灯る頃…」
まだスカイメイトが使えていた10代の頃、
夜のフライトを避けてしまう癖がついた。
特にひとりで乗る時は、飛び立つのも降り立つのも
陽が残る時間帯を選ぶ。
「TOKYO 今夜は
みぞれ混じりの雨が降ると…言ってた」
ひとりで夜の飛行機に乗ってしまうと、
見下ろす街灯りに誘われて、このうたが響き出すから。
いつまでもやるせない慕情に溺れてしまうから。
「TOKYO 今夜は
やけに冷たい風が何故だか…吹いてる」
あの頃のTOKYOが、愛しくって。
ふるさとでもないのに、たまらなく恋しくって。
もうどこにもないのは分かっているのに、また探してしまう。
羽田だけじゃなく、千歳でも、関空でも、福岡でだって、
誰かによく似た、あの頃のTOKYOを。
「TOKYO どこかで
また出会うこともある街だから
笑って 別れようね」
(2010.1.5)
note:EP「東京慕情」1984.7.21発売
もともとは81年秋の資生堂CMソングのレコード化としてご本人の意向で自主制作したシングル「メイク23秒」のB面収録曲。大ヒット間違いなしだっただけに、事務所の通販のみというスタイルが残念でしたが、インディーズに強いレコード屋ではちゃんと売られていましたね。それがA面としてリリースされたのは、TBSの日立テレビシティ枠で放送された桃井さんの主演ドラマ「林真理子の星に願いを」の主題歌になったから。おなじみマリコの立身出世物語には、切なくも甘い筒美先生作のこのうたがピッタリ。桃井さんと美保純ちゃんの掛け合いのように「ナーイス!」でした。
◎いまCDで聴くなら… GOLDEN☆BEST/桃井かおり