25周年記念、ポニキャン時代の15枚をセット!
松本典子や網浜直子を輩出し、渡辺美里や国生さゆりもチャンスをつかんだ第3回ミス・セブンティーンコンテストでの入賞をきっかけに、85年、セブンティーン・クラブの一員としてデビューした工藤静香。彼女が脚光を浴びたのは、セブンティーン・クラブでもモモコクラブでもなく、おニャン子クラブでした。
会員番号38番として86年に加入し、渡辺満里奈のデビュー曲でバックに抜擢された後、うしろ髪ひかれ隊を結成し本体でもフロントに昇格。そして、おニャン子とは思えないハードなイメージの「禁断のテレパシー」でソロデビューしたのです。
それが夕ニャンのフィナーレとなった87年8月31日。そう、ちょうど25年前の今日のことでした。
ということで、ソロデビュー25周年を記念したオリジナルアルバムBOX「 (仮) アルバムBOX SET (CD15枚組) 」の発売が発表されました!
88年のファーストアルバム「ミステリアス」から、2005年のポニキャン復帰作「月影」まで、ポニーキャニオン発売のオリジナルアルバム全15タイトルを集めたBOX。
コアなファンの皆さんならコレクションしておきたい愛蔵盤でしょう。当然リマスタリングを施すとのことなので、押さえておくというアイドルマニアの方も多そうです。
さて、デビュー曲はおニャン子人気終焉にもかかわらずオリコン初登場1位を記録。夕ニャン有終の美を飾るとともに、華々しい船出となった工藤静香。ふんにゃりとしたしゃべり方とはうらはら、当初からドスのきいたボーカルを武器にシンガーとして高く評価されていましたが、彼女の場合は何といっても楽曲に恵まれていたことに尽きるのではないかなと思います。
それはやっぱり秋元康さんではなく、渡辺有三ディレクターの采配によるものでしょうが、ゴッキーがマジで力を入れたという感じで曲の良さが際立っております。
だからこそ、おニャン子ファンの間で完結するのではなく、外へ外へと広がっていくことができたような気がしますね。
おニャン子系の場合、とんねるずがよく揶揄していたように「初登場1位、翌週13位」みたいなチャートアクションが当たり前になっていましたし、今日まで続く特定のファン限定の瞬発力による売り方の礎が築かれた気がしますが、彼女の場合は最初こそその流れだったものの、3作目にしてロッカバラードの「抱いてくれたらいいのに」あたりから明らかに違っていったように思います。
その背景にあったのは、バブルを取り巻いた女性たちの支持。
前髪をしっかり立ち上げ、スレンダーなのにボディコンという髪型や服装をマネしたり、お水やヤンキー系のおねーちゃんたちが中心になってカラオケでこぞって歌い始めたのですから。
そして、まるで必然的だったかのような中島みゆきの起用。
シングルでいえば、みゆき作詞の「FU-JI-TSU」「MUGO・ん…色っぽい」の流れで、名実ともにトップアイドルの座に就けた気がします。
ホント、みゆきサンのある立ち位置の詩世界に限って言えば、最も相性の良いキャラクターだったのではないでしょうか。何よりみゆきサンご本人が高く評価していたし、他者に厳しいみゆきファンからの評判も上々だったようでした。
個人的に、工藤さんにはおニャン子時代から好印象を持っていなくって、そういう場合はCDなんか聴かないんですが、本当にいい曲が多かったんで最初から買ってまで聴いてましたっけ。
実は彼女のシングルB面偏愛者といっていいほどなのですが、それだけでなく「さよならの逆説」「宇宙の正面」「つぎはぎのポートレート」「さよならLONELY これきりLONENY」などなど、初期のアルバムはよく聴きましたし、大好きな曲が多数あります。
で、肝心の今回のアルバムBOXですが、何でも最初の3枚以外はオリジナル盤がまだ生きているらしく、個人的にはそれが一番大きなニュースだったりして。意外に今も地道に売れ続けているのでしょうかねえ…。
ともあれ、その最初の3枚、88年発売のファースト「ミステリアス」(オリコン最高3位)、全曲中島みゆき作詞によるミニアルバム「静香」(1位)、新境地を開拓したシングル「恋一夜」を含む傑作「JOY」(1位)はホントに粒より。
タイトル曲をはじめ大貫妙子が作詞で参加し、愛絵理もお目見えしたフィンランド録音盤の異色作「カレリア」(2位)、「くちびるから媚薬」を含む「rosette」(1位)、「ぼやぼやできない」をフィーチャーしみゆき作品も入った「mind Universe」(1位)、ロッカバラード「めちゃくちゃに泣いてしまいたい」で幕が開く「Trinity」(3位)、最大ヒット「慟哭」に加えみゆき作品も豊富な93年の「Rise me」(3位)と、ケバ度はどんどん増していくのですが、ちょっとあぶなげでも日本語をちゃんと発音してたことも含め、ゴッキー時代のここまでが安定した絶頂期といえるのではないでしょうか。
あの頃、トップを取った歌手の中には、場末的な下世話さというか、ある意味厭世的な歌謡ポップスがきっちり歌えて、その雰囲気がキャラクターにもぴったりマッチした人は彼女以外にはいませんでしたので、そのあたりをBOXでじっくり検証してみるのもよさそうです。
その後はセルフプロデュースへとシフト。94年発表、全曲作詞のLA録音盤「Expose」(5位)は、静香の本質にフィットした名曲「Blue Rose」と、「Jaguar Line」という2枚のシングルを含んでいてセルフの必然性がしっかりのぞく好盤だと思いますが、「Purple」(7位)、「doing」(16位)、「DRESS」(18位)、シャ乱Qのはたけプロデュースによる「I'm not」(19位)、「Full of Love」(38位)、間が空いた「月影」(86位)あたりは再聴していないというか、だんだんと言葉をおろそかにしているように聴こえてしまって、当時も含めたぶん1回も完聴していないと思うのでノーコメントにて失礼します。
なお、音楽業界総アーティスト時代のアイドルらしくコンセプチュアルなアルバム作りを行っていたせいで、シングルB面曲はたいていオリジナルアルバムに未収録だったり、ベストアルバムのみで発表されたナンバーがあったりしたものですが、ホント名曲ぞろいですので、今回ボーナストラックとして補完されるといいですね。
また、25周年記念シングルとして、絢香が初めて書き下ろし提供するという「 キミがくれたもの 」もリリースされるとかで、記念のライブも行うそうです。
いずれにしても工藤静香は80年代後半から90年代を代表するボーカリストの一人であることに間違いないですから、この機会に軌跡を追って聴き直したい方はぜひどうぞ。
ワタシはといいますと…今、みゆきサンの初期アルバム・リマスタリングCD-BOXをどうしようか迷っている最中なので、まずはそちらの方を優先したいと思っております。
(2012.8.31)
*25周年記念シングル・アルバムBOX W購入キャンペーン実施が決定。シングル「キミがくれたもの」とアルバムBOX「SHIZUKA KUDO ORIGINAL ALBUM COLLECTION」の両方を買うと全員に工藤静香オリジナルグッズをプレゼント、さらに抽選で300名が25周年記念プレミアムトークイベントに招待されるというものです。詳しくはシングルに封入の応募券とアルバムBOXに封入の応募ハガキをご覧ください。