ハイレベルな全音源集、あの20周年BOXがOMFでEP!
昨年、デビュー25周年にナンノ!というアニバーサリーイヤーを迎え、精力的な活動が続いているナンノこと南野陽子さん。何度も申しますが、昨秋出た通販限定のお色直しCD+DVDセット「ナンノ・アニバーサリー25th」(こちらで紹介)が大好評で、来月にはその中のCDをパワーアップさせ「ReFined-Songs Collection~NANNO 25th Anniversary」として一般発売(こちらで紹介)するなどシンガーとしても再評価の機運が高まっている様子です。
それを支えるのは、やはりずっと応援してきたナンノフリークの皆さんでしょうが、かつてのファンもかなりの数が出戻ってきているんだとか。こちらにも熱い思いをしたためたメールを下さる方もいらっしゃって、さすが働き盛り、男盛りの皆さんはパワフルで、ナンノも大喜びするはずだとひとりごちたりしております。
そんな中、お色直しもいいけど、キラキラ輝く時代のオリジナルをもう一度聴きたいという人々の声が届いたのでしょう。デビュー20周年時に第1弾ボックスとして出たボックスがOMFのアンコールプレス対象商品となり、このほど予約の受付が開始されたのです。
それがデジパック仕様13枚組の「 南野陽子 ナンノ・ボックス【完全生産限定盤】 」!
2005年のリリース当時もご紹介したこのボックス。完全生産限定盤でしたが、予約をしてなかったりリリースを知らなかった人も結構いたようで、発売即完売したものの入手できなかった人の声がスゴくてすぐさまアンコールプレスが決定したというシロモノ。
一時、在庫がダブついていたこともあったようですが、今となっては入手困難で、オークションなどでは驚異的なプレミア価格で取引されているといいます。
良質な作品群には定評のあるナンノですが、CD時代のメガヒットアイドルですので、中古屋で100円ワゴンに山積みされていても全然見向きもされなかったことなんかを思い出すと、ちょっとフクザツな感じもしたりしますね。
とはいえ、入手していなかったナンノファンにとっては涙が出るほどウレシイ出来事に違いありません。
ここでもう一度簡単に紹介しておきますと、CDは全ての音源を完璧網羅し、新曲のCDS1枚を加えた12枚。
すなわち「ジェラート」「ヴァージナル」「ブルーム」「ガーランド」「グローバル」「ゴーシュ」「ギャザー」「夏のおバカさん」というオリジナルアルバムが8枚。そしてクリスマスアルバム「スノーフレイク」「ディアー・クリスマス」から既発曲を除いた2in1、アルバム未収録のシングルA面とサントラなどに入っていた作品をプラスした「Single+Other tracks」、同じくアルバム未収録のB面曲を集めた「Coupling side」という構成。オリジナルアルバムの一部にもボートラが入っています。
目玉はやっぱりCDSで、本人が作詞し、萩田光雄さん作、編曲した新曲「最終(ラスト)オーダー 」でしょう。
そしてDVDは、グリコやJR西日本のCMや未発売映像を収録。さらに写真集や本人によるライナー付きのデータブック、おまけにナンノちゃんカルタが付録に付くという、吉田格プロデューサーの愛情いっぱい、イヤハヤすごいパッケージ。ファンにとってはまさに家宝となる夢の完全ボックスといえるでしょう。
全オリジナルアルバムとシングルをCD11枚に収め、グリコの一連のCMやプロモーションビデオなどが入ったDVD、さらには本人が作詞し、萩田光雄 作・編曲した新曲「最終(ラスト)オーダー」のシングルCDをプラス。そして写真集や、本人によるライナー付きデータブック、ナンノちゃんカルタと、いかにもアイドルらしいボックスに仕上がっています。
三方背クリアケース入り12枚組デジパックというコンパクトな仕様も、紙ジャケが主流の今となっては懐かしいですよね。
当時、20周年第2弾として出た「ナンノDVDボックス」の両方を買うと、南野陽子本人の希望によりお知らせしていた「ナンノ時計」とは別の「スケバン刑事ヨーヨー型24枚収納ディスクケース」がプレゼントされるという企画もありましたが、むろん今回はありません…。
中には、ボックスのアンコールプレスに否定的で「完全限定だから買ったのに…」とおっしゃる方もおられますし、こちらにもよくご意見も頂戴いたしますが、ナンノに限らず、アンコールプレスはアーティストの再評価のしるしですし、特にナンノの場合は今後の活動にも大いに役立つことですから、ここはひとつ、広い気持ちで応援していただけたらと思います。ナンノ自身も法外なプレミア価格でやり取りされるのって喜きっとばないでしょうから。
余談ですが、山田太一ドラマ「時にはいっしょに」を見て以来、個人的には女優のナンノを支持していたワタシでも、アルバムはリリースされるたび大ファンの友達から全部聴かされておりましたし、その充実ぶりには目を見張ったものでした。
振り返れば、タガが外れたようにやりたい放題になっていった時代にあって、王道、正統という言葉がふさわしい南野陽子のうた。とにかく上質さが抜きん出ているナンノの楽曲ですが、ユーミンを意識した楽曲制作がなされていたことは有名なお話です。
その頃、もののあはれや純愛など、ほとんど失われけた少女性を追求していたユーミンですが、本家がピュアでエゴイスティックな少女の魂を入れたトルソーだとしたら、ナンノサイドはマネキンではなく本物の美少女。
であるからして、康珍化、小倉めぐみ、戸沢暢美、そしてユーミンファミリーである田口俊らが本歌取りというか軒先借りて母屋を取ったような世界観もありますし、そう思うと、ユーミン提供作やカバーがあったても面白かったような気がします。
そして、本人の意向を汲みつつ吉田さんが打ち出した方向性のもと、それを構築してみせたのはやっぱりメインでサウンドプロデュースを担当した萩田光雄さんの力量でしょう。
CBS・ソニーのお家芸であり、70年代からソニーの女性アーティストたちが歌ってきた作品群は、ある意味うたの文学ともいうべき確かなテーマと品格が備わっていますが、その根幹をなすサウンドは山口百恵や太田裕美らの主要アレンジャーであった萩田さんが中心になって創り上げてきたといっても過言でない気がします。
ということは、80年代半ばからCBS・ソニーを支えた南野陽子は、いわば由緒正しきその継承者。であるからして、CBS・ソニーが発信し続けてきたアイドルポップスがお好きな人ならば、きっとトリコになってしまう出来映えではないかと思います。
そのあたり、疑問に思う方は、まず誰もが最高傑作と認めるであろう「ブルーム」をお聴きいただき(amazonなら中古が送料抜き1円で買えますんで)、その上で今回のご予約を決めてみてはいかがでしょう。
なお、先般、OMFで引退ライブCDが商品化された久保田早紀さんですが、その元となった映像商品のDVD「 フェアウェル・コンサート 」もアンコールプレス候補に挙がっています。こちらは幾度となくプレスされていますが、まだ未見の方はこの機会にどうぞ。
ただし、デビューから5年後の84年ですし一般的な早紀さんのイメージとは違いますので、デビュー時の面影を求める方は要注意です。
(2011.1.11)