オススメ復刻盤「野口五郎/SMILE」


ナツメロ喫茶店

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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#654

野口五郎/SMILE

(2013.12.18発売、PROT-1107、¥2,300) <タワーレコード限定>

南十字星 +2(PROT-1106)、ON THE CORNER(PROT-1108)も同時発売!

80年の筒美作品集を含む3作がタワレコ限定復刻!

 先ごろ、ライブの感動をそのまま持ち帰ることができるという配信システム「テイクアウトライブ」を特許発案するなど、相変わらずビジネスの才も発揮している野口五郎さん。

 エイベックス移籍後は本業の歌の方でも精力的で、ライブ活動のほか、アダルトポップス「僕をまだ愛せるなら」に続く 新曲 を来年の元日にリリースするなど、さすが新御三家のトップスターという貫禄を見せていますが、最近は旧譜復刻も盛ん。

 すっかりおなじみとなったタワレコ良盤発掘隊・Tower To The Peopleシリーズでは、 アメリカ録音盤四部作(こちらで紹介)と、その総集編のように豪華ミュージシャンが結集した10周年記念ライブ(こちらで紹介)の再発&初CD化が話題を呼び、ほぼ完売するなど、うれしい再評価が進んでいるようです。

 という好評の声を受けてのことでしょう。79年から81年のオリジナルアルバム3タイトル「 南十字星 +2 」「 SMILE 」「 ON THE CORNER 」もタワレコ限定復刻が決定しました! しかもアルバムとしてはすべて初CD化!

 ゴローの黄金期を考えると、さかのぼってのリリースかと思いきや、下っての3枚。この中では筒美京平フリーク必携の「 SMILE 」がオススメですが、ゴローファンのみならず先の復刻盤をコレクションした方なら、全部そろえるという人も多そうです。

 この当時、アイドルや人気歌手という点ではピークを過ぎた時代に当たりますけれど、シングルが思うようにヒットせず、セールスが下降したことは実は、ゴローにとってとっても大きなチャンスだったように思います。試行錯誤という名のチャレンジの機会を与えられ、シンガーとして研鑽を積んでいったのですからね。
 そういう意味では、ゴローにとっては最も脂の乗った時期だったといえるのではないでしょうか。

 まずは、79年5月リリースの「 南十字星 +2 」。タイトルではヒデキのシングルを連想してしまいますが、リリースはゴローが先。阿久+筒美コンビによるギター小僧・ゴローをフィーチャーした最新シングル「真夏の夜の夢」を含むアルバムですが、作曲家陣には筒美先生とお兄さんのほか、後にシングルカットされる「裏切り小僧」を書いた宇崎竜童や、つのだひろという初期・清水健太郎のブレーンだったヒットメーカーに加え、旬モノ買いといえる林哲司、人気爆発のゴダイゴからトミー・スナイダーら新鮮なが参加しています。
 なお、筒美作品はもう1曲「風と炎と燃える日と」が入っているほか、今回は前年のヒットシングルにして筒美AOR歌謡の最高峰と言われる「グッド・ラック/消えたハリケーン」がボーナストラックとして追加されています。

 そして、筒美フリーク必聴なのが、全曲を筒美先生が手がけた80年12月発売の「 SMILE 」。
 この年はドラマ主題歌となったシングル「さすらい気分/夕暮れギター」、続く「愁雷」のB面「やさしく教えて」で1年ぶりに筒美先生を起用したゴロー。その筒美先生にすべて任せたのがこのアルバムですが、シティポップスで洗練の極みという印象の名作。
 作詞はおなじみの山上路夫さんのほか、大御所の橋本淳さん、ちあき哲也さん。前年、ジュリーやヒデキのイメージが強い阿久さんを歌った時にも感じましたが、ゴローはやっぱり山上さんのちょっと繊細で気弱な感じがお似合いではないかと思っています。そういう意味では「Smile スマイル」がオススメ。

 最後の「 ON THE CORNER 」は81年10月発表の実験作。何と言ってもデビッド・スピノザがゲスト参加ということで話題を呼んだアルバムです。
 作詞は伊藤アキラさんが中心ですが、作曲は山中涼平さんやゴダイゴのトミーのほか、ゴロー自身も担当しているのが大きな特徴と言えるでしょう。なお山中涼平さんは、80年ごろからゴローの新しいパートナー的にお兄さんの佐藤寛さんに代わって出てきた印象ですが、実はお兄さんのペンネームだったのでした。

 この後は苦しい展開で、精彩を欠いたり、歌謡曲寄りの展開になったり、迷走した印象も否めないゴローですが、事実82年の紅白には新御三家でただ一人落選してしまうワケですからね。しかし翌年には筒美作品「19:00の街」で見事返り咲きましたから、やっぱりゴローの良さを知り尽くした筒美先生でなきゃ、ということなのでしょう。

 今回の3枚でも、やっぱり「SMILE」が群を抜いておりますからね。筒美先生の提供作は2003年の「銀座線」以来ないように思いますが、久々にタッグが組まれることを祈っております。

(2013.11.12)


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