今だからこそ聴きたい…力をくれる夢のうた。
人生を歩いていく上で、どんなときも寄り添い、励まし、 導いてくれるたくさんのうた。あのうたたちにもしも出合うことがなかったら、あの喜びをしみじみと味わえありがたく思えただろうかとか、あの淋しさをどうにかこうにかでも乗り越えられることができただろうかとか、ふと思ってしまうときがあります。
うれしいことなら倍に、悲しいことなら半分に…というように、小さな頃からうたは喜びも悲しみも分かち合ってくれる存在でした。だからこそ、それがたとえ絶望のうたであったとしても、うたは希望であり、夢であることも実体験として確信しているのですが、少しでも多くの人がそのことに気がつけば、もっと生きやすくなるのではないかなどと本気で考えている今日この頃です。
そういう意味では来週発売、ロマンティックな夢を歌った名曲を集めたという「 夢のうた 」なんかも、そういうことを実感できる1枚になるのかも。またまた手前ミソではありますが、夢も希望も見えなくなってしまうような出来事が相次ぐ今だからこそオススメしたいコンピ盤になっている気がします。
パッと見では、80年代を中心に文字通りの「夢」にまつわるうたを安直に集めたした当たり前のコンピという印象がありますし、夢の定番ソング「夢をあきらめないで」を筆頭に、鈴木マーチンがラッツではなくソロとしてカバーした大瀧作品「夢で逢えたら」、聖子の「SWEET MEMORIES」、何年か前にめざましテレビのコーナーでもよくかかっていた徳永の「夢を信じて」、最近もCMで流れている「デイ・ドリーム・ビリーバー」、フミヤの「TRUE LOVE」や斉藤由貴の陽水カバー「夢の中へ」など、今も名曲として親しまれているおなじみのうたが多いのも確かですが、その御大の77年作品「真夏の昼の夢」、爽快な青空とカルピスのマッチングが心地よかったスタレビのスマッシュヒット「夢伝説」などがチョイスされているあたり、ただの王道コンピではない雰囲気。
中でも、山本潤子のソロとしての代表作といえる「いつでも夢に花束を」の収録は見落とされがちな名曲だけにうれしい限りだし、シーナ&ロケッツ「ユー・メイ・ドリーム」や元春「SOMEDAY」といったロックンドリーム系も、聴くだけで気分が変わってくる力を持った名曲群です。
そして何と言ってもトリが「夢先案内人」というのもナイスじゃありませんか。言わずと知れた百恵ちゃんのNo.1ヒットですが、シングルでは最もメロウなナンバーだけに幕開けに持ってきそうなものを、裏をかいてラストにしたセレクトにセンスを感じてしまいます。
最後の「見つめる二人/生きてることの喜びに/言葉を失くす夜明け前です」(阿木燿子作詞)というセンテンスから頭の中に広がる情景に、今さらながら胸を打たれます。
目の前の道が険しくなったとて、周りのものが朽ち果てたとて、たとえ絶望に打ちひしがれてしまったとしても、夢と希望は必ずある。それも自分の内に…そんなことを思いつつ、夢のうたを口ずさみながら、今日しかない今日という一日を、生きていこうと思います。
(2012.7.17)