オススメ復刻盤「野口五郎/U.S.A. STUDIO CONNECTION」


ナツメロ喫茶店

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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#626

野口五郎/U.S.A. STUDIO CONNECTION

(2013.6.26発売、PROT-1077、¥2,700)  <タワーレコード限定発売>

豪華な10周年リサイタル実況盤、タワレコ限定初CD化!

 旧譜フリークにはすっかりおなじみとなった、タワレコ良盤発掘隊・Tower To The Peopleシリーズ。タワーレコードが独自のチョイスで進めているもので、最近は邦楽にも積極的で、先ごろは野口五郎のアメリカ録音盤四部作(こちらで紹介)の再発&初CD化が話題を呼びました。

 当時は歌謡曲やアイドルポップスって、ただそれだけで見下されてしまうことが多かったのですが、それでも一聴して本質を見抜く人たちからはこだわりと凄テクを持つギター小僧として一目置かれていたゴロー。しかもゴロー・イン・USAはバッキングの豪華さで、洋楽&フュージョンファンの度肝を抜いたものでした。

 その復刻だけでもありがたいのに、今回、アメリカ録音の際バッキングを務めたミュージシャンたちを日本に招いて行ったライブ盤も復刻されることになりました!
 それが1980年3月30日、中野サンブラザホールで収録された野口五郎10周年記念リサイタル実況録音盤「 U.S.A. STUDIO CONNECTION<タワーレコード限定> 」!

 71年5月1日に「博多みれん」でデビューしたゴローですから、この記念盤のリリースはちょうど10周年突入の記念日である80年5月1日。いくら記念日に間に合わせるためとはいえ、開催からわずか1カ月後の発売というスピード発売はファンの間のみならず、業界周辺でも大きな話題となりました。ライブ盤が通常リリースローテで鮮度を売り物にしていたあのピンク・レディーですら、最速でひと月半ぐらいはかかっていたのですからね。
 LPでは2枚組でしたが、初CD化となる今回も2枚組としてのリリースになるそうです。

 さて、東京と大阪の2カ所で計1週間の公演となったこのリサイタル。特筆すべきはやはり豪華なバッキングでしょう。
 U.S.A STUDIO CONNECTIONと名付けられた来日組は、リック・マロッタ(ドラムス)、トニー・レヴィン(ベース)、デヴィッド・スピノザ(ギター)、ワディ・ワクテル(ギター)、ドン・グロルニック(キーボード)、デヴィッド・サンボーン(アルトサックス)という錚々たる面々です。

 彼らを受けて立つ日本組は、羽鳥幸次、岸義和(トランペット)、新井英治(トロンボーン)、原田忠幸(バリトン・サックス)という御大ジャズメンたちに、江夏健二時代のウォン・ウィンツァン(キーボード)、斉藤ノブ(パーカッション)、ゴローが名付け親だったEVE(コーラス)という当時若手だった7組9人、名付けてGORO SPECIAL 9。むろんゴローも歌とギターのみならず、特訓したという津軽三味線の腕前も披露しています。
 この歴史に残る日米セッションを指揮したのは、ゴローのステージに欠かせなかった音楽監督・東海林修先生でした。

 10周年のお祝いとはいえ、目もくらむミュージシャンたちがゴローのためにわざわざ来日しているというのが、スゴイじゃありませんか。しかも、カネに物を言わせたセッションではなく、ゴローの音楽性に敬意を表し、ゴローをはじめとする日本のミュージシャンたちと音楽という共通言語でセッションしているのがとてもスリリング。
 アドリブも含めライブならではのグルーブ感がたまりませんし、ジャケットやライナーの楽しそうな写真を見ながら聴けば、二倍三倍、堪能できるのではと思います。

 USA四部作未収録ながらその流れで出たシングル「女になって出直せよ」をはじめ、「異邦人」「愛撫」「指」「新宿午前4時」「夜間飛行」「パラダイス」という四部作ナンバーを披露しているほか、周年リサイタルならではの記念すべきデビュー曲「博多みれん」や、おなじみの「甘い生活」「君が美しすぎて」「真夏の夜の夢」に、当時の最新曲「愛の証明」まで、ヒット曲も多数収録されています。

 時代を感じさせるMCもさることながら、客席とのコミュニケーションもバツグンによくって、10周年記念としてこのアルバムから同時発売リカットされた名曲シングル「コーラス・ライン」(オリコンは最高24位だけど、ザ・ベストテンではファンのリクエストハガキ効果で9位をマーク)など、会場にいて一緒に参加している気分にさせてくれます。
 個人的にゴローファンって賢くて真面目な上、感受性が強い印象がありますが(だからこそゴローの歌というものに反応し、黄色い声援の悲鳴度が高かったのだと思う)、ここでもゴローの一世一代の晴れ舞台というシチュエーションをきちんと理解して、いろんな意味でパーフェクトな応援をしているように感じますね。

 実力と魅力がバランスよく拮抗していた新御三家ですが、とりわけライブ盤はそれぞれの個性が色濃く出ていて、エンターテインメントとしてそれぞれに楽しめるものだと思いますが、ゴローの場合はプロフェッショナルなミュージシャンとしてのテクニックや、高い音楽性を実感できると思います。
 もちろん得意のダジャレを含むトークなど、当時の野口五郎というエンターティナーというかテレビタレントとしての部分もリアルに記録されていますので、そういう意味でも価値ある1枚といえますね。

 そういえばゴローのライブ盤はカセット版が完全収録だったように記憶していますが、コレもそうであったとしたら期待したいものです。


(2013.5.7)


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