ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤423

オススメ.jpg

  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#423

ラブリー・ビーナス

(2010.6.30発売、MHCL-20095、¥3,200)  *Blu-spec CD

高音質でより輝く、70〜80'sの名曲ガーリーコンピ続編!

 もはや復刻市場でも市民権を得た感のある高品質CD。SHM-CD、HQCD、Blu-spec CDなど各社素材や呼び名は違えども、普通のCDプレーヤーで聴いても音質向上のメリットがちゃんと実感できるスグレモノです。
 SACDやハイブリッド盤とは違う、このポピュラーさが受けた要因ではないかと思いますが、音の立ち上がりやボーカルの再現性などを通常規格盤と比較した後には、普通のCDが物足りなくなったりして。今後のCDの主流になっていくような気さえしますよね。

 洋楽やクラシックでは高品質CD化が既に進んでいますが、邦楽でもますます増えそうな予感。事実、最近の紙ジャケやBOXの再発モノではたいていがその傾向にありますし、最近こちらで紹介したタイトルを見ても実に顕著です。
 好きなアーティストのものは全部欲しい大ファンの方や、復刻タイトル確実に押さえておきたいコレクターの皆さんの中には、何度買い直したらいいのかとため息をつくケースも見受けられたりして。

 確かに、復刻市場においては通常仕様から紙ジャケへというだけでなく、リマスタリングやボートラ付きなどなど、パッケージ形態による復刻部分が行く所まで行ってしまったので、再CD化、再々CD化ともなると、もう中身をバージョンアップするしかないでしょうし、外見的な仕様に比べ、ソソられ感が少ないのはよーく分かります。

 ありゃ、なんだか書いてて本末転倒になりましたが、ちょっとお待ちを。よく考えると、CDって仕様じゃなくうたそのもの、つまり中身の音が一番大事なのですから、再発、再々発であろうとも高品質CD化こそ、最も大きな意義があるんですよね。

 とはいえ、巷の声を聞いてみると、まだ高品質CD体験が終わってない方も意外と多いみたい。確かに、積極的に進めているのは一部のメーカーやアーティスト、それも一部のタイトルだけで、まだまだ普及しているとは言い難いんでした。特に旧譜の場合は。
 むろんこのような新メディアの普及って、供給先行時の反応が大事だと思うので、皆さん需要熱を高め、お気に入りのタイトルが高品質CD化されているなら、ぜひともトライしてみてください。

 お目当てがまだ高品質CDになっていないという方も、体験しないことには何も始まらないと思いますんで、まずは気軽に体感できるベストやコンピ盤などでお試しを。特に耳なじみのあるナンバーなら、音の違いをしっかり実感できるはずですしね。

 そういう聴き比べ作業にピッタリなのが、80年代のアイドルポップスを中心にセレクトした、ソニー発Blu-spec CDのお得なコンピシリーズ。
 Blu-spec CDであの時代のナンバーを聴くと、ボーカルのパワーに圧倒されてしまいますが、それこそが今のJ-POPが失ってしまったうたの本質ではないでしょーか。
 人の声に勝る楽器はないと思っているワタシなど、Blu-specで聴くボーカルには、耳を通り越してハートにグサッとくる感覚をおぼえてしまうのです。

 ということで、またダラダラと前置きばかりが長くなってしまいましたが、今回は、このたびリリースが決まった最新作「 ラブリー・ビーナス 」をオススメしたいと思います。

 コレは、既発のブルスペ男女別コンピ「 LOVELY POPS【Blu-spec CD(TM)】 」「 WONDERFUL POPS【Blu-spec CD(TM)】 」に続くタイトルにして、女子コンピ編ラブリーシリーズ第2弾にあたるもの。
 2枚組Blu-spec CDの中に、70年代〜80年代のグラマラスでチャーミングなガーリーポップスが全39曲、それも夏をイメージさせるおなじみのナンバーばかりがギッシリ詰まっています。

 この中でいちばん古い音源は、我らがシンシア・南沙織の「17才」。これが71年6月リリースで、逆に最も新しいものが89年10月発売、ナガマリちゃんこと永井真理子の「ミラクル・ガール」となっています。

 最新曲ですらもう21年前のナンバーということにビックリですけど、このCDには70年代、80年代というダブルディケイドの間に生まれたヒットナンバーが揃い踏み。ほとんどがCMやドラマ、映画などのタイアップがついていたヒット曲ですから、いろんな集いのBGMにも、夏休みのレジャーのお供にも便利なタイトルと言えるでしょう。

 たとえば百恵ちゃんなら「夢先案内人」や「曼珠沙華」に加え、引退後に三浦百恵として作詞したアン・ルイスの「ラ・セゾン」も。キャンディーズはブレイクチューン「年下の男の子」や、コントで見せたコミカルなイメージを反映させた「暑中お見舞い申し上げます」。ピンク・レディーは今聴く方がエッチに感じる「渚のシンドバッド」と、時代を彩った個性的な名曲が並びます。

 ひとりでに体が動き出すダンス系もありまして、古くは浅野ゆう子の筒美系ディスコ「セクシー・バスストップ」から、本田美奈子の涙が出そうな王道ポップス「Oneway Generation」、ダンスフロアでみんなして踊った荻野目ちゃんの「六本木純情派」までノリノリ。
 ミラーボールの下でガンを飛ばされたら、宮沢りえ「ドリームラッシュ」で「ざけんなよっ!」と一喝しつつ、顔はヤバイから三原順子の「セクシー・ナイト」でボディーを狙ってみるのもよさそうです。

 映画主題歌では菊池桃子の「テラ戦士ΨBOY」から「BOYのテーマ」、ナンノの「スケバン刑事」の「楽園のDoor」、そして角川末っ子の原田知世唯一の首位獲得曲「天国にいちばん近い島」と、オリコンNo.1シングルが並びます。
 映画ではないけど、角川系ではちょうど独立した薬師丸ひろ子のNTTソング「あなたを・もっと・知りたくて」も入っていますね。

 また、斉藤由貴のめぞん一刻「悲しみよこんにちは」、YAWARA!なナガマリの「ミラクル・ガール」でアニメ心を満足させつつ、おニャン子も押さえておきたい人には、河合その子と工藤静香の2トップをどうぞ。資生堂のCMで久々に美しい姿を見せたその子は「涙の茉莉花LOVE」。世のイケイケギャルみんなに前髪を立ち上げさせた静香の場合は、大ヒットでありながら埋もれがちな「恋一夜」がチョイスされてます。

 と、新旧アイドル夢の競演といったムードも漂いますが、胸キュンはやっぱり永遠のスーパーアイドル・松田聖子。「渚のバルコニー」「小麦色のマーメイド」というユーミン2連発でしょう。
 あの比類なきキャンディボイスも、当時はハードスケジュールのせいで荒れ気味に聴こえたものですが、Blu-specではそれが研磨されたように鮮明になっているようです。ささくれてしまったとばかり思ってた聖子の声のひだは、なんと繊細なベルベットの質感のままに聴こえたりして。
 声からレモンのように甘酸っぱい果汁がしたたるようだし、あの懐かしい日々が自動的に脳内再生されること必至です。
 もう何千回、いや何万回と聴いたナンバーですが、こんな風にいっそう愛おしく感じてしまうのもBlu-specマジックですよね。このへん、聖子のブルーを未体験の方は、ぜひご自身の耳でお確かめください。

 もちろんアイドルだけでなく、ニューミュージック&シティポップスもおまかせ。
 八神純子「Mr.ブルー〜私の地球〜」、石川優子「シンデレラ サマー」、門あさ美「ファッシネイション」のヤマハ系から、EPOのひょうきん族「土曜の夜はパラダイス」というバラエティー、大貫妙子の「夏に恋する女たち」や小比類巻かほるの「Hold On Me」といったドラマ主題歌系もバッチリです。
 さらには渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」と、中原めいこ「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」のカネボウ化粧品2大ヒットをはじめ、JALのサーカス「アメリカン・フィーリング」、シチズンの白井貴子「CHANCE!」などなど、数多のコマソン勢もしっかと入っております。

 個人的には、例の部分を何度もリピートして確認したレベッカの「Moon」や、保険のオバちゃんにもらったみさっちゃん団扇を持ってライブに出かけたことを思い出す渡辺美里「夏が来た!」なども捨てがたいですね。

 ここまでガツンとサマーソングに浸ったら、もはや夏を待てない!気分になること請け合い。全編スコーンと抜ける感じは、ドライブミュージックにもオススメしますぞ。

 なお、Blu-specではありませんが、ソニーから出るこの夏のサマーソングコンピとしては、太田裕美「南風-SOUTH WIND-」や岩崎良美「涼風」を含むナイスな選曲が超オススメの80年代アイドル夏うた集「 アイドル・サマー ’80 」 (こちらで紹介)をはじめ、80〜90年代の2枚組「 PERFECT SUMMER 」、2000年代の「 SUMMER SUNSHINE 」にも注目です。よりどりみどり、今年の夏の相棒に併せてどうぞ。

(2010.5.12)

Sony Music Shop


Back Numbers

#450〜

#449:ピンク・レディー/イノ…
#448:秋色空間
#447:南野陽子/ナンノ・アニ…
#446:クライマックス クール…
#445:アグネス・チャン プレミ…
#444:佐良直美/ゴールデン☆ベ…
#443:名調子!玉置宏の昭和ヒッ…
#442:岡田有希子/贈りものIII
#441:太田裕美/オール・ソング…
#440:石野真子/ゴールデン☆ベ…
#439:南沙織/GOLDEN☆BEST…
#438:松田聖子/Touch Me,Se…
#437:フォーリーブス/見上げて…
#436:PERFECT SUMMER
#435:GAL/薔薇とピストル〜コ…
#434:ポプコン・ゴールデン・エ…
#433:野口五郎/GORO Prize Y…
#432:久保田早紀/フェアウェル…
#431:歌鬼3〜阿久悠×青春の…
#430:渡辺美里/Wonderful…
#429:浅野ゆう子/GOLDEN☆…
#428:遊佐未森/Do-Re-Mimo…
#427:なごみーず/ACOUSTIC…
#426:新・人間万葉歌〜阿久悠…
#425:雨のうた
#424:EMI プレミアム・ツイン…
#423:Lovely VENUS
#422:アイドル・サマー’80
#421:さだまさしBOX
#420:三田寛子/夢路・Mosaic…
#419:松田聖子 オリジナル・サ…
#418:ザ・ベストテン
#417:中原理恵/GOLDEN☆B…
#416:山口百恵 in 夜のヒット…
#415:原由子/ハラッド
#414:黒木真由美/パーフェクト…
#413:柏原芳恵/Live&Rarities
#412:松田聖子/SHM-CD&紙…
#411:岩崎宏美/SHM-CD
#410:金井克子/GOLDEN☆BE…
#409:HOLIDAY tunes
#408:リューベン&カンパニー…
#407:松田聖子/Single Colle…
#406:河合その子・国生さゆり・城…
#405:三田寛子/メランコリー…
#404:松本典子/Straw Hat
#403:加納竜/GOLDEN☆BE…
#402:Myこれ!Liteシリーズ
#401:小坂忠/HORO 2010
#400:歌姫〜BEST女性ヴォー…


Archives


Shops


Search Box