中でも一番だと思うのが、このうた。さだまさしの作品が素晴らしいこともありますが、それだけではありません。この、静かな微笑みを感じる歌声といったらどうでしょう。
まるで子どもをあやすように、優しさで包み込むような響き。百恵ちゃん独特の美しい摩擦音や、さださんらしい浪漫的なメロディー、ストリングスと相まって、聴いてたら呼吸がとても楽に、深くなってくる。流麗な鼓動のような音に身をゆだねると、それは安らぎへと変わり、いつしか心地よい眠りに…。
子どもの時、この歌でうたた寝したことが何度もありました。なぜなのか不思議だったけれど、今ならはっきり分かります。
それはやはり、百恵ちゃんの母性というもの。詩の内容など、まさしんぐ・わーるど全開の曲なのに、このシングルのA面のテーマをより深く表現しているよう…。さださんは、百恵ちゃんのそういう本質を見抜いてこの2曲を提供したのでしょうか。しかも、18才の百恵ちゃんに。だとしたら、もっともっと、百恵ちゃんのさだ作品を聴きたかった。
ところで、この曲に傾倒してた小4の秋。「サヨナラ」とマッチの軸でテーブルに落書きしました。しかし「サヨナラ」はちっともキレイに燃えず…。禁じられた火遊びの最后の頁は、その当時もこの頃もちっとも涙もろくない母に大目玉をくらって終わりを告げました。
(2007.7.6)
note:EP「秋桜/最后の頁」1977.10.1発売
76年の「横須賀ストーリー」以降、メイン作家となった阿木+宇崎作品の狭間に咲いた、さだまさしの名作シングルでオリコン最高3位。リリース時、A面はテーマを含めファンの中心である中高生には難解すぎると言われたものの、逆にファンの年代層を広げる結果となり、百恵ちゃんに念願のレコード大賞歌唱賞をもたらしました。同時期にチャート争いを繰り広げた桜田淳子の中島みゆき作品「しあわせ芝居」とともに、フォーク&ニューミュージックと歌謡曲の融合の礎を固めた功績は大。さださんご本人も翌年発表のアルバム「私家集(アンソロジイ)」で2曲ともセルフカバーしています。なお、レコード盤などメーカーサイドでは「最後の頁」という表記ですが、ここでは、さださん手書きのタイトル(さださんのアルバムと同じ)に準じました。
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