若い情熱と郷愁がここに結集! 悲願の2枚組全曲集!
お客様は神様です! なぜかお父上の決めゼリフを叫んでしまったほどウレシイ企画が、ついにOMFに登場です!
最近とみにマニアック化が進んでいるオーダーメイドファクトリーのスペシャル企画商品として今回候補に挙がりましたのは、待ちに待った三波豊和クンのソニー時代のオール・ソングス・コレクション「オール・ソングス・コレクション 」!
豊和クン、と失礼ながらつい昔憧れた時のように呼んでしまうんですが、彼はご存じ昭和の日本を代表する大歌手・三波春夫先生のご令息。
子役としてデビューして以来、長年のキャリアを誇るベテランさんですが、今もテレビなどでお見かけすると人のいい万年青年の面影はそのままで、昔からファンのワタシなど、あの豊和スマイルを拝見するにつけついつい顔がほころんでしまうほどです。
ちなみに、今年の帝国劇場100周年記念公演「レ・ミゼラブル」ではなんとオーディションでイメージの異なるテナルディエ役を勝ち取るなど、素晴らしいチャレンジ精神でますますご活躍のご様子です。
我々世代にとっては、NHK連続人形劇「新諸国物語より 紅孔雀」の凛々しい那智の小四郎をイメージする人もいるでしょうが、一般的には同じNHK「プリンプリン物語」で人形と絡むディレクターとか、フジテレビの青島幸男版「意地悪ばあさん」の万年さんとか、NHK教育「おーい!はに丸」の神田くんとか、きっとご本人そのものであろうお人好しで憎めないキャラクターの方がおなじみですよね。
「はに丸」なんて、豊和ファンであるのはもちろんビックリハウスというかみうらじゅんの影響もあって、もう高校生だったのに見ていたんですから…うう、恥ずかしい。
また、キョンキョンのファンには「あんみつ姫」、マリナくんファンには「看護婦アカデミー」など、月曜ドラマランドでアイドルをコミカルにサポートする名脇役としても親しみがあるはずです。
そんな豊和クンですが、今回CDとして編まれるのは、父上譲りの美声と節回しで歌手としても将来を嘱望されていた時期、いうなれば青春歌謡・アイドル時代の音源集。ソニー時代としては初の復刻となります!
ホリプロ所属、育ちの良さを感じさせる物腰とブレザー姿もステキな慶應ボーイの豊和クンが、CBS・ソニーから鳴り物入りのデビューを飾ったのは、1976年5月。
シングルレコードが600円に値上がりする直前のことでした。
デビューシングルは、麻生香太郎、三木たかしという後々もメイン作家となるコンビが手がけた「青春よ翔べ/陽が昇る」。大御所の2世ということでとにかく話題を集めましたし、プロモーションも強力でオリコン44位をマークするスマッシュヒットを記録。
新人賞レースにも参加し、日本テレビ音楽祭新人賞をはじめ、新宿音楽祭銀賞などを受賞。確かレコード大賞部門賞でも、新人賞候補にノミネートされていたように思います。
以降「俺たちの時代へ/あゝ甲子園」「いつの日かあなたに/久美子」、そして作家陣を阿木+宇崎コンビに変えた77年3月の「青春のカタログ/うそのなる木」までは、青春歌謡を歌うれっきとした男性アイドルという位置づけだったように思います。
その証拠に、76年に出た「青春よ翔べ」と「いつの日かあなたに」という2枚のLPは、それぞれカラー・ピンナップ、カラー大型ポスター付きというアイドル仕様でしたっけ。
今となっては彼がアイドルだったということに異論を唱える人もいそうですし、むろん当時全盛を迎えていた新御三家のポップさとは全く異なりますが、好青年アイドル的ムードが漂っていたのは確かです。
例えるなら、事務所的には歌の上手さと気さくなキャラでスター街道を進んだ森昌子の男性版。レコード会社的には真木ひでとの炎歌ではなく、ソニー演歌のにしきのあきらに続く系譜、というか。
同期デビューの新沼謙治も演歌寄りの青春歌謡でしたが、トップアイドルの証しである月刊「明星」の表紙を飾ったほどでしたんで、今考えると豊和クンもそういう時代のニーズに沿っていたのだと思います。
しかも豊和クンや謙ちゃん以外でも、この年の目立った男性新人ってヤングアイドルではなく、角川博とか朝田のぼるとか演歌・歌謡曲の人ばっかりでしたから。
市場もティーンに独占されていなかったし、同期の芦川よしみとか内藤やす子とかを応援するヤングも多かったですしね。
で、今回は78年までに出した7枚のシングル両面、そして2枚のアルバム全曲がそろう、ホント夢みたいなソニー時代のオール・ソングス・コレクション!
ヒット全曲集もザ・ベストも出てなかったような気がしますし、初のベストアルバムになるんじゃないでしょうか。
構成としては、“今、翔く若獅子!”のキャッチコピーも初々しいファースト・アルバム「青春よ翔べ」と、“若い情熱と郷愁がここに結集!”というセカンド・アルバム「いつの日かあなたに」を2枚に分けて曲順通りに収録。
アルバムのオリジナル曲はすべて麻生+三木コンビなので、まさに“三波豊和、三木たかしを歌う”というテーマでも堪能できます。
アルバム未収録の4枚目以降のシングル「青春のカタログ/うそのなる木」から、ご当地路線へとシフトした「佐渡航路/海鳥の鳴く頃」「羽越本線/五島列島」、そしてCBS・ソニーラストの「恋して雨のせい/旅人よ」までは2枚目のボーナストラックとして入りますから、当時のオリジナルアルバム通りの楽しみ方ができますね。
オリジナルもいいですが、ファーストのB面に入っていた「ふれあい」「我が良き友よ」「さらば恋人」「北帰行」「琵琶湖周航の歌」「惜別の唄」というカバー曲もしっかり収録されることになりましたから感激!
選曲も素晴らしいですが、カバーこそ豊和クンのボーカリストとしての技量がしっかり確認できるのではないかと思います。
また、イレギュラー盤ですが、この際「紅孔雀」のエンディングテーマ「若者のうた」、相手役の水沢アキと歌った「愛のデュエット」も追加していただけたら言うことナシですね。
とはいえ、豊和クンの歌をいま聴いてみたいという層がどれほどいらっしゃるか分かりませんし(こちらにはリクエストをいただくことが多いんですけど)、OMFでも苦戦しがちな男性陣、それも70年代ですので、心配は心配。
ここはもう、神様でいらっしゃいますお客様の皆様におすがりするしかない感じです。とりあえず、1stステージクリアに向けて投票だけでも、どうぞよろしくお願いいたします!
なお、ソニー時代以降も「プリンプリン物語」の劇中でジプシー兄弟・ベベルとして歌ったり、「おーい!はに丸」で「はに丸音頭」を歌ったりとレギュラー番組の余技として歌の仕事を続け、隠れたところではダンス教材の歌もレコーディングしているという豊和クン。
近年、といってももう6年が経ちますが、2005年の愛・地球博の際には御尊父の大阪万博ヒット「世界の国からこんにちは」をキャイーンと一緒にリメイクしてシングル化しています。
テレビ絡みの企画盤ではありますが、最近も歌番組に出演するなどシンガーとしてもまだまだやる気がおありのようですし、ミュージカル出演もありますし、これを機会に歌手・三波豊和が本格復活、なんてことになったらいいなあ、ホント。
(2011.2.22)