ブレイク直後の2作も、紙ジャケSHM-CD化!
ミディの名盤をSHM-CDの紙ジャケ仕様で復刻している「MIDI INC. 30th Anniversary Remaster Collection」シリーズ。
大貫妙子、EPO、坂本龍一、矢野顕子ら看板アーティストのリリースが進み、アッコちゃんに至ってはミディ時代のみならず、名盤「 ごはんができたよ」(こちらで紹介)を皮切りにジャパンレコード時代に発表し、後にミディからもCDリリースされていたアルバムも対象となったようですが、続編のリリースも決定しました!
81年の「 ただいま。(紙ジャケット仕様) 」、82年の「 愛がなくちゃね。(紙ジャケット仕様) 」。いわゆるブレイク後のアルバム2タイトルです!
サポートメンバーを務めたYMOの世界的ブレイク、「ごはんができたよ」のわかりやすい“ほんわか”路線でファン層の裾野を広げるなど、80年からのアッコちゃんは、それまでの通好みという印象を払拭。なんだかコワい天才女史から優しいお母さんのイメージに変貌を遂げると同時に、中高生が中心になって応援するようなムードが漂っていました。
そんなところに、カネボウ’81春のキャンペーンソングへの大抜擢。そう、クリエイターブームを牽引したコピーライター・糸井重里さんが作詞し、YMOがサポートした「春咲小紅」が大ヒットしたのです。
コレで一気にお茶の間へも浸透、ついに大ブレイクを果たしたワケですが、この絶好のタイミングを受けて出されたのが、湯村輝彦さんのアートワークも素敵な「 ただいま。(紙ジャケット仕様) 」。
しかしですね、そこはヘンタイよいこの天才アッコちゃん。フツーなら全編をヒットした「春咲小紅」路線でいくところを、B面は子どもの詩に曲を付けたり、前衛的なテクノに走ったり。「春咲小紅」と続く「ただいま」のシングル2枚や「いつか王子様が」のような分かりやすいポップスだけではなく、せっかくついた一般的なファンがドン引きするような要素も多分に含まれております。
といいつつも、やの+イトイの名コンビはガッチリ嵌まりまして、ウディ・アレン出演で話題を呼んだ西武のCM「おいしい生活。」など、広告の世界でも最先端を行きまして、それを音楽にも反映。まさに時代を牽引する存在になっていきます。
そんな流れで出た次作「 愛がなくちゃね。(紙ジャケット仕様) 」は、ブリティッシュなニュー・ロマンティック。ビジュアル的な要素も含めYMOファミリーとも言えるJAPANのメンバーが参加し、またまた時代の先端をぶっちぎります。ピーター・バラカンが作詞したタイトル曲や、前述の「おいしい生活。」、デヴィッド・シルヴィアンとのデュエット「Good night」まで多彩。
高橋悠治さんとの共作も多いし、子どもの詩も我々世代には衝撃だった「ぼくは12歳」の作品に曲を付けたナンバーをカバーしたり、唯一無二の世界観はよりくっきりとした輪郭を描いていきますが、イチオシはCMソングから生まれた最もノーマルな名曲「どんなときも どんなときも どんなときも」でしょうかね。
なお、このアルバムのオリジナルパッケージは異質で、音楽だけ聴けばいい人のためにお値段を安くして、レコードのジャケットは何の飾りっ気もない厚紙。ビジュアル的要素も楽しみたいならばLPサイズの写真集も買ってくださいという分売スタイルでしたけど、最初のCD化の際からまとめられております。今回、紙ジャケですから、そのへんがどうなるかも気になるところですけどやっぱ無理でしょうかね。
ともかく、いずれもご本人監修のもとリマスターされているそうなので、音の面でも期待できそう。このシリーズは今後も続いていくでしょうし、ミディ時代の作品(こちらやこちらで紹介)もまだ入手可能のようですから、今からコレクションする人も間に合いますよ!
もちろん今も現役バリバリのアッコちゃん。今年はソロデビュー40周年というアニバーサリーイヤーですから、3月末からは東京グローブ座で日替わりゲストを招いた連続公演が開催されるなど、いろんな企画が満載の模様。ファンの皆さん、見逃せませんよ!
(2016.2.14)
*発売が4月6日に延期され、昨年の「さとがえるコンサート」を収録したライブアルバム(ブルーレイ付きの完全生産限定盤「
矢野顕子+TIN PAN PART II さとがえるコンサート (完全生産限定盤)
」、(CDのみの通常盤「
矢野顕子+TIN PAN PART II さとがえるコンサート (通常盤)
」)およびスタジオライブ映像集(DVD「
Two Jupiters (DVD)
」、ブルーレイ「
Two Jupiters (Blu-ray Disc)
」)と同時発売となりました!