オススメ復刻盤「岩崎良美/ゴールデン☆アイドル」


ナツメロ喫茶店

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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#682

岩崎良美/ゴールデン☆アイドル

(2014.7.30発売、PCCA-50191、¥4,600+税)  *HQCD・3枚組

*ポニーキャニオン編では、斉藤由貴(PCCA-50188、¥3,800+税)、岡田有希子(PCCA-50189、¥3,000+税)、堀ちえみ(PCCA-50190、¥4,600+税)、石川ひとみ(PCCA-50192、¥4,600+税も同時発売されるほか、アナログタロウ・セレクション(PCCA-50193、¥2,500+税)も発売!

ポニキャン編は「赤と黒」から35年目のヨシリン!

 いま巷のアイドルファンの間では話題騒然。ソニー、コロムビア、ユニバーサル、ビクター、ポニーキャニオンの5社合同による新企画「ゴールデン☆アイドル」シリーズ。

 高品質CDにドーナツ盤のAB面を完全収録し、アナログシングル・サイズの紙ジャケット仕様に各ジャケットのレプリカブックを付けるという豪華版です。

 予定されているラインアップには、各社を代表する70~80年代のビッグアイドルが並んでいますが、コロムビア編(こちらで紹介)、ビクター編(こちらで紹介)、ソニー編(こちらで紹介)に続き、今回ピックアップさせていただくのがポニーキャニオン編。

 デビュー順にいえば78年の石川ひとみ「 ゴールデン☆アイドル 石川ひとみ 」(3枚組)、80年の岩崎良美「 ゴールデン☆アイドル 岩崎良美 」(3枚組)、82年の堀ちえみ「 ゴールデン☆アイドル 堀ちえみ 」(3枚組)、84年の岡田有希子「 ゴールデン☆アイドル 岡田有希子 」(1枚)、85年の斉藤由貴「 ゴールデン☆アイドル 斉藤由貴 」(2枚組)というメンツです。

 ポニーキャニオンといえば、昔はテープのポニーとレコードのキャニオンに分かれていましたけど、販売を一体化させ、マークを統一したのが83年頃だったように思いますので、堀ちえみまではドーナツ盤のジャケットにはそのへんのノスタルジーも入っている感じです。

 また、作品群は、今年お亡くなりになった渡辺有三さんを筆頭に、元甲斐バンドの長岡和弘さんといった敏腕ディレクターを中心に制作されていて、独自のカラーとクオリティが高いことも見逃せませんよね。
 ただ、各人ともシングルAB面の音源は早い時期からぼくらのベストシリーズなどのBOXでCD化済みですし、単独パッケージでも堀ちえみは2005年のハイブリッド盤「シングルスⅡ」で、斉藤由貴の場合は2007年の「 「斉藤由貴」SINGLESコンプリート 」で、岡田有希子の場合は2012年のカラオケ付き「 ザ・プレミアムベスト 岡田有希子 」(こちらで紹介)でというように、折に触れAB面コレクションがリリースされておりますので、音源目当てよりもグッズ的に買い求めるファンの方が多そうな気もします。

 高品質なHQCDですから違いはあるとはいえ、そういう状況ですから今回の推しメン選びは難航しましたが、由貴ちゃんもユッコも、ちえみちゃんもひっちゃんも、み~んな大好き!だけどやっぱり良美だね!という鉄則(なんのこっちゃ…)にのっとり、個人的な思い入れが最も強いヨシリンをプッシュさせていただきました。

 さて、ヨシリンのアナログシングルは80年のデビュー曲「赤と黒/クライマックス」から87年のポニキャンラスト「ONLY HE /オ・ニ・ヴァ(ON Y VAS)」までの25枚50曲。よって今回は3枚組となるようですが、アイドルポップスとニューミュージックやシティポップスをいち早く融合したヨシリンならでは、ビックリするほど高品質な楽曲がズラリ。

 旬のSHŌGUNサウンドをベースに、なかにし礼さんがヨシリンの本質を見極めたヨーロピアン文芸路線から始まって、南佳孝さんを経て尾崎亜美ちゃんとなるウェスト・コーストに向かった後、ズズ+トノバンで再びヨーロッパへと回帰する流れは文句のつけようがありません。

 高度すぎて玄人向けと称されることもありましたし、同期の聖子はヨシリンの後追いではないかと思えるほどだったりしますが、聖子と比べ成果が追いつかなかったのは、安定しすぎて化学反応が少なかったせいでしょうか。近田春夫さんが当時、ヨシリンは歌手デビューが1年早ければ大成功していたはずだというようなことをおっしゃってましたけどね。

 結局はOL的というか、中高生というより大人向けを意識したシティポップスを展開していくヨシリン。それが極まるのが83年、今も名曲と誉れ高い「恋ほど素敵なショーはない/まぶしい扉」でしょう。個人的には、ここから翌年の流れ、すなわち「愛はどこに行ったの/ジャスミンの頃」から「ヨコハマHeadlight/10月のフォト・メール」までの一連の林哲司作品が歌手・岩崎良美の真骨頂だと思っています。決してその後の「タッチ/君がいなければ」からではなく…。

 とはいえ、最初から“岩崎宏美の妹”という一面だけがクローズアップされてきたヨシリン。歌手としてはとかくハードルを上げられ、曲が良くて歌が上手くて当たり前、という感じでご本人もスタッフも相当なプレッシャーだったと思いますが、それを見事にはねのけるハイクオリティなナンバーを発表し、それを維持したことは、もっと評価されてしかるべきではないかと思います。

 また今回のシリーズは、ジャケ写の復刻も大きなウリとなっているのですけれど、ヨシリンの場合、写真うつりがあまりよろしくなかった…というのが正直なところ。特に初期はそんな感じで、「とり舵いっぱ~い!」のあどけないイメージも漂う「赤と黒/クライマックス」にしても、のっぺりした初期メイク全開の「あなた色のマノン/夏のたより」にしても、何だがぎこちないんすよね。「涼風/モーニングコール」なんかは自然なんですけど、アレはすごく遠くから望遠で撮ったそうで、ジャケット撮影はいつもすごく緊張してたそうです。

 でも、2年目の「LA WOMAN/夏をひとりじめ」あたりからは、本来のヨシリンというか、ニュートラっぽい服装とともに東京育ちの女の子ならではのセンスが感じられていきます。個人的に好きだったのは、83年のサラサラストレートヘア。肌を焼いてどんどん小麦色になっていく具合と相まって素敵。「ラストダンスには早過ぎる/波にさらわれた恋」や「くちびるからサスペンス/Manhattan Moming」あたりがベストでしょうか。

 というヨシリンのシングル群。ぜひこの機会にどうぞ。
 なお、ポニーキャニオン編では、お試しのような感じで、通常パッケージによるダイジェスト版「 ゴールデン☆アイドル アナログタロウ・セレクション 」も発売になるとのことです。

(2014.5.23)

*ビクター編のみ2014.8.27に発売延期となりました。ご注意ください。


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