ナツメロ喫茶店/うたノートvol.9


ナツメロ喫茶店

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  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.9

恋はラブ・ラブ/リンリン・ランラン

(作詩・千家和也/作曲、編曲・穂口雄右 EP「恋はラブ・ラブ」1975)


 しょっちゅう聴いていたのに、いつしか忘れてしまったうた。何度も歌ったのに、どうしても思い出せないうた。
 でも、こころは、ずっと覚えているのです。たった一度でも、ほんの少しでも、大好きだったうたのことを。

 先日、そう心から実感したのです。それは、この曲が入っているリンリン・ランランのサードアルバムを、友人がデジタル音源にしてくれたことがきっかけでした。阿久さんの解釈による「カモナ・マイハウス」だった「ノックは暗号」はもちろん、テレビでも淡々と歌ってたバラード「恋の雨音」など、久しぶりに聴くシングル曲は、二人の笑顔があったあの頃をあざやかに再現してくれました。

 言葉も文化も違う異国で、かわいいけど何だかヘンテコな格好をさせられているのに、いつも朗らかでニコニコしてて、テレビの前ではイヤな顔ひとつ見せなかった二人。曇りない性格を映し出したような心からの笑顔は、すっかりビッグママに変わってしまった今でも、あのままだといいますから、とてもうれしい。

 さて、そんなリンリン・ランランを久々に聴いたわけですが、このシングルだけは知らないと思ってた。「恋はラブ・ラブ」なんて、今では笑っちゃうようなタイトルを何となく覚えているような気がしたけど、どんなうただったか、ちっとも思い出せなかったのです。

 しかし、イントロが流れた途端、いきいきとよみがえってきたのです。このうたを「スタ誕」で歌うリンリン・ランランの振りとともに。メロディーも歌詩も、追いかけるハーモニーも、次々に口をついて出てきたのです。

 それは、ちょっとした感動でした。タンスの脇から、あの頃持っていたパンダのキーホルダーがひょっこり出てきたような、うれしいような、おかしいような、そしてちょっぴり恥ずかしい気持ち。それはまるで、陽気な双子のキューピッドが、こころをポンと押したみたいに…。

 昭和50年の秋を、どんなふうに過ごしていたか。小さかったけれど、思うほど子どもではなく、いろんなことを感じてた、あの日曜日の午後。

 そして、いま分かるのは、生き続けていくことの積み重ねと、人生のいとおしさ。リンリン・ランランの笑顔と歌声が、そっとおしえてくれました。

(2007.7.9)


note:EP「恋はラブ・ラブ」1975.8.25発売
 大成功を収めたアグネス・チャンの後に続けとばかり、74年、香港からやってきた双子の姉妹。流行のマスコットになぞらえた「恋のインディアン人形」の楽曲はもちろん、振り付けも大きなインパクトを与えました。サンミュージック&ビクター所属、淳子の妹分としてスタ誕レギュラーとしても活躍。2人の明るい人柄は多くの人に愛されましたが、ヒットが続かなかったのは残念。ノベルティソングを離れ、三つ編みをほどいた「恋の雨音」に続くこのうたも、可憐でカワイイ等身大の世界。ラス2のシングルでした。


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