ナツメロ喫茶店/うたノートvol.37


ナツメロ喫茶店

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  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.37

愛がみつかりそう/アグネス・チャン

(作詩・安井かずみ/作曲・加藤和彦/編曲・国吉良一 EP「愛がみつかりそう」1985)


 「帰って来たヨッパライ」の赤いレコードはわが家にありましたし、「あの素晴しい愛をもう一度」や「白い色は恋人の色」も、「花のように」も「遠い遠いあの野原」も、子守りをしてくれたイトコから教わって大好きになったうたでした。

 でも、初めて加藤和彦さんという人を意識し、この人のつくるメロディーに惹かれるようになったのは、アグネスの「妖精の詩」からだったと思います。だからなのか「二人だけのコンサート」も含め、ずっと聴き続け自分の一部になっているような加藤さんのうたは、アグネスに書いたものが多いのです。

 雑誌で垣間見るファッションやライフスタイルにも憧れましたし、金子國義さんの絵に惹かれていったのも加藤さんのジャケットからでしたし、その芸術的センスに大きな影響を受けたものです。

 大好きな1曲を挙げるならむろん「妖精の詩」なのですが、いまはこのうたを聴きながら、感謝をこめて手を振ることにしましょう。


 深く悩み、ひどく傷つき、生きることにさえ迷っていた頃に、救われたうた。

「ふとした 誰れかの
 言葉に胸が 傷ついて
 ひとりぼっちの殻に
 閉じこもり……
 忘れてる ホラ もう少しで

 愛がみつかりそう
 あなた 見てると
 愛がみつかりそう
 わたしの中に
 愛がみつかりそう
 あなたと分け合う」


 絶望の淵にいたとしても、ほのかな希望が必ず見つかることを、気づかせてくれたうた。

「今日まで 何して
 きたんだろうと ふと思う時
 ちっぽけな自分が
 悲しくて……
 でも明日 明日には

 愛がみつかりそう
 あなた 見てると
 愛がみつかりそう
 わたしの中に
 愛がみつかりそう
 あなたと分け合う」


 加藤さんが安井かずみさんとともにに織り上げた、このメッセージは生きる真理に違いないだけに、やっぱり残念でとても悔しいけれど。Arrivederci!



加藤和彦さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

(2009.10.18)

note:EP「愛がみつかりそう」1985.10.25発売
とてつもなく素敵だったズズ&トノバンコンビによる、「シンガプーラ」の焼き直しにして「なるほど・ザ・ワールド」のエンディングテーマ「愛のハーモニー」が久々のスマッシュヒットを記録。これを踏襲したのが、音壁サウンドも心地よいこの曲です。2人の傑作「だいじょうぶマイ・フレンド」の世界をもっと私的にしたような、弱気になった心にそっと寄り添ってくれるうたで、クノール・中華スープCMソングに起用されましたが、前作ほどのヒットにはつながらず。でも、アグネスのコンサートでは今でも定番曲としておなじみですね。初めて聴いた時から、コーラスにトノバンの声が入っていると思っているのですが…。

◎いまCDで聴くなら… Now and Then Agnes Chan 30th Anniversary  


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