ビクターのマニアック・ベストが期間限定で再発!
ビクターのアイドルもの復刻といえば、2003年の桜田淳子BOX「そよ風の天使」をきっかけに進んだ、不滅のアイドル・最強伝説 びっぷ!シリーズが有名。
松本伊代、麻丘めぐみ、石野真子、ピンク・レディーらBOXやオリアル復刻などが沸き立ちましたが、その中でもマニアのみんなが喜んだのがマイナーアイドルのベスト盤・びっぷ!コレクションでした。
ただ、購買層が限られているため早々に入手困難になったり、セールスが良かったアイドルはGOLDEN☆BESTシリーズに昇格したりして、今となっては幻のシリーズとなっていたのです。
リリース当時は手が回らず、後から欲しがる人もきっと多かったのでしょうね。なんと初期発売の10タイトル+オムニバスが期間限定で再発されることになりました!しかもオリジナルよりも安くなって!
それが「 井上望コレクション 」「 伊藤さやかコレクション 」「 岡本舞子コレクション 」「 甲斐智枝美コレクション 」「 白石まるみコレクション 」「 水谷麻里コレクション 」「 麻田華子コレクション 」「 持田真樹コレクション 」「 酒井美紀コレクション 」「 村田和美コレクション 」、そして大物アイドルも含むビクターのアイドル史「 デビュー! 」というラインアップですが、とにかくオススメしたいのはコレ!
「スター誕生!」出身、ノンこと井上望の「 井上望コレクション 」です。
内容は、79年のデビュー曲「ルフラン/センチメンタル・コメディー」から「好きだから/熱いまなざし」「花ねがわくば/ミスター・グッドバイ」「メイク・アップ・ミー/ウエルカム」「悲恋一号/あのひとに知らせますか?」「シャドー・ボーイ/プリマドンナ」「恋のシュラシュシュ/反則ブギ」までのレギュラーシングルに、「おはようスパンク/愛子のテーマ 心の扉を誰かがたたく」「哀しみよこんにちは/ワンダー・フルフル」というアニメ主題歌シングルを加えたコンプリート・コレクション。
当初はアルバム曲が入る予定が、ファンからの熱心なリクエストでこの構成になったように記憶しています。
さて、ニューミュージック全盛、アイドル不作の79年デビューではありましたが、それなりには注目されていたノン。日本テレビ音楽祭やレコード大賞をはじめその年の新人賞は総ナメしたワリに、黄金の80年組に押され世間では今ひとつ印象が薄いようなんですよね。
でも、本当に実力派、スタ誕の系譜でいえば浦部雅美や神田広美、金井夕子の線で、とにかく歌のうまくてボーカリスト志向のコだったのです。
それは、スタ誕で和田アキ子の「コーラス・ガール」を選曲したことでも分かるでしょうが、最も素晴らしいのはその声質。平山三紀をキレイにアク抜きし、ソフトな鼻声にした感じの中低音で、個人的には平山三紀-松本伊代ラインの間に位置していますが、そういう意味では筒美先生が手がけてたら、もっと売れたのかもしれませんね。
しつこいぐらいの大プッシュでスマッシュヒットしたデビュー曲「ルフラン」、穂口雄右先生がノンの歌のうまさを引き出したレコ大新人賞受賞曲「好きだから」、一転して明るい70年代的アイドルポップス「花ねがわくば」(B面の「ミスター・グッドバイ」は穂口先生の最高傑作にして70年代アイドルポップスの最高峰ではないでしょーか)、公募詩による大阪のファッションビル・なんばCITYのイメージソング「メイク・アップ・ミー」、阿久先生が手がけた名作ですが該当者なしの日本テレビ音楽祭金の鳩賞ノミネート曲「悲恋一号」、丸山圭子がメジャーになる前の杉真理と組んだ傑作「シャドー・ボーイ」と粒よりの作品がずらり。
アイドル歌手としてはロコモーションな企画ものの「恋のシュラシュシュ」で打ち止めとなりましたが、「おはようスパンク」関連もなかなかの佳曲ぞろいです。アニメは「なかよし」から生まれた人気作だったワケですし、ヨシリンみたく実はコレが一番知名度の高い代表作といえるのかもしれません。
というノンの唯一のCDベスト。70年だから80年代にかけての端境期アイドルポップスというものを体現できると思いますので、ぜひ手にとってみては。
なお、アイドル時代のナンバーでは、オニピー発の好企画盤「 デビューアルバムに針を落として・・・ 70年代アイドル編 」で、ファーストアルバム「プライベート・タイム」の1曲目「青春メランコリー」がCD化されています。
今回のコレクション再発が大好評になって、ファーストアルバムがCD化、なんてことにならないカナ。
(2012.9.29)