冬が来るんだね。
帰り道の冷たい風と、
久しぶりのこのうたで、
ふっとあの日を思い出したよ。
大きな肩パッドのジャケットに
ホントの気持ちをすっぽり隠して、
砂浜にはおよそ似合わないオデコ靴で歩いたね。
お互い大切なことをちっとも言い出せずに。
「夕陽のカーブで 渚が終わった
きっとこれで しばらく会えないね」
北風に流れてった会話も、
一緒に口ずさんだリック・アストリーのうたも。
そして、それからの日々も…
みんな、このうたを入れたカセットに閉じこめていたんだね。
「季節が過ぎても 心は変わらないから
たぶん あなたは 私より ツラくなるよ」
サックスの響きがあの頃にこだまするから、
なくしてしまってた思い出が手招きをするから、
今夜は、つかのま戻ってみよう。
傷つけて傷つくばかりだった日々と、
あのとき背を向けてしまった凍えそうな後ろ姿を、
やっと見送れる気がするから。
「ごらん 車が 国道に 小さくなる」
(2009.11.3)
note:EP「悲しき恋人たち」 1987.6.3発売
オリコン最高10位、ブレイクを果たした「ヴィーナス」から数えて3作連続でトップ10入りを果たしたシングルのB面がコレ。遠藤京子作の名曲(A面)に隠れてしまっていますが、長山ちゃんの引きのウマさを実感できるナンバーです。80年代後半の青春の代弁者・川村真澄さんの心象風景をえどった詩や、長山ちゃんの表現力も見事ですが、あの時代の空気感までもを伝えるサウンドがまた魅力的です。