Blu-specで名曲再発見、上質ポップスの男女別コンピ!
いろんなコトがあった2009年も、もうおしまい。振り返ると今年も紙ジャケ、ボックス、ベストなどなど、充実を通り越して、何じゃこりゃ!ココまで出るんか!?と言うほどさまざまな旧譜の復刻が続きました。
昨今のCD不況も確実に一因となっているようでちょっと心配でフクザツな思いもありますが、旧譜カタログのファンとしてはやっぱり喜ばしいことに変わりはありません。きっと皆さんも、おサイフともどもウレシイ悲鳴を上げつつ、いろんなCDを手になさったのではないでしょうか。
さて、そんな復刻市場で大きな話題となったのが、通常のCDプレーヤーで再生できるという高品質CD。各社SHM-CD、HQCD、Blu-spec CDと呼び名は違えども、復刻盤も含め高品質CD化が進んだんですよね。
コレってSACDとは違い、いつものプレーヤーで聴いてもハイクオリティというのが大きく支持された要因ではないかと思っていますが、確かに音も違うんですよ。ホント気のせいではなく。
で、数多ある中でも、個人的にその良さを実感したのが、ブルーレイ技術を応用したというソニー系のBlu-spec CD。夏に出たG☆Bシリーズや聖子のブルーを一通り聴いたところ、ボーカルの感じがとっても好みだったのですね。
特にキラキラした80年代のサウンドとの相性はバツグン。なんて言うのか、当時聴いていた時代の空気までパッケージしたのではと錯覚するほど、音のはざまにそういう雰囲気が漂っているように聴こえたのですね。
聖子の選書と比較するなっつーの!なんていう野次が聞こえてきそうですが、わが家のフツーのコンポで聴いてもそうですから、高級なステレオならもっとスゴくなっているのかも。
もちろん、もともとのマスターテープの状態にもよると思うし、リマスタリングの度合いによっても異なってくるとは思うんですが、音の立ち上がりがピンとした感じで80年代のボーカル物にはうってつけな感じがしたのです。
逆に70年代前半の音源では、ちょっとシャープになりすぎたようで、アナログ時代のぬくもりというか、まろやかさが薄れてしまったような印象もあったのですけど(あくまで個人的な感想です)。
もちろんまだソフトは出始めたばかりだし、お気に入りのアーティストのものがリリースされてないし…という人も多いでしょうが、まずは手軽に聴いてみて、その違いを実感してみては? そういうニーズにピッタリのコンピ盤が登場したことですし。
それが、70〜80年代の極上ポップスを詰め込んだ、このスタイルのコンピレーションアルバムでは史上初というBlu-spec CDコンピ2タイトル。男女別に分けられている上、シブイ名曲もギュギュッと入ったお徳用となっています。
中にはいつもの代表曲とはちょっと違うナンバーがチョイスされていたり、忘れられがちなアーティストがしっかり入っていたり。売れ線で制作しなきゃならないという現実はクリアしつつ、マニアのことも忘れてないようなニクイ姿勢がのぞいたりして、ちょっと心躍る内容になっています。
で、まずは、発売されたばかりの女子ボーカル編。アイドルポップスを中心に全38曲を収録したラブリーなスーパー・ヒッツ・コレクション「 LOVELY POPS【Blu-spec CD(TM)】 」。
もっとも古い音源で75年12月、キャンディーズ「ハートのエースが出てこない」。その次が76年3月の「春一番」、77年7月の百恵ちゃんの「イミテイション・ゴールド」、そして同年9月の太田さん「九月の雨」というところでしょうか。
このへん、往年のザ・ベスト「百恵・キャンディーズ・裕美」みたいな感じでたまりまセブンなのですが、70年代としてはピンク・レディー最大のヒット「UFO」、翔んでる理恵ちゃんのデビューシングル「東京ららばい」ぐらいで、あとはガッツリ80年代が続きます。
大御所・聖子のセイコーアルバ「チェリーブラッサム」とカネボウ「ピンクのモーツァルト」を筆頭に、タイアップの時代ならでは、CM、ドラマ、アニメ、映画、バラエティーと、さまざまなメディアとともにヒットしたナンバーが勢ぞろい。
80年代タイアップの代名詞である化粧品関係では、総立ち久美子の「赤道小町ドキッ」、ナンノちゃん「吐息でネット」、そして岡田有希子の「くちびるNetwork」。
ユッコのナンバーがコンピに入るのは珍しいことだと思いますが、もうそれだけ時が流れてしまったことをヒシヒシと感じます。でも、高品質CDで聴くユッコの声は当時よりとてもいきいきしていて、思わず泣きそうになりました…。ユッコファンの皆さんにもオススメしたいですね。
ユッコの先輩・優ちゃんのブレイク作、コーク大好きな「夏色のナンシー」も収録されています。
一方、バラエティー部門では、ひょうきん族のエンディングで使われた女達郎・EPOのデビュー曲「DOWN TOWN」。真ん中モッコリ夕ニャン勢は、本体の「セーラー服を脱がさないで」から、 国生の「バレンタイン・キッス」、その子の名曲「青いスタスィオン」、マリナくんのデビュー曲「深呼吸して」、卒業後ですが静香の「黄砂に吹かれて」とやっぱり豪華です。
秋元つながりでいえば、菊池桃子の傑作にして85年の卒業戦争を制した「卒業 -GRADUATION-」も入ってます。
ドラマでは、男女7人系の石井明美「CHA-CHA-CHA」と森川由加里「SHOW ME」、大映ドラマ系では椎名恵「今夜はANGEL」、MIEの「NEVER」や麻倉未稀の「ヒーロー」と、思わず肩に力が入ってしまいそうなナンバーが並ぶほか、中山ミポリン「WAKU WAKUさせて」、斉藤由貴の陽水カバー「夢の中へ」というユーロビートな主演ドラマ主題歌も。
はたまたアニメでは、顔ソックリさんのコヒー「City Hunter 〜愛よ消えないで〜」&岩崎ヨシリン「タッチ」、そしてトノバンの名作・飯島まりんの「愛・おぼえていますか」や、安田成美「風の谷のナウシカ」と、これまたイイ曲が並びます。
ほかにもヨシヨシとナオナオ、それぞれのターニングポイントである「春なのに」と「けんかをやめて」に、知世ちゃんの主演映画主題歌「時をかける少女」(今回はソニー時代の新録バージョン)をプラスすると、ユーミン、みゆき、まりやのスリーカードがそろったり。これに荻野目ちゃんのナイシテル「ダンシング・ヒーロー」、本田美奈子さんの吐息に溺れそうな「1986年のマリリン」のダンス系ワンペアをあわせてフルハウス、なんていう楽しみ方もできたりして。
女性誌が育てたいい女、小林麻美の「雨音はショパンの調べ」や、お水のおねーちゃんも愛唱し、カラオケから大ヒットした感があるアン・ルイスの「六本木心中」など、オトナの女性が支持した名作も入っています。
そして、続編として2月に発売されるのが男子ボーカル編、ワンダフルなエバーグリーン・ヒッツ・コレクション「 WONDERFUL POPS【Blu-spec CD(TM)】 」。
こちらもめいっぱい37曲も収録されたサービス仕様となっています。
ショーケンのカバーにして近藤マッチのレコ大受賞曲「愚か者」をオープニングに、シブイ名曲集といった趣がムンムンです。
もっとも古い音源としては「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」のA面だった75年のダウン・タウン・ブギウギ・バンド「カッコマン・ブギ」や、甲斐バンド「裏切りの街角」あたりだと思いますが、個人的に注目したいのは、新御三家&ロック御三家の揃い踏み。
洋楽カバーに活路を見出したヒロミ・ゴーの「哀愁のカサブランカ」、ヒデキの代名詞となった「ギャランドゥ」、ぜひケミストリーに歌わせてほしかった筒美系ゴローの最強盤「グッド・ラック」の新御三家が勢揃いした上、ベッテン記録を樹立した世良公則&ツイスト「銃爪」、Charのアイドル時代総決算の「闘牛士」、原田真二のデビュー3ヶ月連続シングルのしんがり「シャドー・ボクサー」というロック御三家までもが顔をそろえるなど、夢の顔合わせとなっています。
そういえば、ツイストの記録を塗り替えた寺尾聰「ルビーの指環」も入ってます。
もちろんタイアップもいっぱいで、まずはCM。化粧品は男子に勧められた方が購買意欲がそそられる、なんていうマーケティングのせいか、桑名正博「セクシャルバイオレット No.1」、モッズの森山さん「LOVE、かくし色」、クラウディスカイな大沢さん「その気×××」と、メーキャップも派手目な感じでございますね。
グリコ系では、キョンキョンとはゴールデンコンビにならなかった渡辺徹のアーモンドチョコ「約束」、カリフォルニアバーの吉川晃司「RAIN-DANCEがきこえる」。
さらには、久世ドラマでデビューした三好鉄生のグロンサン「涙をふいて」、タケカワユキヒデのソロにしてサントリーの「ハピネス」、大瀧御大が書き下ろした小林旭の味の素「熱き心に」といういろんな味わいのナンバーがズラリ。
ドラマはといいますと、日テレ系でいえば、ショーケン&豊という傷だらけの天使コンビによる「お前に惚れた」(これも75年ですね)と「カリフォルニア・コネクション」に加え、スタジオミュージシャン集団・SHOGUN「男達のメロディー」や、今は亡きアイ高野さんのボーカルにシビれるクリエーション「ロンリー・ハート」も入っています。
クールスの舘ひろしがアクターシンガーとしなった「泣かないで」はドラマではないんでしたっけ。
大映系では、紙のピアノを弾くキョンキョンを思い出す東京JAP「摩天楼ブルース」、個人的にオススメNo.1の和製AOR、トミーとマツ・松崎しげるによる「ワンダフル・モーメント」などなど。
映画では、やっぱりメディアミックスの角川映画。衝撃のジョー山中「『人間の証明』のテーマ」、われらが町田義人「戦士の休息」、南佳孝「スローなブギにしてくれ」、中村雅俊の蒲田行進曲「恋人も濡れる街角」ら男臭い名曲がラインアップされています。
久々に聴くことになる、あしたのためにおぼたけし「美しき狼たち」も映画主題歌でしたね。
ほかにも、松田優作「BAY CITY BLUES」、上田正樹「悲しい色やね」というヨコハマとオーサカのベイ・ブルースつながりもありますし、クリスタルキング「大都会」やもんた&ブラザーズ「ダンシング・オールナイト」といった80年のメガヒット、キョージュによる前川清の名曲「雪列車」、ニック・ニューサー「サチコ」などカラオケで大人気だったニュー演歌も収録されるなど、ホントかなり濃くってじっくり楽しめる内容となっています。
という、ペアでそろえたい上質ポップスコンピ2タイトル。全音源を持ってるという人でも、Blu-spec CDで聴けばきっと違った感動が生まれるはず。ぜひとも高品質&高音質体験をなさって、聴いて歌って、よき新年をお迎えください。
最後に、今年もナツメロ喫茶店をご愛顧いただき、どうもありがとうございました。ホント大変なことの多い毎日だと思いますが、そんな時はうたの力を信じて、うたで元気をチャージし乗り切っていただければ、なんて思います。
2010年もみんながいいうたに囲まれ、たとえひとすじであっても希望の光を見つけられる1年になりますように!
(2009.12.29)