今回も初CD化多数!ナオコ復刻企画の続編!
昨年、コアなファン悲願の東宝レコード時代も網羅した3枚組2タイトル「シングルA面コンプリート」「カバー作品コレクション」(こちらで紹介)の発売が実現したナオコさん。
なんとなく予想より売れ行きが芳しくないような気がして、企画の後編が実現にこぎつけられるのか心配していましたが、ついにリリースが決定したようです!
機が熟したといいますか、まさに関係者の尽力の賜物といえる2タイトル、中島みゆき楽曲をコレクションした「 中島みゆき作品コンプリート 」とシングルB面集「 シングルB面コンプリート 」、堂々の登場です。
20年前の「研ナオコ DELUXE CD BOX」や一昨年の「 研ナオコ 魅力のすべて 」といった通販BOXでは満足できなかった往年のナオコファンや、ナオコが歌うみゆき作品集の完全版を求めていたみゆきサンのコレクターにとっても、今回の発売は大願成就の出来事ではないでしょうか。
とにかく全4タイトル、ナオコ史上目を見張る充実ぶりですし、価格がお手頃というのもとてもウレシイところです。
ご存じの通り、リイシューにはいろんなハードルやタイミングが存在するため、ファンが本当に求めるものをきちんと出すということはとても難しいこと。しかし、今回の流れを思うにつけ企画者の手腕というものは大きいなと実感する次第です。もちろん何より、買って結果を出すという頼もしいユーザーの存在が最も大きいのは当然ですけれど。
さて、今回特に注目したいのは、みゆき作品集の「 中島みゆき作品コンプリート 」。当初の予定では全楽曲という定義でのコンプリート2枚組という予定だったようですが、コアなファンの意向もしっかりくみ取っていただき、全音源という定義での正真正銘のコンプリート3枚組になるようです。
思えば、75年のキャニオン移籍第1弾「愚図」で、ようやく歌手としてブレイクを果たしたナオコさん。みゆきサンとの縁は、飛行機の中で偶然聴いたデビュー曲「アザミ嬢のララバイ」から始まったといいます。曲を書いてもらいたいというオファーは、レコード会社が同じだったこともありすんなりOKが出て、翌76年の初提供曲「LA-LA-LA/雨が空を捨てる日は」につながっていったそうです。
そしてアルバム「泣き笑い」の片面全曲提供を経て、そこからのリカット「あばよ/強がりはよせよ」がオリコンNo.1を獲得する大ヒットを記録。初出場を決めたこの年の紅白歌合戦では「LA-LA-LA」を歌うなど、ナオコVSみゆきというコンビは大成功を収めたのでした。
ポプコンと世界歌謡祭を制した「時代」というスマッシュヒットはあったものの、デビューから日も浅く、まだ知る人ぞ知る存在であった中島みゆきというシンガー・ソングライター。彼女の存在を全国津津浦浦のお茶の間まで知らしめたのは、研ナオコその人であったといっても過言ではないでしょう。77年の「わかれうた」での大ブレイクも、ナオコさんが下地を築いていたからこそ成しえたといえるのではないでしょうか。
「愚図」以降のナオコさんの歌は、ネガティブ志向で不美人の心情を映したふられ歌やわかれ歌とでもいうようなレッテルが貼られていましたし、みゆきサンの歌にハマったのは、そんな共通項の相乗効果も大きかったのかもしれませんね。
もちろん歌手・研ナオコにとっても、みゆき作品は代表曲。後の紅白でも78年には「かもめはかもめ」、79年には「ひとりぽっちで踊らせて」、久々の出場となった93年にはふたたび「かもめはかもめ」を歌ってきましたから、みゆきサンが欠かせないソングライターなのは言うまでもありません。
そういえば他者には非常に厳しかったことで知られる当時のみゆきファンでさえ、ナオコさんだけはみゆき作品の表現者として認めていたように思います。それはむろんナオコさんの卓越した歌唱表現のなせるワザでしょうが、「しあわせ芝居」を大ヒットさせても下手なアイドルの極みのように酷評された桜田淳子は言わずもがな、「ルージュ」の名唱を残したちあきなおみでさえ色眼鏡で見られていた時代ですから、その評価は相当のものですよね。
ただ、昔のみゆきサンがよく言っていた「同類項にしか書かない」という発言は本質的な内面とそれを映し出せる表現力の有無を見極めてのことだと思いますので、淳子ファンとしてはみゆきサンから楽曲の提供を受けたこと自体、淳子だってみゆきサン公認の立派なみゆき表現者なんですけど…と鼻を膨らませて弁護いたしたいところです。
と、また話が横道にそれましたが、ナオコさんとみゆきサンの蜜月は、再び片面全曲を手がけたアルバム「かもめのように」、イロイロあってのカムバック&リカット曲「かもめはかもめ/ふられた気分で」で極まります。
不穏な状況からのカムバックという流れを美談として見事に演出した「かもめはかもめ」は久々にベストテン入り。アルフィーを従えた「窓ガラス/さよならを伝えて」も連続ヒット。
そして決定打はみゆきサンのオリジナルや他アーティストへの提供曲をカバーした超ロングセラーアルバム「NAOKO VS MIYUKI/研ナオコ、中島みゆきを唄う」です。CD時代になっても売れ続けたアルバムですし、単なるカバーアルバムとは一線を画す仕上がりなのは、皆さんよくご存じのことでしょう。
その後も「みにくいあひるの子/こぬか雨」「ひとりぽっちで踊らせて」といった書き下ろし、84年のみゆきカバー第2弾「Again」などなど、折に触れてみゆき作品を歌ってきたナオコさん。
よく知られたシングル曲だけでなく「海鳴り」「根雪」「捨てるほどの愛でいいから」「土用波」「囁く雨」といったアルバム曲もカバーしたり、かつての提供曲を新たにセルフカバーしたり、歌手活動を本格的に再開させた近年もみゆきナンバーをレコーディングし続けています。
今回のCDは、これら研ナオコが歌ったみゆき作品の全音源、すなわち書き下ろしからみゆきカバー、他歌手作品のカバーまで、すべて収められたものになるようですが、そうなると「あばよ」の初出アルバムバージョンや「明日 靴がかわいたら」「わすれ鳥のうた」「ふられた気分で」といった本邦初CD化ナンバー、そして市販品では初CD化となる「杏村から」や「かってにしやがれ」(ナオコ版のタイトル表記がひらがななのは、当時大ヒットしていた沢田研二の同名異曲への配慮ではないでしょーか)も収録と、コアファン狂喜の内容になるのですね。
さすが、ぼくらのベストやMyこれ!で知られるオニピー発、ファン思いの徹底的なこだわりがあったからこそ実現した企画といえるでしょう。
ナオコファンだけでなく、コレクター度が高いみゆきファンの皆さんを中心に、かなり売れるのではないかと予想しておりますが、名曲集というくくりで聴いてもとても味わい深い内容ですし、両者の薄いファンの方もぜひどうぞ。またとない機会だと思いますのでね。
なお、「 シングルB面コンプリート 」の方は、やっぱしナオコフリーク向けなのですが、少しでも気になるのならば、絶対に買いです。
「御免遊ばせ」「Bと言うスナック」「小さな願い」「ボーイフレンド」「何をしようかな」「月がのぼれば」「嘆きのブルーレディ」「家へおいで」といった東宝時代を筆頭に、「グッバイ」「居留守」「空中ブランコ」「もう…もう…」「時雨れて」「東京美人」といった初CD化のB面曲音源がそろい踏みしているのですから。
特にレアな東宝時代のB面曲は、74年の2枚組集大成「ゴールデン・デラックス」や、キャニオンでの成功に便乗して77年に発売された「その道・オリジナル14」というベストLPを持っていたとしても全曲を聴くことはできませんでしたから、ホントに宝物的。
さらに、アニメのコンピ盤でしか聴けなかった「なつかしい朝」や、デュエット企画曲も網羅されていますからね。後で悔やむことのないよう、このチャンスをお見逃しなく。
という研ナオコ復刻企画・後編。長い間待ち望んでおりましたが、正直もう無理じゃないかと思ったことが何度もありましたので、こうして4タイトルが実現することにあらためて感謝です。
これにて一件落着、と言いたいところですが、ジャズ風味の企画アルバム「Naoko Mistone」を中心にアルバム曲にはまだ未CD化がありますので、それらを欲する皆さんは、ここからがホントの正念場、勝負どころですぞ。もはやCD化のリクエストではなく、早めの予約、購入による結果を出すことが唯一の道だと思いますので、希望される方はぜひともともに頑張りましょう!
(2014.3.14)