明菜の真骨頂、動と静で綴る30周年コンセプトベスト!
花の82年組、と一言でくくってしまうとやっぱり大物過ぎて、今となっては違和感がある明菜ちゃんですが、82年デビューであることには相違なく、この5月1日でめでたく満30年を迎えました。
30周年アイテムの口火を切ったDVD-BOX「ザ・ベストテン 中森明菜 プレミアムBOX」(こちらで紹介)もまだ鑑賞途中ではありますが、歌う時の強さとはかなさが同居するたたずまいとか、本当にその瞬間瞬間で違う魅力にあふれていて、いつもならスキップしてしまう同じ曲の連続もじっくり見入ってしまうほど。
ランキング番組ということも大いに影響しているとは思いますが、まさに孤高の歌姫であることを再認識したといいますか、今さらながら明菜って不世出のシンガーであることを実感した次第です。
と、せっかくの30周年にご本人が不在というのが残念な限りですが、今度はCDでデビュー30周年を記念するベストアルバム「 ベスト・コレクション ~ラブ・ソングス&ポップ・ソングス~(30周年記念生産限定特別価格盤) 」の発売が決定しました。
しかも30周年記念生産限定特別価格盤として、2枚組で2,500円というお買い得ビックリ価格(通常盤「 ベスト・コレクション~ラブ・ソングス&ポップ・ソングス~ 」でも3,000円という安さ!)。
明菜の黄金期、ワーナー時代のベストというと、シングル両面を完全収録したライノ編「コンプリート・シングル・コレクションズ〜ファースト・テン・イヤーズ」(こちらで紹介)がコレクションものとして必携ですが、今回の2枚組ベストはシングルA面完全網羅の上、明菜の志向性をしっかり堪能できるよう構成されているので、ビギナーだけでなくファンにとっても新発見がある内容だといえるでしょう。
コンセプトはデビュー以来、明菜が展開してきた「静」 と 「動」というコントラスト。これをラブ・ソングス、ポップ・ソングスととらえた上で時系列で並べているので、とても聴きやすく、しかも明菜の魅力を理解しやすい構成になっているのですね。
例えば、ディスク1は静のラブ・ソングス編17曲で、「スローモーション」「セカンド・ラブ」「トワイライト-夕暮れ便り-」「SAND BEIGE-砂漠へ-」「SOLITUDE」などおなじみのシングルに、「目をとじて小旅行(イクスカーション)」「駅」「乱火」「恋路」「忘れて…」とアルバム曲やB面曲を挿入。
ヒットシングルにはどうしても時代性までもが入り込んでいるので、往時を知っている人がA面曲だけのベストを聴いてしまうと、明菜の歌以外のイメージも渦巻いてしまうものですが、ちょこちょことアルバム曲を入れることで緩和され、歌に集中できそうな気がします。
明菜のこういう曲って、声にならない声というか、歌っていない部分の歌までもが聴こえてくるように思っていますので、今回の構成ではそのへんがきっと味わえるんじゃないかと思います。
一方、ディスク2は動のポップ・ソングス編17曲。こちらも強力シングルぞろいで「少女A」から「1/2の神話」「禁区」「北ウイング」「サザン・ウインド」「十戒(1984)」と初期ヒットナンバーに、貫禄のついた「飾りじゃないのよ涙は」やレコ大2年連続受賞曲「ミ・アモーレ」「DESIRE-情熱-」まで、ただただ圧巻。
B面曲「LA BOHEME」「危ないMON AMOUR」、カセットのみの「ノンフィクション エクスタシー」もスピードありすぎの展開です。ここでは明菜の歌の最大の魅力にして最大の武器となったリズム感といいますか、ビートと一体化して日本語の歌を歌えるという才能を、きっと実感できるんじゃないかと思います。個人的にもそこがディスク1と対比してみたいところであります。
今回、オリジナルの楽曲の魅力はそのままに再構築を施すリメイク盤ということなので、明菜黄金期のツヤや伸びなど、声自体の魅力も再確認できそう。ファンも侮れないし、ビギナーも唸ってしまう感じの新ベストになりそうで楽しみです。
こういう感じのベストならどんどん出てほしいですし、次代に残すという意味でも、さまざまなアーティストのこういう感じのベスト盤がどんどん続くといいですね。
(2012.5.14)
*2012.8.22には、紙ジャケ&SACD/CDハイブリッドBOX「
AKINA BOX(紙ジャケット&SACD/CDハイブリッド仕様)
」(WPCL-11152、¥45,000、完全ディスコグラフィー付/2012年24bitデジタルリマスタリング)が発売!
これは82年~89年までにLPで発売されたアルバム17タイトル(「プロローグ(序幕)」〜「Cruise」)と、初紙ジャケット化となる「BEST III」(オリジナルは92年リリース)の全18タイトルがセットされた18枚組ボックスで、2006年の「AKINA BOX 1982-1989」の単純なハイブリッド化ではないようです(前回の特典ディスク「セブンティーン」ではなく初紙ジャケット化となった「BEST III」)のでご注意ください。
なお、単品18タイトル(WPCL-11134~51、各¥3,200)も同時発売されます。