「輝きたいの」の再評価で20年ぶりのベスト盤!
このサイトも、立ち上げからはや14年目。いろんなことがホントにたくさんありましたが、例にもれず心ない迷惑行為みたいなことが起きたこともあったりして…。その時にとりいそぎ導入したのがアクセス解析でした。
訪問者の環境や検索ワードなどが分かるというシロモノですが、基本何かあったときのためであり、大きな動きがない限り普段は全然チェックなんかしてないのです。
ところが8月下旬のある日から、数日間にわたって古いページのアクセスが突出した数字を記録したことがありました。それも、今年から公開終了とにしている、今は直接のリンクすら張っていないページ。削除こそし忘れていたものの、ネットの中に埋もれたページでした。
で、その日から一斉に閲覧されたのは、遠藤京子さん(現在は遠藤響子に改名)の「輝きたいの」にまつわる小文でした。ちなみに「輝きたいの」は、1984年に発表されたシングルで、山田太一さん脚本、女子プロレスの世界を舞台にした三原順子主演による同名TBSドラマのテーマ曲。遠藤さん自身の作詞作曲で、勇気を与えてくれる名バラードです。
そんな驚異のアクセス数に一瞬「何事か!」と気色ばんだのですが、時間帯を見てみると跳ね上がったのは日本テレビ「24時間テレビ」のクライマックス。そう、チャリティーマラソンのタイミングだったのでした。
とはいえ、あの番組はピンク・レディーの大ファンだった初回、人生初の完徹状態を経験した記念すべき番組ではありますが、近年は熱心に見ていない(今年はヒデキのみ)もので、最初はどうしてか分からなかったのですね。
ところが、一通のお問い合わせメールをきっかけに検索してみると、すぐに判明したのです。
今年の挑戦者・北斗晶さんを支えたうたであり、完走時には遠藤さんがサプライズゲストとして弾き語りで歌ったのだと。
そして自らのエピソードを語り、遠藤さんのうたで号泣する北斗さんの姿に大いに感動した視聴者から、大反響が巻き起こったことも。
そうして「輝きたいの」の情報や音源を求める人が殺到し、配信チャートでは唯一カタログで生きていた近年のライブバージョン(アルバム「 こういうことなんだろう(紙ジャケット仕様) 」収録)がいきなり上位に食い込み、永らく廃盤だったオリジナル・バージョンも配信リリースされるなど、ちょっとしたブームを巻き起こした…というのが真相だったワケです。
北斗さんも当時からこのうたに感銘を受けていたとは知らなかったけれど、まったくもって同い年なのでさもありなん。あの時代に生きる我々にとって、とても心に響いたうただったのだと再認識した次第です。
そしてこの北斗効果を受け、リリースが決定した20年ぶりのベスト盤「 ゴールデン☆ベスト 遠藤京子 輝きたいの~ビクター・シングルス(仮) 」。まさに、うたの力が巻き起こした奇跡ともいえるリイシューです!
遠藤さんといえば金八先生シリーズの貫八先生でもおなじみだったり、自作自演のシンガー・ソングライターだけでなく、作曲家としてもヨーコ・ナガヤマの「悲しき恋人たち」や、おニャン子美奈代の「ガールズ オン ザ ルーフ」、のりピーの「ALL RIGHT」「ダイヤモンド☆ブルー」や、ナガマリの「泣きたい日もある」など数々のヒット曲を世に出していますが、筒美京平フリークの間では、筒美作品でデビューしたアーティストとして有名。
デビューは81年11月、同じくビクターからこれまた同じ筒美作品でデビューした伊代ちゃんの翌月にシングルをリリースしたワケですが、自作詞であり、当時多かったニューミュージック系でルックスもいいという路線でした。すぐにアルバムを出す、というのもそういう流れを象徴していますよね。
個人的に印象深いのは、EPIC・ソニーの河合夕子さん、CBS・ソニーの須藤薫さんとともにギャルコン(Gal's Contemporary Sounds)を結成し、レコード会社の垣根を超えたプロモーションを行っていたことでしょうか。河合夕子さんの大ファンだったもので、ギャルコンをやってたときは遠藤さんの音楽も自然と耳に入ってくる…というスタンスでしたね。
で、今回のベストはサブタイトルの通り、ビクター時代の音源をまとめたもの。
すなわち81年のデビュー曲「告白テレフォン」から「片方だけのイヤリング」「ひとり・ナルシス」「Dear Mr.」「輝きたいの」「雪が降るまえに」そして85年の「Be Love」までのシングルと、その間に出たファーストの「オペレッタ」、セカンドの「Green Room」、そしてサードの「夢見るスター」(今回の再評価で追加プレスされたんだとか)というアルバム3枚からチョイスした上、改名後の99年、アニメのテーマ曲としてビクターから出た「走れ走れ」をプラス。
さらにドラマ主題歌としてスマッシュヒットし、代表曲と呼べる「輝きたいの」と「雪が降るまえに」の2曲のオリジナル・カラオケを付けた全20曲という構成になっています。
ライナーには遠藤さん自身が振り返るインタビューも掲載されるようですのでファンは必携。
シングルの「輝きたいの」はQ盤でも出た「夢見るスター」とは違うバージョンで、92年の「BALLAD BEST」以来となるCD化だと思いますし、京平作品も多いですので、ファンならずとも押さえておいて損はないベスト盤だと思いますよ。
(2012.10.25)