オススメ復刻盤「石川秀美BOX COMPLETE SINGLE COLLECTION」


ナツメロ喫茶店

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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#574

石川秀美 BOX COMPLETE SINGLE COLLECTION

(2012.11.14発売、MHCL-2141、¥10,500)  *4CD+DVD<再発売>

30周年を記念して、さわやか天使のBOXが再発!

 ここに来てゾクゾクと記念リリースが続く、30周年の花の82年組。今度は西城秀樹の妹としてデビューしたさわやか天使・石川秀美、シングルBOXの再発です。

 82年組を指折り数えていくと、なんとなくイチバン最後に出てくる感じがするのは、ブレイクした同期のほとんどが活動を続ける中、薬丸夫人としてなかなか表に出てこないからでしょうか。
 といっても、ヤックンとの結婚引退後も、夫婦でのCM出演はありましたし、2010年には、薬丸秀美として資生堂IN&ONのCMに登場。同じく久々の河合その子とともに、すわ本格復帰かと囁かれたものでしたが、結局は翌年も今年も夫婦でのCM共演が続き、基本的スタンスは変わることがないようです。

 変わらないどころか落ち着いた美しさに磨きがかかっている感じですし、あの美貌を持ちながら表に出て来ないのはホント残念な限りではありますが、引退や休業をしても復活し、現役の多い82年組ですから、やっぱり貴重な存在といえるでしょう。

 そんな彼女の30周年アイテムは、2004年に発売された4CD+1DVDの5枚組限定BOXの再発となる「 石川秀美BOX COMPLETE SINGLE COLLECTION(DVD付) 」。かつてのRVCのRCAレーベルも後にBMGからソニー傘下となり吸収されてしまったため、ソニーからのリリースとなっております。

 当時で23曲が初CD化というボリュームで、オリコン最高121位をマーク。限定生産でしたが、わりと長い間入手できたBOXでしたので、秀美ファンのみならずアイドルマニアの皆さんもけっこう所有率が高いのではないでしょうか。
 よってこちらとしてはスルーするつもりでいたのですが、リクエストをいただきましたのでご紹介させていただいた次第です。

 あらためて内容を簡単に説明しますと、CDには、82年のデビューシングル「妖精時代/海のスケッチ」から90年の「LUCY/人魚伝説」まで、全30枚のシングルのAB面を完全収録(実際は「ゆ・れ・て湘南」がシングルバージョンではなかった)。さらに12インチ「LOVE COMES QUICKLY~霧の都の異邦人~/I LOVE YOU~瞳の言葉~/熱帯性ガール」に、アルバムに収録されていた「ゆ・れ・て湘南」「哀しみのブリザード」「バイ・バイ・サマー」「愛の呪文」のニュー・ヴァージョンと、本人作詞のナンバーを追加した全71曲。

 DVDには、ハワイで撮影された「ゆ・れ・て湘南」のイメージビデオをはじめ、83年9月の中野サンプラザ公演「Spark!!さ・わ・や・かコンサート」などからのヒット曲のライブ映像をセレクトした計10曲が入っています。

 さらにブックレットには、当時の写真をはじめ、バイオグラフィーや解説、芸映の先輩・西城秀樹、後輩・芳本美代子、初期の作曲を担当した小田裕一郎さんのコメントなども収録。モニュメントとしては充実の部類に入るんじゃないでしょうか。

 秀美ちゃんというと、やっぱり顔も太もももパンパンだったヒデキの妹の印象が鮮烈。スポーティーなヘアバンドやホットパンツという衣装も相まって、80年代的な先端のブリッコギャルではなく、榊原郁恵みたいなちょっと古い健康的な女の子のイメージでした。

 「第2回ヒデキの弟・妹募集」全国縦断オーディション優勝者ですから、必然的に河合奈保子の妹でもあったワケですが、デビュー1年目の作曲は前述の小田裕一郎さん、そして最初の2枚の作詩は松本隆さんという、松田聖子の1年目と2年目をミックスした布陣。といっても若さがはちきれんばかりの歌唱法で微笑ましいというレベルでした。
 ルックスと同じ明るいイメージでいったワリに、第2弾シングルにして新人賞レース参加曲「ゆ・れ・て湘南」の哀愁がピッタリはまる感じで、曲がイイというのもありますが、あれは確かに大器の雰囲気だったような気がします。
 で、そのままの路線でブレイクするかと思いきや、2年目は元気印。トップテン入りということでは、これで堀ちえみの次、早見優よりも先にブレイクを遂げるワケですが、それにしても「涙のペイパームーン」から「Hey!ミスター・ポリスマン」の上り調子は、予感が確信に変わる感じがしっかり記録されているようで、いつ聴いても刺激的です。

 しかし、初期で注目はブレイク後の大切な1枚となった「恋はサマー・フィーリング」。なんと80年代アイドルでは珍しい森田公一さん作曲で、桜田淳子の夏路線を思わせる典型的70年代アイドルポップス。ここで森田さんを起用するってこと自体スゴイと思いますが、キョンキョンが「まっ赤な女の子」、優ちゃんが「夏色のナンシー」と筒美ナンバーでハイセンスに決めたり、他のアイドルの曲がどんどん複雑になっていったのに比べ、すごくシンプルでチープなのが逆に素晴らしいと思います。
 トップ10ヒットを記録してはいるものの、今となっては人々の印象にないようですが、ホントは石川秀美の真骨頂はココにあり、このまま進んでほしいと思ったことでした。

 ただ、現実は当然そうはいきませんで、きわめて洋楽的でハードな方へと流れていきます。ボン・ジョヴィにシーラ・Eなどクリソツなものもあれば、後期にはなんとペット ・ショップ・ボーイズが書き下ろしたという触れ込みのカバー曲までがあったりして。
 中でも85年、自己最高位をマークした「もっと接近しましょ」あたりになるとワザと鼻にかけたエロティックボイスへと変化するんですが、このBOXなら、ビックリするほどキレイになっていくルックスとともにその過程を楽しめるのではないでしょうか。

 と、冒険もいっぱいした秀美ちゃんですが、記念すべき紅白初出場は、試行錯誤を続けた後の「愛の呪文」。
 美貌だけで化粧品のCMキャラクターに選ばれたのは同期では最初だったと思いますが、典型的アイドルポップスのコレが受けたってことは、やっぱ初期の70年代風がイチバン合ってたことの証明ではないでしょうか。

 という再発BOX、今回も完全生産限定盤ですので、前回躊躇して買い逃してしまった方は今回こそご入手を。「ゆ・れ・て湘南」がシングルバージョンに差し替わったなら、買い直すというコアファンも多そうですね。アンコーププレスではなく、型番の違う再発になることですし、期待したいものです。

(2012.7.30)

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