おニャン子の良心!ソニー演歌の秘蔵っ子、発売なるか?!
日本の心は演歌です。こぶしの花を咲かせます、泣いて下さい早苗節。そう歌って1986年、おニャン子クラブからソロデビューを果たした会員番号17番、城之内早苗。「セーラー服を脱がさないで」からメンバーであり、ソロデビューに合わせ「おっとCHIKAN!」でフロントを取ったり、解散まで卒業せず加入していたメンバーとしても知られていますよね。再結成や同窓会にもほとんど皆勤賞みたいな印象があったりします。
そして何より、浴衣に蛇の目、ソロデビュー曲「あじさい橋」はオリコン初登場1位と、おニャン子パワーのおかげではあったものの演歌界に燦然と輝く金字塔を打ち立てた人物でもあります。
びっくりしたでしょ演歌、こぶしコロコロ回ります。お客様は神様なんです、と多少の浮き沈みはありましたが、四半世紀にわたりずっと歌い続け、今年9月にはテイチクに移籍、移籍第1弾シングル「泣き砂 海風」をリリース。有線のチャートではEXILEを抑えて1位を獲得と、突然華々しいニュースが話題になったのも記憶に新しいところです。
おニャン子では唯一、現役歌手を続けているというのもお見事ですけど、CBS・ソニー演歌部門の秘蔵っ子という存在が先にあっておニャン子入りしたワケですから当然といえば当然です。
そんな城之内さんですが、来年はソロデビュー25周年ということで、オーダーメイドファクトリーのスペシャル企画商品として、CD3枚組のオール・ソングス・コレション「 城之内早苗オールソングスコレクション Sony Years 」が候補に挙がりました!
ソニーのおニャン子のオール・ソングス・コレションといえば、満里奈を皮切りに、その子、オーダーメイドですけど国生と続いてきました。まだ国生は実現していませんが、ここに来て美奈代ではなく城之内とは! さすがメンバー唯一の演歌で頑張ってきた甲斐があったというものです。
内容はと言いますと、文字通り、86年~90年のソニー在籍時に発表したナンバーの全曲コレクション。
「冬芝居」「石畳の街~19番目の冬~」という2枚のオリジナルアルバムをベースにしながら、「あじさい橋/おニャン子クラブのあぶな~い捕物帳」から「流氷の手紙/代官山恋物語(ラブストーリー)」「金沢の雨/瞳坂・遅咲きスミレ」「とべないアヒル/巣立ち」「夢までTAXI/涙の友人」「雪ふりやまず/心の振り子」までのシングル6枚をしっかり収録。
さらに、90年の「ヒット全曲集」に収録されていた「ひとりぼっちのS席」「心に深く愛されて」はもちろん、おニャン子企画の「MERRY X'MAS FOR YOU」や「メッセージ」、シングル曲のオリジナル・カラオケもボーナストラックとして網羅。
おニャン子加入前に出たCBS・ソニーのカスタム盤「神栖町民音頭」は入ってないようですが、充実のコレクションとなっております。3枚組だけにOMFにしてはリーズナブルなプライスというのもウレシイですよね。
おニャン子初期はセーラーズもちゃんと似合うボーイッシュなイメージでしたが、新曲を出すごとに大人っぽく、女っぽくなっていった城之内の魅力が満開というところでしょうか。
個人的には、デビュー曲のB面「おニャン子クラブのあぶな~い捕物帳」を発展させた月曜ドラマランドの「おニャン子捕物帳 謎の村雨城」の岡っ引き姿とか、尾木プロ所属のせいかとんねるずが優しかったように見えたこととか、いろいろ思い出すことはありますが、今となってみれば城之内早苗こそ、おニャン子の良心といえる貴重な存在だったのではないでしょうか。
プロ意識も素人なりの謙虚さもなく、ブラウン管をオモチャにしたテレビ局にのせられるまま、カラーテレビを舞台に70年代から続いてきたアイドルおよびアイドルポップスのセオリーを変えてしまったおニャン子クラブにあって、基礎を積んだ本物の芸を見せたのですから。
それには、ともするとキワモノ演歌で出ても全然おかしくなかったおニャン子にあって、正統派デビューをさせたCBS・ソニーの矜恃だったのかもしれません。
楽曲的にはやっぱり初々しくキャラにピッタリだった「あじさい橋」の名曲ぶりが群を抜いていますが、忘れてはならないのが秋元康+見岳章のコンビ。
とんねるずが言ってた「雨の西麻布」ではなく、城之内作品で演歌の心と技術を磨き、それがあの「川の流れのように」へとつながっていったんですよね、きっと。
大御所の先生方の作品と比べてしまうと、やはりあざとさとか、既存の演歌への嫌味みたいなニュアンスも感じてしまいますが、実績で考えればヤングも抵抗なく聴ける新しい演歌像を形作ったコンビの功績は大なるものがあります。
そういう意味でも、とても偉大な城之内の初期。彼女のこぶしをギャグとして受け取っていたおニャン子世代の我々も、いつしか演歌が似合う年代になりましたし、これを機会にあらためて耳を傾けてみたいものです。きっとあの頃より、ずっと胸に響くはずでしょうから。
(2010.12.10)