ヒロリンのライブが一挙ブルーレイ化、姉妹コンサートも!
姉妹してキャリアを重ね、お互いに少しのブランクはあったものの、現在も精力的に音楽活動を続ける岩崎シスターズ。
今年デビュー40周年目に入るヒロリンは揖保乃糸のCMソングにもなったリカットシングル「 時の針 」で頑張っていますし、35周年目に突入したヨシリンは昨年出した絶妙な選曲のカバーアルバム「 THE REBORN SONGS~シクラメン~ 」(こちらで紹介)が好評を博しています。
昨年のFNS歌謡祭でも共演するなど、昔に比べ2人で歌うことも増えていますが、姉妹初のジョイントコンサートといえば、2008年5月16日、東京の文京シビックホールで開かれた「Precious Night~二人だけの大切な時間~」。その模様はDVD化されておりますが、なんとこのたびヒロリンのライブソフトの一挙Blu-ray Disc化に伴い、ブルーレイの「 岩崎宏美・岩崎良美 Precious Night(Blu-ray Disc) 」として再発されることになりました!
市場ではまだDVDにダブルスコアをつけられているというブルーレイディスクですが、世界的にはDVDからの移行がもっとも進んでいるのが日本なのだとか。音楽も動画も配信が主流の中、この傾向はやはりパッケージを愛する国民性を表していると言えるでしょう。業界的にも、今年はDVD超えを目指し、音楽ジャンルのセル商品の成長に期待しているそうですが、今回のヒロリン6タイトルブルーレイ化の背景にはそういう流れもあったのかもしれません。
さて、今回24bitデジタルリマスタリングによってブルーレイ化されるライブソフトですが、このタイトルは、それまでディナーショーなどでの共演はあってもコンサートは初となった姉妹ジョイント。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団&ヒロリンのサポートメンバーがバックということもあり、とても落ち着いた雰囲気で、ヒロリンのカバーアルバム「Dear Friends」シリーズで披露したデュエット曲を中心に、それぞれのオリジナルやヒット曲を織り交ぜた二部構成となっています。
どちらのファンでもあるワタシはめったにないチャンスだと思いナマで観覧させていただきましたが、大舞台での姉妹共演というプレッシャーからかカチンカチンに緊張していたヨシリンを、ヒロリンが貫禄の姐御肌(実姉ですけどね)でサポートするという図式は本当に見ものでした。
むろん商品ですので、一部撮り直しを含め編集はなされているものの、2人のそういう様子がしっかり記録されていますし、今回はブルーレイの鮮明な映像と高音質になりますんで、余計にリアルな感じで映っているような気がします。
さて、そのコンサートはアルバムでおなじみのデュエット「白い色は恋人の色」からスタート。緊張の余りヨシリンは歌詞を間違えたため、本編終了後に歌い直しを撮影するというひとコマもありました。その後はヨシリンのコーナーとなり、デビュー曲「赤と黒」やおなじみの「タッチ」メドレーなどを披露。ヒット曲も良かったですけれど、近年傾倒しているフレンチものが出色です。
ただ、フレンチ志向になったヨシリンを知らなかったお客さんはちょっと引いてるみたいだし、個人的には」アルバム曲とはいかなくても「恋ほど素敵なショーはない」とか「愛してモナムール」とか、昔のシングルをもっと演っても良かったと思っています。
中盤からふたたびヒロリンが登場し、「恋は水色」「誰もいない海」「卒業写真」などをまたまたデュエットするワケですが、一部のオーラスは「ごめんねDarling」といううれしいサプライズ! コーラスでは久々に黒っぽいヒロリンが登場という感じで、視覚的にはビッグママのゴスペルみたいな雰囲気もあります。
実際の会場は年齢層がかなり高く、大人しいお客さんばっかりだったので、残念ながら客席一体のノリは見られませんでしたし、オーケストラではありますけど、あの曲が好きな人ならブルーレイで見てもグルーヴ感にゾクッときて、思わずノッてしまうこと請け合いです。個人的には、このコンサートではコレが目玉だったと思っています。
そして二部はヒロリンの独壇場。 当時はとてもクラシックづいていたヒロリンですし、カンロク十分でございますから、序盤の「好きにならずにいられない 」から決まる決まる。あの「思秋期」もレミゼの「夢やぶれて」も、声を詰まらせた大江千里クン提供の新曲「始まりの詩、あなたへ 」も感動的ですが、やはり「ロマンス」「万華鏡」「シンデレラ・ハネムーン」のメドレーが圧巻です。
全編を振り返ると、どうしてもクラシカルなだけに、ポップスという観点から見るとのっぺりした構成のように思われる部分もあり、聴きたい曲が聴けないコアファンならではのもどかしさも感じる人も多そうですが、そこは姉妹の競演が実現したという企画ですから。特典映像も満載ですし、お2人のファンならとても楽しめるんじゃないかと思います。仲睦まじいMCもたっぷりでしたし、安田・由紀姉妹の跡を継ぐのはやっぱりこの2人しかいないと実感することでしょう。
ただ今見ても、やはりヨシリンの借りてきた猫というか、終始「私はあくまでも添え物なので…」というような自信なさげな態度がちょっと残念。あれから6年、かつてのようにライブも重ね、私生活では結婚もしたことで、今なら全盛期の堂々とした素振りが見られるんじゃないかと思います。そういう意味でもまたジョイントコンサートをしてほしいと思っています。できれば定期的に…。
なお、今回同時にブルーレイ化されるヒロリンのライブは、デビュー30周年を記念し2004年10月渋谷オーチャードホールで開かれた「 30TH ANNIVERSARY LIVE SPECIAL Happiness(Blu-ray Disc) 」、2009年10月に東京国際フォーラムで行われた「 Live 2009 Thanks(Blu-ray Disc) 」、2010年にチェコのドボルザークホールで行われた「 Live in PRAHA 虹~Singer~(Blu-ray Disc) 」、同じく2010年にデビュー35周年を記念し東京国際フォーラムで行われた「 35TH ANNIVERSARY CONCERT(Blu-ray Disc) 」、2012年4月に川口リリアホールで行われたカバーアルバムから選曲されたコンサート「 Dear Friends Special with strings(Blu-ray Disc) 」です。
商品化されていませんし、ビクター時代ではありますが、NHK-BSで放映された99年の25周年コンサートも素晴らしかったので、いつかブルーレイになればいいなと思ってます。
(2014.2.20)