70年代フォークを中心にした、とってもお得な名曲集!
それはやはり物心ついた1970年前後からだったといいます。とにかくうたが大好きな子どもで、母親や子守りをしてくれたイトコにしょっちゅうレコードをかけてとせがみ、自分専用のちっちゃなプレイヤーを手にしてからは来る日も来る日も耳を傾け、一緒になってよく歌っていたのでした。
その様子は40年以上が過ぎた今も、さほど変わりはなく、三つ子の魂百までということを実感してしまうのですが、あの頃のヒット曲ってレコードを買ったわけでもなく、好きだったわけでもないものまで、自然に覚えてしまったものでした。
もちろん子どもならではの記憶力と吸収力のせいもあるでしょう。歌自体が短くシンプルなものが多かったということもあるでしょう。でも、あの頃とここ10年いや20年ぐらいの歌を比べて決定的に違うのは、好き嫌い関係なくテレビやラジオ、街角でしょっちゅう耳にしたかどうか、まさにみんなのうたになっていたかどうか、ということではないでしょうか。
そういう意味で言えば、この1970年代の名曲を中心にしたお買い得の2枚組コンピ盤「 愛と青春のうた 」は、まさにみんなに愛されたうたばかり。
タイトルを聞いてDREAM PRICEシリーズで出た一連の「愛と青春の…」シリーズを思い出しましたが、選曲を見てもヒットストーリー、フォーク、ニューミュージック、ポップスと続いたシリーズの総集編といえる内容です。
「結婚しようよ」「あの素晴しい愛をもう一度」「さらば青春」「学生街の喫茶店」「心の旅」「岬めぐり」「ふれあい」「翼をください」「遠い世界に」「精霊流し」「なごり雪」「旅立ち」…いわゆる定番フォークを中心に、各社の音源からレーベルを超えた40曲を収録。
フォーク以外にも、新時代の日本のポップス、すなわちJ-POPのルーツと言われる「また逢う日まで」(キーヨは失踪ではなく入院されている模様)や、それと対比するようにドメスティックなハマクラポップス「空に太陽がある限り」、70年代にはまだ残っていた熱い青春、その代名詞となったモリケンドラマ主題歌「さらば涙と言おう」や同じく日本テレビの青春シリーズから生まれた「これが青春だ」「太陽がくれた季節」「ふれあい」、ユーミン作の「『いちご白書』をもう一度」「卒業写真」といったおニューなミュージックなどなど、当時のヤングにギターで弾き語りされたり、我々子どもも遠足のバスやキャンプファイヤーなどで歌っていたりしたナンバーが厳選されています。
個人的に今でこそ音源を持っていますが、子どもの時は範疇外でほぼレコードを買ったことはありませんが、ほぼ歌えましたもんね。中には、なんとなくうろ覚えだった曲を、歌本でマスターした…ということもあったような気がします。
また、リアルタイムで知らなかった人でも、聞き継がれ、歌い継がれて今ではきっと知っているであろう名曲ばかりではないでしょうか。後世に残すという意味でも、一家に1枚常備して、みんなで聴きたいCDといえますよね。
思えば音楽をポケットやバッグに入れて持ち歩く時代になって30年以上。ここに入ってる曲みたいに、時代の空気がギッシリ詰まっていて、歌を聴くだけでいろんな世代が時代や思いまで共有できるうたがもっとできればどんなにいいでしょう。そんな思いを込めて、あらためて聴き直してみるのもオススメです。
また、父の日も近いことですし、フォーク少年だったお父さんやお兄さんにプレゼントしても喜ばれるかもしれませんよ。
(2012.5.26)