ナツメロ喫茶店/うたノートvol.30


ナツメロ喫茶店

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  こころに残るあのうたを、力をくれるそのうたを、ちょこっと綴っておきました。

vol.30

ひと恋初めし/西村まゆ子

(作詩・喜多条忠/作曲・三木たかし/編曲・若草恵 EP「ひと恋初めし」1978)


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 シーちゃんの「コーヒーショップで」から始まって、ミヨちゃんの「想い出のカフェテラス」、ジュンちゃんの「23才」、サッコの「いい娘に逢ったらドキッ」、なぎさの「オリーブの華麗な青春」、百恵ちゃんの「白い約束」、ヒデキの「ラストシーン」、キャンディーズの「哀愁のシンフォニー」、ヒロリンの「思秋期」や「そばに置いて」、石川さゆりの「暖流」、ユッコの「天使ぼろぼろ」、芳恵ちゃんの「待ちくたびれてヨコハマ」、わらべの「時計をとめて」、松本典子の「悲しい探偵」…。

 ちょっと指を折っただけでも、大好きだった三木さんのうたは数えきれないほどあります。阿久さんとのコンビを中心に、レコードがすり切れてしまったものも5枚や10枚ではききません。このところよく聴いているユッコのうたも、多くが三木さんの手によるものでした。

 プロの職業作家さんらしく、哀愁漂う繊細なメロディーから、洒脱でコミカルなポップス、そして流れるように美しい旋律まで、実にさまざまですし、名曲と呼ばれる作品もたくさんありますが、もう十分哀しいのだから、淋しいうたはよしましょう。若葉の萌えるこの時季ならば、命の燃えるこのうたを挙げましょう。

 むせ返るほど満ちあふれた生命力は、若さゆえとてもわがままでひどく挑戦的で、その分やっぱり淋しさが募ってしまうけれど、ここはただ感謝の気持ちをこめて三木さんをお見送りしたいと思います。
 なじみ深い「スター誕生!」の審査員席に座ってらしたお姿を思い浮かべ、何十年経とうがずっと心に残り続けるうたたちを口ずさみながら。


三木たかしさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

(2009.5.12)

note:EP「ひと恋初めし」1978.4.21発売
 フラメンコ歌謡イン・ディスコ! この年、大ブームとなったサンタ・エスメラルダの楽曲は、ディスコのみならずお茶の間でも人気を集めましたね。それはやっぱり、カバー盤やインパクトの強いアレンジが歌謡曲の分野にまで波及したからでしょうか。
 筒美先生が「悲しき願い」の「東京ららばい」なら、三木先生は「朝日のあたる家」の「ひと恋初めし」(アレンジは若草恵さん)。歌うは第2回ホリプロ・タレントスカウトキャラバン優勝者、西村まゆ子です。
 郁恵ちゃんの後ですから、ホリプロ好みというかごくごくフツーのルックスだった彼女。歌のウマさからか、打ち出されたラインはモロ高田みづえをイメージさせるポップス演歌でした。デビュー曲にして名作の「天使の爪」が出るひと月も前から、彼女の等身大パネルがあちこちのレコード屋にあったほど鳴り物入りのデビュー。にもかかわらず、この第2弾を出した後、素行不良という理由で引退を余儀なくされています。確かに、歌番組に出るたび、どんどんメイクが濃くなっていった印象がありますね。
 藤村の「初恋」は秋ですが、彼女の場合は春先から初夏。肥後のおなごは情が濃かばってん…そんな感じがする見事な歌唱をどうぞ。


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