35周年記念、バラエティーに富んだニューアルバム!
この11月1日でデビュー満35周年を迎える渡辺真知子さん。今ではすっかり陽気で明るいラテンのイメージが定着しましたが、昔からのノンジャンルを基本に、ますますボーダーレスな活動を続けていらっしゃいます。
35周年目に突入した昨年には、コンプリートなプレミアムBOX(こちらとこちらで紹介)も完結。
その際には過去の総決算を行うとともに、新たな音楽づくりの抱負を意欲的に語っていたまっちゃんですが、その言葉通り、ついに記念のニューアルバム「 腕の中のスマイル 」のリリースが発表されました!
新作に関してはいろんな企画が持ち上がっていたようですが、そこはやっぱり35周年。吟味に吟味を重ねた上で届けられた新生・真知子の第1弾は、心機一転、なんと自主レーベル・Kamome Musicからのリリースとなっています。
デビュー以来のソニーから離れてしまったのは少し淋しく感じますが(“円満離婚”だそうですのでご心配なく!)、新録としてはほぼ6年ぶりとなることですし、35年来のファンとしては、新たなるまっちゃんの飛翔をまた張り切って応援するという意味でも、速攻で予約したいと思います!
さて、一足先に繰り広げられている記念コンサートと同タイトルからも分かるように、このニューアルバムにはまさにまっちゃんの現在・過去・未来、もとい35年のキャリアがギッシリ。
その軌跡を振り返るようなセルフカバーから、国内外でのさまざまな出会いから生まれたカバー曲、タイトルチューンをはじめとする書き下ろし新曲まで、ラテンにジャズ、クラシックとオケは違えどもどこをどう切っても“渡辺真知子”な魅力が満載の1枚に仕上がっている感じです。
大ヒット「かもめが翔んだ日」「ブルー」、そして20周年の大名曲「歌って歌って恋をして」はもとより、セルフカバーで注目したいのは、一青窈のリクエストで曲提供した「あたしだって」。
彼女のバージョンは6月に発売されたアルバム「 一青十色(ひとといろ) 」に収録されていますので、ソングライターとしての才能も再認識するとともに、歌窈曲の聴き比べも楽しみたいものです。
また、熱心なファンにとってうれしいのは、ライブで披露されてきたナンバーの初音盤化ではないでしょうか。
本場・サンクトペテルブルグでも披露されたムソルグスキーの「展覧会の絵」はELPも驚くバンドアレンジではなくクラシカルアレンジとのこと。ライブではオーラスを飾る「Amazing Grace」や、「Smile」などもステージで見せた圧巻の歌唱を思い出し、感動がよみがえってくるようです。
さらに、同郷のよしみで「山口百恵トリビュート・セレクション」(こちらで紹介)で歌った「横須賀ストーリー」もボートラ収録されていますので、和洋オールジャンルを歌いこなすボーカリストとしての魅力も十二分に実感できることと思います。
自作自演のシンガー・ソングライターとしてデビューし、ソングライティングの才能が大きく評価されたまっちゃんですが、ヤマハ時代には譜面歌手としても活躍していましたし、初期のコンサートから洋楽も好んで歌っていました。すなわちデリケートなフレーズもパワフルなシャウトもお手の物、「夜もヒッパレ」などより全然前から、純然たるシンガーとしても高く評価されてきた人ですからね。
なお、バッキングにも気心が知れたメンバーがそろい、和気あいあいに進んだそうですが、なんとサプライズでスターダスト・レビューの根本要さんとのデュエットもあるんだとか。
35年間で初めてとなるデュエットでのレコーディングで、また新たな一面が引き出されたことにも期待したいものです。
まっちゃんの最大の魅力は底抜けの明るさの裏からのぞく、とっても正直でデリケートな部分だと思っていますが、それは華々しくデビューし、いきなりスターダムに上り詰めた分だけ、紆余曲折を味わった経験から来ているのかも。
そんなまっちゃんだからこそ歌える、人の人生に寄り添ううた。この記念アルバムは、そんな包容力と慈愛に満ちたとっておきの1枚になることでしょう。
(2012.9.11)
*35周年記念第2弾企画として、ジャズ&ラテンアルバム「
Amor Jazz
」が2013年1月25日に発売されます。