ナツメロ喫茶店/うたノートvol.7


ナツメロ喫茶店

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  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.7

虹と雪のバラード/トワ・エ・モワ

(作詩・河邨文一郎/作曲・村井邦彦、編曲・小谷充 EP「虹と雪のバラード」1971)


 子どもの頃から、大好きだったうた。口ずさむたびに、けして枯れることのない泉のような希望が、体の中から湧いてくるうたでした。生きる歓びがあふれてくるのは、オリンピックのテーマソングだからに違いない。ワタシは長いことそう思い込み、このうたを幾度となく聴き続け、そして同じ数だけ歌い続けていました。スキーをするようになったのも、北海道へ行くようになったのも、このうたのせいかもしれません。

 初めて聴いてから30数年。先日、久々に札幌を訪れたときのこと。雪があろうがなかろうが、いつ来ても背筋を伸ばして歩きたくなる凛としたあの街で、ワタシはずっとこのうたを連れて歩いていました。思い出深い大通公園を散歩しつつ、何気に通った時計台のもとで、ワタシは「札幌市民憲章」を目にしたのです。

「わたしたちの札幌市は、雄大な自然と、たくましい開拓精神をもってきずかれ、大きく発展しつづけている希望のまちです。わたしたちは、このまちの市民であることに誇りをもち、たがいのしあわせをねがい、よい市民となるため、ここに市民憲章をさだめます。」(札幌市民憲章より抜粋)

 ワタシはハッと息を飲みました。このうたが、こんなにも心に響いていたのは、単にオリンピックのテーマソングだからではなかった。そのことに初めて気がついたのです。 

 美しい自然のもとで、美しい人たちが創りあげてきた、美しい街。そして、愛と誇りを胸に、希望へとまっすぐに進みゆく、美しい心…。さまざまな歴史があったとはいえ、オリンピックが開かれるはるか昔から、札幌の地にずっと流れていた美しい精神。このうたは、それをありのままに映し出したものだったのだ。

 そう確信したワタシは、前よりもずっとずっと、このうたを愛してゆくことでしょう。あの街や、あの人たちに、大いなる尊敬と憧れをこめて。

(2007.5.21)


note:EP「虹と雪のバラード」1971.8.25発売
 72年に開催された札幌オリンピックのテーマソングとして知られるこの曲は、数々のアーティストによって競作となりましたが、トワ・エ・モワが本命盤とされオリコン7位と群を抜いてヒット。五輪開催後も札幌市民のうたとして歌い継がれるとともに、後に教科書にも掲載されるなどスタンダードな名曲となっています。なお、作詩の河邨文一郎さんは、北海道出身のお医者さんにして詩人の方です。なるほど、理性と感性のバランスがお見事ですね。

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