いしだあゆみ妹でなかにし礼夫人、筒美系初ベスト!
あれは昨年初めの「徹子の部屋」だったでしょうか、なかにし礼さんと石田ゆりさんご夫妻を久々にテレビで拝見したのは。夫唱婦随で食道がんを克服されたエピソードなど、おしどり夫婦とはまさにこの二人のためにある言葉だと思ったことでしたが、ゆりさんの変わらない美貌にも驚いたものです。
いしだあゆみさんの実妹として知られるゆりさん。近年といっても10年ほど前ですが、石田家を舞台にしたNHKの朝ドラ「てるてる家族」(原作が礼さん)のヒロイン(石原さとみ)のモデルになったり、第一線から引退した後もいろんな機会で目にすることが多いのですが、元は宝塚音楽学校出身。
1970年、なかにし礼+筒美京平のコンビによる作品で東芝音工からレコードデビューした歌手だったのです。
ただ、お姉さんの存在が大きすぎたのか、礼さんが隠してしまいたかったのか、歌手活動は1年ほどだった模様。
引退後、一時は女優活動をしていて、個人的にも「ムー一族」の小料理屋の女将役(白石まるみちゃんのお姉さん役でした)で見せたちょっと翔んでるイメージが強かったりします。
また、後に石田えりや、同じく姉妹タレントの石田ゆり子が出て来たせいで、今となっては石田ゆりと聞いてもピンと来ない人が多いかもしれませんね。
活動期間は短くとも筒美フリークには見逃せない、そんな位置づけの彼女ですが、このたび礼さんの「なかにし礼全集」などの出版とタイミングを合わせた併せた企画として、初のベスト盤「 ゴールデン☆ベスト 石田ゆり 」が出ることになりました。
「悲しみのアリア/愛は嘘をつけない」「愛ある限り/いつか来る朝」「愛を知ったから/叱らないで」「いつも二人/嫁ぐ朝」という4枚のシングルと、「悲しみのアリア」「愛の詩集」という2枚のアルバムからチョイスしたナンバーが収録されるとのこと。
「筒美京平 HITSTORY」(こちらで紹介)でもセレクトされた哀愁のデビュー曲「悲しみのアリア」をはじめ、本田路津子ばりのハイトーンを聴かせる叙情派カレッジフォーク風の「愛を知ったから」、「夢見るシャンソン人形」を思わせるテンポアップのラストシングル「いつも二人」というシングルA面の筒美作品3曲は98年の「ウルトラ・ベスト・トラックス」でCD化されていましたし、ファーストアルバムはVIVIDから復刻盤「 悲しみのアリア 」としてリリースされていましたので、今回はセカンドアルバムメインにお願いしたいところ。
数字が動くという意味においても、未CD化の筒美作品がすべて網羅されることを願っています。
なお、この企画はこちらが主役ではありますが、シンガー・ソングライター、なかにし礼としてのベスト盤「 ゴールデン☆ベスト なかにし礼~道化師の楽屋 」も同時発売。
東芝EMIのアルバム「黒いキャンバス」と、フォーライフから出た「マッチ箱の火事」、そしてRCAの「なかにし礼・別れを歌う」から選曲されるとのことで、ゆりさんとのデュエットも入るそうです。
ただ「マッチ箱の火事」はCD化されていますし、その他のナンバーも2004年に出たシャンソンBOX「 東京の空の下、人生は過ぎゆく (Sous le Ciel de Tokio La Vie S'en Va) 」の1枚「なかにし礼自作自演集・帆のない小舟/なかにし礼」にほとんど入っていますので、ゆりさんのベストに比べるとレア度は全然低いです。今回は手軽にコレクションできるようになったというのがポイントでしょうか。いずれにしても、おしどり夫婦よろしくCDもペアでそろえるというのが理想かも。
また、日本レコード大賞を3回も受賞したヒットメーカーとしての軌跡を追うなら、2枚組ベスト「 天使の誘惑~なかにし礼 作品集 」や3枚組作品集「 昭和・忘れな歌~なかにし礼アンソロジー~ 」がオススメ。音楽畑出身の直木賞作家としての力量を堪能するなら、TBSの名物プロデューサーを描いた新聞小説のサントラ的アルバム「世界は俺が回してる」(こちらで紹介)をぜひどうぞ。
(2014.8.13)