EMIアルバム復刻の続編がタワレコ限定で実現!
2012年にはカバー・アルバム8タイトル(こちらで紹介)とオリジナル5タイトル(こちらで紹介)が連続して紙ジャケ復刻され、永年CD発売を切望してたファンは大喜びしたものですが、ブームの収束やEMIのユニバーサル吸収合併もあってか、後が続かなかったのですね。
それから2年、突破口を開いてくれたのはタワレコ良盤発掘隊・Tower To The Peopleでした。そう、紙ジャケ復刻からは漏れていた名作3タイトル「 23才 由紀さおり 愛のうた 」「 ふらりふられて 」「 今 この瞬間 」がついに復刻となります。
まずは、エルファバみたいな全身緑のジャケットに驚く72年発表の意欲作「 23才 由紀さおり 愛のうた 」。
高度成長時代、由紀さん自身も飛ぶ鳥を落とす勢いの頃だけに、クリエイティビティみなぎる感じですが、シングル「土に還るまで/貧しくても幸せに」を含み、いずみたく先生が全曲を作曲。作詞は山川啓介、安井かずみ、山上路夫、岩谷時子ら若き日の巨匠たちが担当。
トータル・アルバムとしても秀逸で、サウンドもメロディーもとにかくオシャレ。バックコーラスはシンガーズ・スリーです。
時代は下がって76年12月発表の「 ふらりふられて 」は、先行シングル「こころもち気まぐれ/夕菜の花のなぐさめを」と同時発売のシングル「ふらりふられて/風恋歌」を含む全10曲。
島武実+宇崎竜童という翌年高田みづえで大ヒットを連発するコンビを中心に、かつて名曲「ルイ」を提供したみなみらんぼう、気鋭の女性シンガー・ソングライターだった丹羽応樹らが参加。
アダルトなニューミュージック歌謡という感じです。
そして84年4月リリース、「家族ゲーム」で映画女優としても注目を集めた頃の15周年記念アルバム「 今 この瞬間 」。
これが売れなかったことで“歌謡曲歌手・由紀さおり”のアルバムがラストになったといういわくつきの作品ですが、ただ売れなかったというだけで、中身はけだし名盤だと思います。
阿木燿子&残間里江子という2大女傑が詞を綴り、安全地帯ブレイク直後の玉置浩二、樋口康雄(ピコ)、木森敏之らが曲をつけ、由紀さんが歌ったのは自立して生きる新時代の女性像でした。
この中からは「このままがいいの/ラストチャンス」がシングルカット。ラストを飾る「愛の習慣」も88年の「心の家路」のカップリングとしてリカットされてます。
という3枚は三者三様で、聴き応えたっぷり。
紙ジャケではないようなので、ラックに並べた時の一体感がないという人もいるかもしれませんが、あきらめかけていた復刻が実現にこぎつけられたのはタワレコのおかげですので、やっぱり心から感謝したいですね。
(2014.7.2)