EMI時代のオリアルが一挙SHM-CD化!
2013年はシュガー・ベイブでアーティスト活動をスタートさせてから40周年ということで、トリビュートアルバム「 大貫妙子トリビュートアルバム - Tribute to Taeko Onuki- (2枚組ALBUM) 」の発売をはじめアニーバサリーライブ(ブルーレイ「 大貫妙子 40th ANNIVERSARY LIVE (Blu-ray Disc) 」などで映像ソフト化)の開催、初のオフィシャルファンブック「 大貫妙子 デビュー40周年 アニバーサリーブック 」の刊行など、翌2014年にかけて大がかりな記念企画が相次いだター坊こと大貫妙子さん。
長いキャリアの中で常に余分な物をそぎ落としながら、孤高な音楽巡礼を続けてきた印象がありますが、昨年には、旧知のバンドネオン奏者・小松亮太さんと組んだアルバム「 Tint 」が日本レコード大賞優秀アルバム賞に輝くなど、表舞台でもきちんと評価されているのはファンとしてもうれしい限りです。
そして今年2016年は、ソロデビューからちょうど40周年になるそうで、91年から2005年まで在籍した東芝EMI時代のオリジナルアルバムが一挙SHM-CD化されることになりました。
すなわち、ミディ時代の最後に続き小林武史をプロデューサーに迎えた92年の移籍第1弾アルバム「 DRAWING 」から、鶴ちゃん主演ドラマ「家裁の人」主題歌としてヒットした「春の手紙」を収録した「 Shooting star in the blue sky 」、ブラジリアンポップスへと旅した「 TCHOU<チャオ!><チャオ!> 」、久々の坂本龍一プロデュースとなった「 LUCY 」、ヨーロッパ回帰でフランスのユニットや旧知のフェビアン・レザ・パネさんらと作った「 ATTRACTION 」、クラシカルな雰囲気も漂う「 ensemble 」、山弦をメインにギターサウンドが心地好い「 note 」と「 One Fine Day 」までの8枚に、96年のアコースティック・セルフカバーのリイシュー盤「 pure acoustic 」と97年の竹中直人監督の同名映画サントラ「 東京日和 」を含み、96年のライブ盤「LIVE'93 Shooting Star in the Blue Sky」を除いた10タイトル。
なお、「Shooting star in the blue sky」は2013年に「絶対名盤 J-premium」シリーズの1枚「 Shooting star in the blue sky 」として既にSHM-CD化されていましたので、今回はライブ盤の方にしてほしかったというのが正直なところですが、ほとんどが廃盤になっていたタイトルばかりですので、近年聴き始めた方やいい音で再収集したかった人にはうってつけのチャンスでしょう。
クラウンやRCA、ミディ時代は何度も再発されたり、しぶとくカタログに生き続けてたりしていましたが、EMI時代だけはオリジナルが発売されたきりでしたからね。
シュガーベイブを含む初期のソフトロック的な佳作から、華麗なヨーロッパ三部作、かわいいメルヘン翻案ものまで、とにかく多彩なオリジナルアルバムを発表しているター坊ですが、EMI時代は仕切り直しといいますか、ともするとマニアックな方へと行きがちだった方向性を、わかりやすいポップスとしてリスタートさせ、ワールドミュージックやオーガニック的な時代のエッセンスもシンクロさせていった、いわば再ブレイク期と言えそう。
CMやドラマから映画まで強力なタイアップ作も増え、前述の「春の手紙」をはじめとするシングルヒットや、映画主題歌「Shall we dance?」のような知名度の高いナンバーなど、いわゆる一般的なヒット曲を放った時期でもあります。
そういう意味では最初の「 DRAWING 」「 Shooting star in the blue sky 」という小林武史プロデュースの2枚がオススメですが(個人的にも移籍第1弾シングル「dreamland」がマイベスト)、ビギナーの方にはやっぱりアコースティック・セルフカバーの「 pure acoustic 」でしょう。
元々は87年の同名ライブ開催記念盤として限定販売され、93年には既発曲を加えた増補盤のプラスとして再発されたアルバムですが、コレは新録入りで改訂再編集された97年盤。
ピュア・アコースティックはター坊のライフワークですので、ベーシックな入門編としてもマストですし、アグレッシブな1枚を聴いてギョッとするより、誰もが安心して聴ける1枚だと思いますのでね。そういう意味では、ソニーでのワンショットリリースとなった「 Boucles d'oreilles (ブックル ドレイユ) 」もそのライン上(重複多し)ですから、併せてお聴きください。
また、誰もが安心という意味では、山弦サウンドが心地好い最後の2枚「 note 」「 One Fine Day 」も、よろしいんじゃないかと思います。
オリジナルでは凝った仕様だったり紙ジャケだったりしたものもありますが、今回は統一規格でしょうから、ズラリと並べたいならオリジナルを持っている人でも買いではないでしょうか。潤沢に生産されるとは思えませんので、早めにまとめ買いした方がいいかもしれませんね。
なお、ミディ時代のアルバム「 コパン(紙ジャケット仕様) 」「 アフリカ動物パズル(紙ジャケット仕様) 」「 スライス・オブ・ライフ(紙ジャケット仕様) 」「 プリッシマ(紙ジャケット仕様) 」「 ニュー・ムーン(紙ジャケット仕様) 」も高音質のSHM-CD&初回紙ジャケット仕様で復刻されていますし、ブルスペ1ですがクラウン時代の「 Grey Skies 」「 SUNSHOWER 」も高音質CD化されていますので、コレを機にそろえてみるのもよさそうです。
(2016.1.12)