルヒットが抜かりなくセレクトされているわ、収録時間ギリギリまでめいっぱい入っているわで、メチャお買い得ですし、とりあえずは押さえておきたい入門編としても定評のあるG☆B。
今年に入り、なんとポニーキャニオンもついに参入することになったようですし、ソニー、EMI、コロムビアも併せ、２月発売のタイトルは活況を帯びているようです。
で、今回のラインアップには大好きなアーティストが仲間入り。そう、大江千里クンの「 GOLDEN☆BEST 大江千里
」がついに登場するのです！千里クンといえば、現在はNYで武者修行中でいらっしゃいますし、単独新作のリリースは長らくありませんが、この前帰国された際にはヒロリンのカバーアルバムに参加したり（BOX「 Dear Friends BOX(DVD付)
」にのみ付いているDVDでは動く千里クンがチラリと見られますゾ！コアなファンは必見です！）、ジャズの師匠、河上修さんの40周年記念アルバム「
デュオ
」（失礼ながら千里クンのピアノの腕にオドロキ！温かいあうんの呼吸とピンとした緊張感のバランスにもシビれます）をセッションしたり、日本で首を長〜くして待っているファンにもウレシイ出来事が相次ぎましたよね。また、オーダーメイドファクトリーの動きも盛んで、暮れには初期のビデオDVD＆ブックのスペシャル復刻セット「 SENRI OE FANTASTIC MEMORIAL on PATI PATI & BEE
ワタシ自身、EPICのBEEのビデコンで見て以来約26年ぶりとなる映像を目にした際には、キラキラしたティーンエイジャーの頃が走馬燈状態。ホントお恥ずかしい限りですが、若き千里クンについ自分自身を重ねて見てしまったようで、戻れない日々を偲び、変わり果てたこの身を嘆き、ついには号泣してしまったりして…。
そんなところにG☆B発売の知らせが届いたのですから、もう胸キュン、いや万感胸に迫る思いがしたのです。
さて、これまで千里クンのベストとして知られているのはSloppy Joeシリーズ。CDのみのチャートでは千里クン初の１位を記録する大ヒットとなった88年の第１作から、2006年に出たリクエストベストの第３弾までの３枚に加え、番外編２枚（「WINTER JOE」「2000 JOE」）という計５タイトルがリリースされていました。
さらに、EPIC25周年記念シリーズとして限定リマスター・ベスト「THE LEGEND」も出ていますが、これらはいずれもアルバム曲を中心にした名曲ベストだったワケです。
その点、G☆Bは基本的にヒットシングルが優先されるシリーズ。そう、千里クン史上初、シングルリリースされた曲のみで構成されたベスト盤になるんです。
収録予定の18曲をひもときますと、83年の男性ポップ革命となったデビュー曲「ワラビーぬぎすてて」、80年代の青春がよみがえる「ふたつの宿題」「BOYS & GIRLS」といった胸キュンナンバー、初期千里の代表曲となった初のスマッシュヒット「十人十色」、初めてたくましさを感じた「REAL」、とにかく泣ける「フレンド」、名曲中の名曲「きみと生きたい」と、陰影に富んでいながらもキラキラと輝く千里ポップがズラリ。
明るく弾けた「YOU」、一段と男っぽくなった「GLORY DAYS」、千里流わびさびを感じる「これから」、やまかつ的バラエティーっぽいけど高品質ポップ「おねがい天国」と、一連の疾走感あるメタモルフォーゼといったらどうでしょう。
また、タイアップ全盛期の90年代はスズキカルタスのCMソング「dear」、まだアイドルだった島崎和歌子を相手役にした主演映画「スキ！」の主題歌「あいたい」など、トップテンヒットを連発。そして鶴ちゃん主演のドラマ「結婚したい男たち」の主題歌「格好悪いふられ方」はオリコン２位まで上昇、自身最大のヒットを記録したのです。
千里クンのファッションで言うならサーファー、トラッドからプレッピー、そしてDCを経てアメカジへと移り変わった時代。ヘアスタイルもブロー命のソフトパーマ、グラボブから、ムースでまとめたソフトリーゼント、そして驚異の坊主頭、前髪を立ち上げたタンタンヘアへ。
この流れを聴いていたら、少年が青年へと変化するように、哲学してるオトコのコから男・千里へと進化していった過程が手に取るようです。
80年代から90年代へ、まさに千里ソングの世界に導かれるようにしてオトナになっていったことを深く実感しますし、そういう意味ではいつも千里クンの歌が流れていた頃に青春時代を送った皆さんにぜひ聴いてもらいたいと思いますね。
他にも、静かなバラードなのに「十年愛」のメリーゴーランド千里を思い出してつい笑ってしまう「ありがとう」、ポンキッキーズで子どもファンを開拓した「夏の決心」、NHK「みんなのうた」で話題を呼んだ抒情歌「秋唄」、そして2000年代、すべてを自分自身でやるようになってからの代表的な名バラード「Let it be, SWEET」まで、ギッシリ収録されるようです。
アルバムに入れる時にミックスをし直したり、ベストでは別物にしたり、シングルでしか聴けないバージョンも多い千里クン。今回のG☆Bには純粋なシングルバージョンが収録されると思いますので、コアなファンにとってもマストアイテムとなるのではないでしょうか。
あのストイックな姿勢が貫かれている限り、千里クンが紡ぎ出す音楽は日々進化していくことでしょうが、これらシンガー・ソングライター大江千里として発表したナンバーがルーツであることに違いありません。
そして、国内での音楽活動が休止されている間、このベストが千里クンの再評価のきっかけを作ることになったら素晴らしいと思いますし、後世にまで残り「そういえばSENRI OEって、かつてポップソングを書いて自分で歌っていたんだって?!」と次世代の千里ファンに国境を超えて聴かれるアルバムになったらどんなにステキでしょう。
ともかく千里クンのアルバムは、ベスト盤も含め残念ながらほとんど廃盤になってしまっていますので、ぜひこの１枚をお手元に。
なお、今回のソニーのG☆Bとしては、千里クンがデビューを手がけた奥田美和子の初ベスト「 GOLDEN☆BEST 奥田美和子
」や、関学の後輩に当たる陣内大蔵の「
GOLDEN☆BEST 陣内大蔵
」のほか、初CD化テンコ盛り、痩せたアイドルの頃の渡辺徹ベスト「
GOLDEN☆BEST 渡辺徹~シングル・コレクション~
」、男女七人つながりの２人を抱き合わせた「
GOLDEN☆BEST 石井明美・森川由加里
」も同時発売されるとのことです。（2011.1.4）
