ナツメロ喫茶店/うたノートvol.4


ナツメロ喫茶店

うたノート.jpg

  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.4

小さな生命(いのち)/ルネ

(作詩・安井かずみ/作曲・村井邦彦/編曲・川口真 EP「小さな生命」1974)


 ルネ。むろんヴァン・ダール・ワタナベではなく、シマールです。

 カナダからやって来たボーイソプラノの男の子を、みんながもてはやしたものですが、最初ワタシは好きではなかった。「ミドリ色の屋根」を心をこめて熱唱する姿や、人なつっこい笑顔で懸命に溶け込もうとする姿には感動したものの、アグネス・チャンやフィンガー5のあきらに対するような感情は持てなかった。家族ぐるみで熱狂的ファンになってしまった幼なじみの子から、レコードを聴かされても、まだ小1のワタシはあの曲が好きになれなかったのですね。とても暗くてオーバーな感じがして…。

 そして、第2弾のこのうた。幼なじみは、このうたに狂喜乱舞していましたっけ。だって、このうたはその子の名字と同じ言葉から始まっていたのだから。アヴェ・マリア…。そんなことも重なってか、ワタシはルネの大ファンになってしまうのです。朝露がきらめくような、それは美しいイントロ。異国の言葉を、一音、一音、一生懸命に発音するルネのひたむきさ。ズズの詩も、村井さんのメロディーもどこまでもスケールが大きく美しく、全編に愛があふれています。

 先日、この曲の国内初CD化が決まったというニュースを聞いて、とても久しぶりに聴いたけれど、ワタシは幾多の思い出とともにこのうたの素晴らしさを実感し、しばらく嗚咽してしまいました。

 子どもの頃から、こういう上質な音楽に触れられたことにただ感謝したい。一流の職業作家の皆さんが紡ぐうたに囲まれ、育ってこられた環境にも。6月に出る村井さんのBOXでは、真っ先にこのうたを聴くことでしょう。

 そういえば片面の「僕の国へおいで」も大好きでした。ルネの国・カナダに必ず行こうと誓ったこと。だんだん野太くなってしまったルネの変声期とともに、そんな誓いも忘れてしまっていたけれど…。ルネのうたを口ずさみながら、いつかカナダを訪れようと思っています。

(2007.4.5)


note:EP「小さな生命」1974.9.10発売
74年6月、カナダからやってきた13歳の少年が「第3回東京音楽祭世界大会」でグランプリを獲得。それが受賞曲「ミドリ色の屋根」で鮮烈なデビューを飾ったルネ・シマール。人なつっこい性格と美しいボーイソプラノ、そしてひたむきな歌唱力で、一躍人気アイドルとなりました。これは第2弾シングルで、ひときわ洗練された楽曲に仕上がっています。2007年6月に発売されたBOX「The Melody Maker−村井邦彦の世界−」で国内初CD化が実現。

◎いまCDで聴くなら… GOLDEN☆BEST limited ルネ・シマール icon


Back Numbers


Archives

現在はありません


Shops


Search Box