ほんのおとついまで、素肌にまとわりついていた風も、
今日はよそよそしいほどさらりと吹いて、
たとえようのない寂しさを連れてくる。
「さびたあき缶 風にさらされて
奏でる寂し気な笛 ききながら」
ああ、ぼんやりとしている間に、また秋になってしまった。
大切な夏休みを、また無駄に過ごしてしまった。
九月のはじまりは、罰を受ける子どものように、
うつむいてこのうたを聴く。
「焼けた砂の照り返しに のぼせて見えた
ひと夏の夢をさませ にわか雨やんだら」
哀しいのにとてもポップな調べは、余計に
せつなくって、息苦しくって、人恋しくって。
思わず泣きそうになるけれど、
痛がゆい心地よさを帯びているから、断ち切れない。
だからこうして、夏の名残りと思い出を
なすすべもなく、ただなぞっている。
「九月なかばの 渚のうねりに
私も心まかれて 沈んだ」
(2008.9.2)
note:LP「JOEPO〜1981KHz」1981.9.21発売
“日本初の『ジングル盤』エポが造った楽しい楽しい放送局!!”という通り、1枚のLPで架空のラジオ局を表現した名盤でオリコン83位をマーク。この曲は達郎のほか、大貫妙子もコーラス参加、翌82年のシングル「Girl in me」のカップリングにもなった不朽の名作です。隠れた胸キュン曲みたいな感じで、ファンの間では今も人気が高いですね。
◎いまCDで聴くなら… JOEPO~1981KHz(紙ジャケット仕様)