「ああ あなたにときめく心のまま
人知れず よりそいたい
夕やみのブルーにまぎれて今
さまよう トワイライト・アヴェニュー」
その町に降り立った時には、あたりはもう暗くなっていました。
排気ガスにむせないように、まずは息を止め、
バスが通り過ぎるのを待って、夕闇の風を思いきり吸い込みます。
それは思いのほか冷たくて、胸の中にミントの葉っぱを入れたようでした。
ここは、いつ来ても晩秋の感じがします。
行き交う人をうつむかせるような、うら寂しい気配を漂わせています。
そのせいでしょうか。
迎えに来たひとの顔色は抜けるように白く、
瞳はブルーに見えて、異国のひとのように思えてきます。
ああ、やはり隔てるものは大きいのだ。
たとえ心を通わせることができたとしても、
互いの間には、さまざまな壁が立ちふさがっているのだ。
そう心に言い聞かせても、
もはやミントの涼しさは消え失せて、胸は高鳴るばかりです。
そして少し幸せそうな顔をして、街灯の下を歩き始めるのでした。
「ああ 恋する想いは なぜかいつも
少しだけ まわり道ね
ああ このまま この手を離さないで
さまよう トワイライト・アヴェニュー」
（2009.10.23）
note：EP「トワイライト・アヴェニュー」1983.10.26発売
根強い人気を誇るスタレビが、ブレイク前に放った4枚目のシングル。これに続く84年の「夢伝説」がカルピスのCMソングに起用され初のヒットを記録したワケですが、この曲は直後に出たベスト盤「TO YOU（夢伝説）」に収録されたことで、評価が一気に高まっていったように記憶しています。アカペラをはじめいろんなバージョンがありますが、いつもオリジナルが最高と思ってしまうのは、やっぱり最初に心情を重ね合わせたものだからなのでしょう。
◎いまCDで聴くなら…
TO YOU~夢伝説~
