祝25周年! 名ベストがSHM-CDで再発!
来年でデビュー25周年。ソロ、バンド、ユニットなどなど、ミュージシャンとしていろんな活動を幅広く続けていても、あの少年のようなドングリ眼は、いつまでたっても変わらない感じの高野寛クン。
直近ではクラムボンの伊藤大助さんとのユニット・TKN+DSKを結成。今月末にはアルバム「 TKN+DSK Live2012 」をリリースしツアーもスタートさせるなど、相変わらずの音楽少年ぶりです。ちっとも変わらぬ紅顔の美少年イメージのまんまではありますが、よく考えると25周年ですから50の声もまもなくなんですよね。
来月には25周年記念として、高橋幸宏プロデュースのファースト「 HULLO HULLOA 」とセルフプロデュースによるセカンド「 RING 」の復刻再発(CD選書・音蔵COOL PRICE並みの1500円!)も決まっておりますし、サード以降の90年代の6作品は2007年のstandard of 90’sシリーズで既に紙ジャケ復刻済み。
また、ライブの映像ソフト「 BESTEN DANK [DVD] 」も既にDVD化されておりますが、ここに来て92年の名ベストアルバム「 TIMELESS PIECE BEST OF HIROSHI TAKANO 」も高音質CDでよみがえることとなりました。
といっても、これは25周年の復刻盤ではなく、EMIのオフィシャルベスト盤・高音質再発キャンペーンというシリーズ企画。
薬師丸ひろ子「 SENTENCE~セ・ン・テ・ン・ス~ 」、本田美奈子「 Look over my shoulder 」をはじめ、CREATIONから中原めいこ、DTBB、スチャダラパー、SHOW-YA、高中正義、山下久美子、 ICE、PERSONZ、ウルフルズ、SEX MACHINEGUNS、鬼束ちひろ、大黒摩季、PE’Z、オリジナル・ラヴ、DJ OZMAまで、各人の代表的なベストをSHM-CDによるスペシャルプライス盤として一挙発売するという企画の1枚だそうです。
それでも絶好のタイミングなのは間違いありませんし、名刺代わりといいかすか、気軽に高野ワールドに浸れる1枚ですからスイセンさせていだきましょう。
このアルバムは高野クンにとって初のベスト盤で、オリジナルは92年の12月リリース。その後98年に廉価盤再発がありましたので、今回は約15年ぶりの再発。3度目のCD化にして初のSHM-CDとなります。
内容は、88年のファースト「hullo hulloa」から、セカンド「RING」、そしてブレイク後の「CUE」「AWAKENING 」「th@nks」までのアルバムとシングルの中からチョイスされた16曲に、発売当時オリジナル・ラヴの田島貴男さんとコラボしていたCMソング「Winter's Tale~冬物語」のソロバージョンをボートラとして収めた17曲。
しかも、うち8曲がニューバージョンで、単なるベストではない構成となっています。
一般に高野クンと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、トッド・ラングレンがプロデュースし、スキーウェアのCMソングとしてガンガン流れた大ヒット2曲ではないでしょうか。そう、オリコン2位をマークしたブレイクナンバー「虹の都へ」、続くオリコン3位の大ヒットにして知名度の高い代表作「ベステンダンク」です。
どちらもココロ浮き立つ名曲ですし、大好きなナンバーですが、ああいう王道的というか、わかりやすいポップさとメッセージは、実は高野クンの主たる部分ではないと思うし、だからこそ意図的にヒット街道をばく進しなかったんじゃないかと考えているのですが、進めるのに進まない、というスタンスが昔からカッコいいなあと思っているのであります。
むろん、ユキヒロとケーイチさんのビートニクスが立ち上げたT-E-N-Tレーベルのオーディション出身ですから、一筋縄ではいかないのはさもありなんではありますが。
このへん「ユーミンが何さ!」ってやろうと思えばいつでもできたんだけどあえてやらなかった…というアッコちゃんみたいな気もしますけど、このベストにはそんな矢野顕子が大いに褒めてカバーした「夜の海を走って月を見た」「いつのまにか晴れ」といった渋い作品もちゃんと収録されております。
ほかにも渋谷系に再評価された大家、ロジャー・ニコルズの「The Drifter」に日本語詞をつけてカバーした「ドゥリフター」など、名曲が満載。
聴き飽きない普遍的な高野ワールドがコンパクトに詰まっていますので、懐かしく感じる人はもちろん、pupaやトリビュートアルバムとかで高野クンを知ったポップ好きのお若い方も、ぜひこの機会に聴いていただければと思います。
(2012.10.16)