あの筒美作品集がシングル曲を追加し再復刻へ!
71年デビューの小柳ルミ子、南沙織、天地真理の三人娘を追うように、72年には麻丘めぐみ、小林麻美、森昌子、アグネス・チャンら大物女性アイドルがゾクゾクとデビュー。
空前のアイドルブームが続き、芸能界の勢力図を塗り替える中、73年は新人デビューラッシュとなりました。
この年、アイドルポップスの火付け役だったCBS・ソニーが送り込んだのは、まずは4月、“第二の天地真理”として登場し、ドラマ「時間ですよ」で十分に知名度を高めた後、劇中歌「赤い風船」レコードデビューした“ソニー・エンジェル”浅田美代子。
続いて5月、「スター誕生!」から期待の超大型新人・桜田淳子に続く形で「としごろ」でデビューした“大きなソニー 大きな新人”山口百恵。
そして7月、映画のリメイクドラマ「夏に来た娘」に主演し人気を得た水沢アキ(水沢あき子)が、美代子、百恵に続く「娘ごころ」でデビューしたのです。
これが“ソニー家の三女”というキャッチフレーズの由来なのだそうですが、このたび、水沢アキ唯一のアルバム「娘ごころ」に、第2弾シングル「秘密/ふたりの雪」、第3弾「熱い出来事」(B面の「あなたのことでいっぱい」はアルバムからのリカット)、第4弾「祈り/尾道の雨 」、75年のラスト「めぐり逢わせ/今夜は帰って」というシングル曲を追加した「 娘ごころ+7 ~オールソングスコレクション 」が、オーダーメイドファクトリーの候補に挙がりました!
彼女の場合、アルバム「娘ごころ」は、94年“昭和40年代はニッポンの青春だ!”を合言葉に展開されたCD選書・Enjoy 40'sシリーズの1枚としてCD化済み。
続くシングル曲も「秘密」「熱い出来事」が98年と99年のアーリーシリーズ系コンピに収録されていましたが、残る5曲は未CD化の状態だったのですね。
ただ、アルバム「娘ごころ」は、オーダーメイドファクトリーが立ち上がった2004年に廃盤復刻候補に挙がるも規定数にまったく達せず、ほとんどシカト状態でしたので、もう無理かと思っていましたが、最近になって再発を切望しているマニアは多かったのでしょうか。
今回はボートラも追加されるということで、購入を即決する人も以前よりは多そうな気がしますが、忘れてはならないのは、ファーストアルバム「娘ごころ」は全曲筒美京平作品。そう、全国数十万(?)の筒美フリークにとっても必携盤なのです。
デビューシングル「娘ごころ/いつもの駅まで」の発売からわずか2カ月でリリース。デビュー曲のちょっと和風なアイドルポップスを展開させたもので、A面に相当する前半6曲は山上路夫+筒美京平コンビによるオリジナル。B面の後半6曲は筒美系ヒットのカバーという定番の構成ですが、編曲も筒美先生を大半を手がけ、残りは高田弘さんですから、麻丘めぐみの初期のような美しいストリングス満載の筒美サウンドが堪能できます。
歌の方も“あなたに話しかけます ソニー家の三女 水沢アキのファーストアルバム”という惹句の通り、女優デビューならではの歌心たっぷりのナイスボーカル。ファルセットも心地よい響きで、テクニックの拙ささえカバーしてしまう、いわゆる癒やし系お嬢様の歌唱といえるでしょう。
カバーは、石田ゆり「愛を知ったから」、伊東ゆかり「誰も知らない 」「いつからか」、高田恭子「河を野菊が」、岡崎友紀「さよならなんて言わないで」「私は忘れない」というナンバーですが、中にはオリジナルを凌駕するほどフィットしているものもあります。
筒美先生のナンバーはその歌手のために誂えたオーダーメイドが基本なので、カバーするとちんちくりんになったり何だかチグハグになったりしてしまうのが常ですから、それを考えるとシンガー・水沢アキのポテンシャルはかなり高かったといえるでしょう。
流行の筒美ソウルサウンドと歌謡曲メロディーを融合させた第2弾「秘密」、それをさらに推し進めてショッキングにイメチェンした第3弾「熱い出来事」を最後に筒美先生の手を離れた後は、三木たかしさんが担当。哀愁味たっぷりの歌謡曲路線へとシフトしますが、「祈り/尾道の雨 」は、流行歌へ進出したての松本隆作品ですので、コアな風街フリークも必聴ですぞ!
というCBS・ソニー時代のオールソングスコレクション。厳密に言えば、78年のNHK連続人形劇「紅孔雀」のためにレコーディングした三波豊和とのデュエット「愛のデュエット」が漏れていますが、これはイレギュラーでありますし(追加されるような気もしますが)、個人的にもCD選書からの買い換え決定。
なお、商品化決定するまでに予約すると、直筆サイン入りスペシャルポストカードがもらえるそうですので、アイドルマニアのみならず、筒美フリークの皆さんもぜひご予約ください!
(2015.7.16)